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秋の夕暮れからの記憶  作者: 茶々
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第9話 お礼

途中で視点変わります



4人でお茶を飲みながら話しているうちに結構な時間になっていることに気づいた。


「あ、もうこんな時間。」


最初に時間の事を言ったのは奏だった。


「あ、ほんとだ、奏と竜也、親御さんとか大丈夫?」


時計は23時を回っている。


「俺は大丈夫だよ、遅くなるかもって言ってあるし」


「奏は?」


「多分大丈夫だとは思う。心配はかけちゃってるかもだけど」


まあ年頃の女の子がこんな時間まで帰ってこないとなると心配もするよな。


「凛堂さん、家まで送っていこうか?」


お父さんがそう声をかける。


「すいません、お願いします」


奏がそう答えたら、お父さんが何故か僕の方を向き。


「よし、そういう事だ香太、送っていってやれ」


「「え?」」


お父さんはニヤついた顔で僕にそう言った。

思わず僕と奏はハモってしまった。

竜也は何故か納得したように頷いている。


「え?香太、足大丈夫?」


「えっと、まあ送るぐらいならできるけど…家までどのぐらい?」


距離によっては流石に送っていけないから、電車乗らなきゃいけないなら駅までってなるけども。


「ここから10分ぐらいかな」


「ちかっ!」


思わず大声を出してしまう。

まさかこんな近かったとは...


でもそうか事故があったのは夕方だし駅前だったんだもんな。

最寄り駅は同じに決まっている。


「それなら送っていくよ。竜也も一緒に行く?」


竜也の家は分からないけど近いなら一緒の方が良いだろう。


「いや、香太が送っていくなら、片付け手伝ってから帰るよ。」


「了解。ありがと竜也」


「いいってことよ」


そんな感じで上着を来て玄関に向かう。

周辺の土地を理解する意味でもこの見送りは意味があるだろうな。


「じゃあ行ってきます。杖つきながらだからちょっと時間かかっちゃうかもだけど」


「「いってらっしゃーい」」


竜也とお父さんに見送られて家を後にした



--------------------



香太と凛堂先輩が家を出ていったタイミングで俺は壮太さん(香太のお父さん)に話しかける。


「壮太さん、あれ、どう思います?」


一瞬戸惑った顔をするが壮太さんはすぐ答えてくれる。


「正直言うとあの2人の出会い方とかその他もろもろが運命としか思えないね」


うん、やっぱり同意見だった。


「ですよね、壮太さん知らないと思うんですけど、凛堂先輩って学校じゃ美人で有名なんですよ、そんな人を事故から救うなんて香太も隅に置けないなぁ...」


「俺的には香太と凛堂さんはお似合いだと思うんだけどなぁ…凛堂さんはともかく香太は恋愛とかには疎いからなぁ」


「そもそも記憶喪失でそれどころじゃないんですかね…」


「でもまああれだけ仲良くて異性として意識してるなら時間の問題だろう、多分」


まあ俺もそう思う。

なんたって凛堂先輩はほぼ毎日香太の病室に行っていたようだ。

事故から庇ってもらったという感謝と罪悪感だけじゃそこまではならないだろう。

それに凛堂先輩、香太にマフラーとか編んだらしいじゃんか。

くっ...親友ながらなんと羨ましい。


「まあ、俺らは見守りましょう。

あのふたりなら変な方向には転ばないでしょう。多分」


壮太さんも俺も語尾には多分が付いてしまうのだが…

まあ大丈夫だろう!


多分...。



--------------------



さあ、奏を家まで送るわけだが、どっち方向なんだ?

そもそも車で寝てたせいで見知らぬ土地に来た感が強い...

送った後1人で帰れるか不安になってきた。


「香太?大丈夫?」


しまった、顔に出てたか。


「あぁ...まあ大丈夫では無いかもだけど多分大丈夫だと思う」


「近いんだし無理して送らなくても良いんだよ?」


「いや、近いとはいえこの時間に女の子を1人で帰らせるのはそれこそ無理かなぁ」


「そ、そう?えと...ありがと」


なんか歯切れ悪いけど大丈夫かな?

料理もたくさん作ったし疲れたのかな?

なお1人で帰らせるわけには行かないな


「んで、家どっちの方なの?」


「ああ、こっちだよ、ゆっくりでいいからね?香太のペースに合わせるから」


奏はそう言ってゆっくり家を出て左の方へと歩き始めた。

それにしても女の子にペース合わせてもらうとはこれ如何に。

まあ怪我してるんだから仕方ないけども。


そんな感じで2人でゆっくり奏の家に向かった。


5分ほど歩いたところで僕は奏に言おうとしていた事を思い出した。


「奏」


「ん?どうしたの?」


「なんか、こういう機会でも無いと言えなそうな気がするから一つ話してもいいかな?」


「う、うん、いいけど、改まってどうしたの?」


なんか気恥ずかしくなってきたな。


「えっと、僕が病院で目覚めてから不安でいっぱいの時に奏が突然病室に来てさ、正直最初は衝撃だったんだよね。

でも衝撃的だったおかげかな、ちょっと不安が和らいだんだよね。

そして勇気を出して友達になってもらって、それからも毎日のように病室に来てもらっちゃって、迷惑かけてる気がしてたんだよね。」


「迷惑なんてそんな...そもそも迷惑かけたのは私だし...」


「うん、奏がそう言ってくれる優しい性格だって分かってる。だから僕もその優しさに甘えてた。

そして毎日のように話してて凄い心の支えになってたんだよね。」


奏はただ静かに話を聞いてくれている。


「前振りが長くなっちゃったかな、とりあえず言いたいことは一つだけ。

奏、本当にありがとうね…奏が居なかったら今頃僕は壊れてたと思う。

だから本当にありがとう。」


全て本心だ。

そもそもの記憶喪失の原因が奏にもあるかも知れない。

だけどそれも含めて僕は奏に出会えた事が良かったと思っている。

それこそ運命のように。


「香太、私からもひとつ...いや何個か言わせて、私ね、事故の日体調不良なのに無理して学校行ってたんだよね。それでふらついてたの。

そしてそのまま突っ込んでくるトラックにも気づけなかった。

だから事故の原因にやっぱり私の責任もあるんだよね。

だからね、香太にお礼を言われることなんて無いよ。私のせいなんだから。」


そうだったのか。

それであんなに責任を感じてたのか。

だけど僕は奏の話を聞いて少し安心した。


「じゃあなおのこと事故にあったのが僕で良かったかな。

こんなこと言うと自己犠牲野郎とか言われそうだけど、体調不良でふらついてる奏にトラックが突っ込んだら助からなかっただろうからね。記憶喪失前の僕ナイス!」


それを聞いた奏は唖然としていた。


「ん?どしたの?鳩が豆鉄砲食ったような顔して」


「ふふっ、香太はほんと変わらないね…あの時から...」


小さい声でなんか言ったような。


「ごめん、聞こえなかった、もう1回言ってもらっていい?」


そうするといい笑顔で笑って


「ううん、なんでもない!独り言だよ!それより香太もう一つ言いたいことあるんだけどいい?」


そういえば何個かあるって言ってたもんな。

なんだろう


「私はね、迷惑なんて思ったこと1回も無いよ!むしろその逆かな。

香太と話してて楽しかったし、もっと話していたいって思ったこともあった。

それに香太を喜ばせようって思ってマフラー作るのも楽しかった、そして今日のサプライズの準備もすごい楽しかったよ?

だからね迷惑かけてるなんて思わないでね?

むしろもっと甘えて良いよ?

私は香太に返しても返しきれない恩があるんだから。」


奏は笑顔で僕の顔を覗き込むようにして言ってきた。

ちょっとドキッとしつつ平静を保ちしっかり返答する。


「そっか...了解!ちょっとネガティブになっちゃってたかも。

でももう大丈夫。

奏にそう言われて気が晴れたよ。

ありがとう」


そう言うと奏は今日イチの笑顔で


「どういたしまして!そして香太!こっちこそありがとね!今回も私を助けてくれて、そしてこれからもよろしくね!」


「うん、こちらこそ!」


僕は奏に感謝している。

何も分からない僕に優しくしてくれて色々してくれた。

そして今の僕には自覚ないけど奏も僕に感謝してくれている。

だから僕達はこのままでいいんじゃないかな。

何か変わる時が来るかもしれない。

だけどお互いに持つこの気持ちは変わらないはずだ。

いや、変えてはいけないだろう。

でも奏に何かお返しはしたいかな。

記憶喪失後は何もしてあげられてないからな。

とはいい何をすればいい事やら...


「香太、送ってくれてありがとね。ここ私の家だからもう大丈夫だよ」


そう言って左を向く。

そこには凛堂と書いた表札。

考え事しているうちに着いちゃったのか。


「ほんとに近かったんだね。もしかしたら学校行く時とかすれ違ったりしてたかもね」


「ふふっ、そうだね」


そう言って2人で笑い合う。

こうして他愛もない話をしているだけで楽しい。


「そういえば香太、いつから学校通えるの?」


そういえば奏に言ってなかったな。

えーっと確か来週だっけ?


「確か来週の月曜からだよ、今週は周辺の土地に慣れておいた方が良いだろうって学校側が配慮してくれた。」


「てことは12月4日か。

こういうのもあれだけど頑張ってね。

色々大変だと思うけど何かあったらいつでもメールしてね。力になれるか分からないけどやれる事はやるから」


ほんとに奏はどこまでも...

でもその好意に甘えよう。

正直学校へ行くのは不安すぎる。


「うん、分かった。なんかあったら相談する。ありがとね」


「うん、どしどし相談受付中だよ!」


そんなこんなしているうちに時間は0時になりそうだ。


「ああ、流石にもう帰らないと。

またね香太!気を付けてね。」


「うん、また今度!」


そう言って奏が家に入っていくまでずっと手を振っていた。


さあ帰るか。

随分話しちゃったな。


あれ?帰り道どっちだっけ…

てかここどこだ。


やべえ…考え事しながら歩いてたから道覚えるの忘れてた。。


これってピンチ?


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