ホラーで涼む
五月病って夏バテのことだったんだね。(勘違い)
もう暑いから夏だよね、ホラー書こ。(錯乱)
ネタバレ:主人公は凍る
「ねぇねぇ、聞いてる?」
「なんだよ」
柴豆みたいに言いやがって。
「今日の夢は凄かったよ」
「何が」
「お腹が減ってるかは分からなかったんだけどね」
「おう」
どうでもいいわ、珍しいけどさ。
「女の子に追いかけられててさ」
「ふーん」
お前イケメンだもんな。ケッ
「包丁持ってたんだ」
「え」
え、誰が?
「グサーッ!って」
「ちょっと待て誰がだよ」
「ボクが」
「女の子に?」
「女の子を」
「え」
お前が刺したの?
「どういう状況か最初から話せ」
「だから、女の子が追いかけてきて」
「うん」
「ボクが包丁で刺したんだよ」
「だーかーらー、過程を話せよ!原因?と結果だけ話しても過程が無きゃ分かんねぇよ!」
この馬鹿野郎!
「結果じゃないよ」
「え、まだ続くの?…それよりまず過程を話せ」
「最初は話したね?」
「女子が追いかけてきた、まではな」
「それで、包丁持ってて」
「誰が」
「女の子が」
「予想通りだったけど」
じゃあなんで結果的にお前が刺してんだよ!
「それで、刺されそうになって」
「まぁ、そうなるな」
お前なんの恨み買ったの?夢だけど。
「避けきれずに腕が切られて」
「…うん」
思わず腕に目を向けた。
心配してんじゃねぇからな!
「ヤバいと思って、包丁奪ったんだ」
「おぉ」
オレの幼馴染みは高性能らしい。
でも残念だ。
「そしたら、大人しくなるかと思ってたんだけど…」
「襲いかかってきた?」
「そう」
ドラマかよ。
「で、手は包丁で塞がって、でも攻撃してきてて、防御するわけだけど」
「うむ」
「ちょっと予想以上に女の子が強かったから」
「女子力たけぇな」
笑い事じゃねぇけど。
「色々あって刺さちゃった」
「面倒くさくなって省いたな、でもまぁわざとじゃねぇのは分かった」
「うん」
「正当防衛だろ」
「そうそう、せーとーぼーえーだとボクも思うよ」
「…お前意味分かってる?」
「全然」
「…はぁ」
「それでね、ボクは女の子を殺しちゃったわけだけど」
「…ぉぅ」
夢ん中でも人殺しは嫌だよなぁ。
「殺しちゃった、わけだけど」
「うん?」
強調してどうした?
「食べなきゃ駄目だよね」
「は?」
「だから、食べたんだよ」
「ぇ」
オレの顔、今真っ青だと思う。
「ん?…どうしたの?」
「ひぇ!」
満面の笑みで此方を見ている。
ヤバい!食われる!
「冗談だよ」
「え?」
「ちゃんと埋めてお墓建てたから」
「お、おう」
変なところ夢クオリティだな。
でも、ホッとしたわ。
「可愛い反応するね、ホラー苦手なの?」
「…今のはホラーってか、なんか、違うだろ」
断じてホラーが苦手なわけではない。
「ふふふふ」
「…ふん」
「あっそうだ、今度一緒にホラー映画見に行こうよ」
「えっやd」
「約束だよ?じゃあね」
逃げ道を無くしやがった!
手を振りながら走り出す。
「あ、待っ…!」
手と一緒に揺れる袖の隙間に、包帯が見えた気がした。
結果:主人公は(背筋が)凍った。
ホラー書く気で書き始めたはずが、ギャグっぽくなったけど、結局ホラー(主人公目線では)っぽく終わらせれたからいっか。
ホラー苦手系主人公は深読みし過ぎて、ホラー映画を見に行く日に、幼馴染みから包帯してた理由を聞かされるまで、寝不足になったり、遺書書いたり、幼馴染みの前では挙動不審になったり、死を悟ったような顔したりするまで考えたけど、飽きたから投稿しまーす。