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And Without Saying Goodbye Also   作者: sugar
Like those of date (デートの様なもの)
8/40

Three sisters(三姉妹)

「ねーねー、なに作ってるの?」

「のー?」

「・・・」


左右で別れた巻髪が、ふわふわと揺れている。


「来たな、悪がき共」


「悪がきじゃないですー、とてもキュートなアルスですよーだ」

「同じくキュートなベルですよーだ」

「・・・イリー」


エミリアを踏みつけながら三人は、思い思いのポーズをとっているが、まとまりが皆無だ。


アリス、ベル、イリーの三姉妹も、屋敷で働くメイドだ。

アリスとベルは、いたずら好きの長女と次女、イリーはそんな二人に振り回される無口な末っ子。

そんな三姉妹は、少し特殊な雇用をされていた。

「エミリア、だいじょうぶ?」


三姉妹を、扉の影から眺めていた幼女が駆け寄る。

濃紺の髪、つぶらな瞳はなんの憂いもなく

輝いていた。


「大丈夫ですよ、リリム様・・・っと」

体勢を立て直すエミリア。

のしかかっていた三姉妹は、バランスを崩し転がる。


「貴女達、わかっていますよねぇ。特に、アリスさん?」

「えっと・・・いやぁ、そのぉ」


物凄い形相のエミリアは、アリスの頭を抑える。

獲物を狩る狩人と、狩られる側の兎のような構図が出来上がる。兎もといアリスは、やり過ぎたのをうやむやにしようと曖昧な笑顔を浮かべる。


「みんな、逃げろ!」


アリスの号令を受けた姉妹と、リリムは蜘蛛の子を散らす勢いで走り出した。

毎度の事なので、エミリアも追うような事はしない。その代わりに一言。


「イリーとリリム様以外おやつ抜きですよ」


その言葉はさまよいながら、虚空を駈けた。


「ったく、相変わらず嵐みてーな奴等だな」


「本当に。リリム様が感化されないか心配よ」


そうため息をつくエミリアの瞳に、リビィが茶化すように挟む。


「なんだか、そうしてると、奴等の母ちゃんみたいだな、メイド長」


「そうね、まぁ、悪くはないかも」


以外な返答だったのか、リビィはそれ以上追求してこない。

肉や、野菜を煮込んでいる寸胴鍋からはもうもうと湯気が立ち込める。そんななか、二人の間には微妙な沈黙が流れていた。

リビィは、その沈黙に耐えきれなくなったのか、重々しく口を開く。


「すまねぇ、今のは忘れてくれ。旦那と、奥様の子供なのにな、リリムは」


「気にする必要は無いわよ。確かに、マリアに似てきたときは、少し複雑な気持ちになったけれど」


リビィどんな顔をして、どんな解答をすればいいのか、答えは見つからないまま再びの沈黙が訪れていた。


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