雲海・相性
天空地帯――
VR特有のリアリティ故か空気が薄く感じられる。
ただ、理屈までは分からないが通れる雲とそうでない雲が存在し、通れる雲の上を進みながら攻略するという状態にあった。
「敵も近接じゃ話にならないだろうなぁこれ」
銃で撃ち抜きながら言う。
「面目ないトナ…」
「槍をブーメランのようにはできないのか?スキルがないなら作るぐらいの感覚で」
「それだったら投槍を初めから買うべきトナ」
「拳の衝撃波となると俺たちが落ちる可能性も孕むからな…」
結局のところ、なんとなくの成り行きで俺、アンダーテイカーさん、トナカイさんの3人で雲海を進んでいるのだが、実質戦力は俺のみなのでかなり厳しいのだった。
「もう少ししっかりした足場が欲しいところだ」
「まったくだ。これじゃあロクに戦えない」
「そら近接組は軒並み鍛え直しに入るわな」
ここの敵は海底地帯とあまり変わらない強さ、つまり今ならそれほど苦もなく倒せるのだが、足場の悪さや敵の性質上、遠距離攻撃のない近接職が多かった近接組は軒並み鍛え直しを強いられていたのだった。
呼吸を整える意味も兼ねて酸素ボンベ(携帯用)から酸素を取り込みつつ、転移のポータルを捜索する。どうもNPCや噂話によれば天空地帯は酸素ボンベが必須でそれが切れた時に戻るのは出来ても再スタートが開始地点では攻略が進まないというメタ的な理由などもあってあちこちにポータルがあり、そこを解放しておけばそのプレイヤーが次回以降そこから探索できるようになっているという。
「酸素ボンベの容量はどの程度だ?」
「あと半分くらいかな」
「同じくトナー」
「早いとこ見つけないとマズイな。息切れで死亡とか洒落にならないしネタにもならない。なにより今はデスゲームだから余計にな」
飛行系エネミーばかりが出現するのでひたすらに撃ち殺して落下しないよう足場に気をつけつつ進む。
そうして進むとポータルが見えた。
しかし、そこにはやや大きめのエネミー。
「中ボスを倒さないとダメってか…厄介だが、飛行系じゃないだけマシか」
それは青白い馬の姿をして、こちらを敵意の眼差しで見ていた。
「よし、ここは俺とトナカイさんでやる」
「分かった。もしこっちに来た時と飛行系がポップしたときは手を出すがな」
「任せろトナー」
多分このエリアはアインとかWorld Endが主体になる気がします。




