水底・無明
水に入ると、俺の周りだけ僅かに空気の層のようなものが出来上がった。
なるほど、これで潜るのか。
念の為水中に向かって試射を行う。
問題なく魔力の弾丸は飛んで行き、近くの岩に当たって岩を砕いた。
「威力、精度、状況その他問題なし。行くか」
銃をしまい、泳ぎながら辺りを見る。
思った以上に暗く、太陽――より厳密には、太陽として設定された光源だが――の光は全くと言っていいほど届いていない。
水底は、ここまで暗い場所だったのか。辺りにはエネミーは勿論、遺跡の残骸のようなものや魚・貝などのエネミーではない生物も見つかった。
戦ってもいいが水中で連戦となるとどうなるかは分からない。リスクを下手に負わないようにするのが最優先だと考ええ、遺跡の残骸などw遮蔽物として利用しつつ目を盗んで先へ進む。
深い深い海の底へ、特に宛があるわけでもないが、進む。
しばらく進むと、不意にデバイスが振動する。
俺はデバイスが示す方向に向きを変えて更に進んでいく。
すると住居の形がある程度残った集落の跡地のような場所にたどり着いた。
肩に手を置かれる。
振り返ると、プレイヤー。どうやら敵意はないらしい。
「やっ、もしかして君も探索かい?」
「ええ、そうですね…ところでその格好は…?」
「泳ぐんだから、水着に決まってるじゃない。それとももう少し露出したほうが良かった?」
何故か目の前の女性プレイヤーは所謂スクール水着のようなタイプの水着を着ていた。
「そう言うセリフは控えてくださいね。っと、目的は探索ですが、そちらもですか?」
「ええ、ちょっと面白い噂を聞いちゃったからフレンドと一緒に手分けして探してるのよ」
「そうですか、それで俺を呼び止めた意味は?」
「(スタイルには自信あったんだけど…全く興味示そうとしないわね…)たまたま見掛けたから、珍しいなと思っただけよ」
「そうですか、では俺はこれで。失礼します」
何が目的なのかは分からなかったが、俺の探し物はダンジョンであって宝物のたぐいではない。
おそらく目的がかぶることはないだろう。




