ワールド・ボス
「んで、大地の皇だったっけか。そいつが目標のうちの一つ」
「それがアレか」
「そうそうアレ」
目の前に聳える巨大な岩盤…のように見えるもの、これがボスだという。
動かねえし。これ壁じゃないの?
そんな疑問を抱きながら見上げていると、不意に地面が揺れる。
巨大な岩盤が動き、その振動で大地が揺らいでいた。
「…マジかよ」
雲を突き抜けるほどに高い巨大な岩石の怪物は、まるで此方を気にせず、拠点たる街へと動き出した。
「嘘だろ!?」
そんな声が上がるが、現に起きている以上はこれが事実として考え、動かねばならない。
移動しながら戦闘とか、結構キツくないか?
足元に剣士達が斬りかかる。彼らの武器はボスを倒す為に鍛え上げた武器なのだが、歯が立たないのか、弾かれてばかりだ。
剣士が多くなるのを見越してこれをやっていたのなら、運営ないし改竄者はかなりの外道だ。
俺は双銃を取り出して岩の隙間を狙うように撃つ、が相手も動く上に地面が安定しない。その結果として岩に衝突して弾かれる。
なんとも厄介な敵に当たってしまったものだ。
こんなもん相手に蹴り入れたら骨が折れかねない。
勢いよくナックル使いの男が突っ込み、グローブで保護された拳を打ち当てる。
するとボスが一瞬動きを止めた。
「コイツはどうやら斬撃よりも打撃の方が効くらしいな。
お前ら!俺が動きを止めてくからその隙に少しでも崩してけ!」
「止まってんなら行けんじゃね?」
そう言って黒ローブの一人が銃剣をコートの袖から出し、隙間に突き刺した。
「爆ぜろ」
そう言うと銃剣の差し込まれた場所が爆発する。
「爆破と打撃を中心にしてけばいいってか。蹴りは無理だが炸薬系の射撃でも入れてやるか」
足元から切り崩す作戦は少しずつではあるが進んでいく。
戦闘(?)開始から5時間かけ、漸く足が半分になった。
上手い事足止めを活用しつつで、スタート地点からほぼ動いていないが、岩石という無生物に対し、生物である俺たちは疲労を感じずにはいられなかった。
「認識が…少し甘かったか」
深めの落とし穴に足を取られたボスの攻撃に当たらないよう注意をはらいつつ携行食を口に入れ、水で流し込む。
味が悪い。現実の携行食が如何に贅沢かを思い知らされる気分だ。
その現実に戻るためにクソ不味いもの食って戦わなければならないのだが。
戦闘描写は何年経ってもあまり進歩していない気がします。




