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銀河帝国史・サイドストーリー

物語の場所は一千億恒星系を誇る銀河帝国です。不死ではないですが、完全な不老の貴族に支配された階級社会の物語です。貴族の元には、平均寿命180年の金が1~8級市民が暮らしています。その市民からはみ出した者がアウトサイダー、落ち毀れたのがアウトローなのです。アウトサイダーとアウトローには人権は認められていない世界の物語です。幼い主人公のレイナが、様々な身分に変遷して、結果クイックライナーになるのですが・・・

小さかった頃の記憶は、本当に無い。ただ、微かな記憶で、グローバルステーションと言う所に居た。それ以前の事は全く知らない。私の両親は、そこでローランク1と言う立場でした。ローエリアの小さな部屋が、私と両親、3人の家でした。宇宙では、水ですら貴重品、まして食べ物なんて・・・父さんも母さんも、毎日疲れ果てて、帰って来て居ました。二人分の食べ物を3人で分けて食べる事など、ごく普通の事でした。

ローに、ティズムは在りません。そして、氏も在りません。更に、年齢も無いのです。何でもそれまで持っていた身分証を完全に破棄させられるのですから。辺境では日常的によくある事。その代り、グローバルステーションでは、呼吸する空気だけは、恵んでくれます。

お家の近くや、階段脇に、干からびた死体が在る事は、ごく自然な事でした。でも、不思議だったのは、その死体全てが、素っ裸だった事。完全無一物の体だけが、時々まだ生きていても、ローエリア警備隊員の指示によって、アンドロイドが、ダストシュートに、投げ込んで居ました。放って置くと、病気の発生源とかになるそうです。その事だけは、鮮明に覚えています。

そして、私達の住んで居たグローバルステーション本体が、帝国艦隊の攻撃を受けました。理由なんて、全く知りません。ただ、ローランク1の個室に退避していた私は、ローやリアの殆どが、大破、気圧0と成ったけれど助けられたひとりでした。主にローランク1の個室に対して、特別な配慮と処置によって、各個室に逃げ込んで居た私程度の子供達が、数千名も強制的に救助されたのでした。その時、私達には両親とは、生き別れとなったのか、死に別れとなったのかすら、知る術を、誰一人持っていませんでした。

概ね7歳と思われる者と、明らかに年上の者、そして明らかに年下の者、大きく3つのグループに分けられました。そして私は、年下のグループにいれられました。それは、どう見ても6歳以下のグループでした。何せ、本当の年齢が不明な為、細胞分析による年齢測定による、大雑把なモノでした。そして、結果的に、年少のクーループで、生き残った者は艦隊アウトナンバー校に入学される事が決まっていました。私を含めて通常5歳のティズムの時、射入される帝国共通語マイクロチップなど、一切マイクロチップの射入をされて居ない者ばかりでした。そして、その意味する所、私達は、艦隊のアウトナンバー校に入学するまでは、アウトローの保護難民と言う立場でした。この為帝国中央研究院と言う、雲の上の研究所の実験体にされてしまったのでした。過去シックOワン・サクセスと呼ばれいてた・・・要するに成功率、0.000001%より、適合率検査システムの確率によって、1000倍の成功率と大幅に成功率アップ???・・・良く命有った者ですねえ。

そりゃまあ~、食べる物と飲み物、着る物、寝る場所は、文句なしでしたし、幼いながら、処置を受けるたびに、知識や、能力が上がって行く事が自覚できる事は、不思議な感覚でした。しかし、私は極めて稀な成功例でもあったのでした。何せ、実質予測年齢5歳6ヶ月±3ヶ月でしたから、あの時に死んでいても、いえ死んで当たり前だったのでした。しかし、入学者不足の極みでもあった当時、僅か7ヶ月で、帝国ダークグレーエリア艦隊アウトナンバー校に入学出来た為、一命を取り留めたのかもしれませんでした。それは、マイクロチップ以外に、体内ナノマシーンを体重に対して、限界まで注入されていたからでした。それは、死と背中合わせの、危険な特製マイクロチップだったからです。命の有った私は、極めて運の良い一人でした。軍の係りの人は、困った顔をしていただけでした。だって、集められた私達のグループで、生きて居たのは、私一人でしたから、とかも、その私も、何やら基準に達していないとか・・・

早々に形式上、7歳として、ティズムを形式上受けさせられました。銀河帝国には、5歳、7歳、15歳、にティズムという自分の進路を決めるシステムがあります。尤も、5歳の場合のみ、本人の能力検定と、帝国市民としての、マイクロチップ等の射入、は全員、そしてお金の有る人達は、より高度なマイクロチップの射入を有料で、受けることができるのです。そして、7歳のティズムでは、進学する義務教育を選ぶ事が出来ます。本人の潜在能力を測定して、可能な進路が示されるのですが、私達には、ただ一行「帝国ダークグレーエリア第2アウトナンバー校」としか、表示されていませんでした。


入学と同時に正式に銀河8級市民として、登録をされたのでしたが、先方の係官の方も慣れたもので、

「名前は?」

「レイナ」

「う~ん、アウトロー出身だね。両親の名前覚えてるかい」

「はい、父さんがローラン、母さんがナルミ・・・」

「ふむ、レイナ・ロナと、・・・しかし如何見ても6歳になって・・・とっと、7歳と1日だな。分った、後は全て処置して置くよ。向こうの大食堂に、歓待のバイキング昼食が準備してあるよ。行って、好きなだけ食べて、後は休んで居なさい。わかったね。」

「はい。」

なんて言われたのは、初めだけで、その後、詰め込み教育とその実践、マイクロチップで済む所は、素っ飛ばして、不足分は、座学まあ、学校の中央電子脳と、各個人との教育。そして、頭で理解出来た事の実践、全員幼いながら、分って居る事と、実際に出来る事の違いを1年生の時から、体得させられていました。

問題は、この時期、黒色隊は無論、宙兵隊、艦隊のアウトナンバー校は、極めて生徒の確保が難しい時期だったのです。その理由は、帝国第2中央研究院の確立にありました。元々、問題の多過ぎた帝国中央研究院に対して、より現実的な研究、実験、開発を目的とする・・・ん~まあ~制約の厳しい研究院が、その人体実験は、禁止なので、その被検体を、帝国中のアウトナンバー校に求めたからでした。うー・・・私を除いてですけどね。その私は、とある研究所のたった一人の成功例だったのです。よって、絶対死なせる訳にはならぬと、極めて慎重に、彼らとしては、極めて控えめに、私の体を強化していたのでした。何でも、成功例が在れば、安全性重視の劣化版の試作など容易い事なのでした。その代り、私に対しては、まさに帝国級の様々なマイクロチップも射入されたのでした。無論、他の生徒に対して、許される限りの特別扱いでした。8年間の義務教育中に、危篤状態には、何度かなりましたし、入院レベルは、もっと多かったです・・・良く命が有ったと言うか、良くも生き延びたものでした。

そりゃまあ~、私の同級生、第2帝国研究院の被検体、比較的安全で、かつ実践的の失敗例・・・私個人の知る範囲で、軽く100名以上、公式原因は、病死、事故死などですけどね。

そして、私には、並のマイクロチップ100個分以上の高性能なシロモノが射入されておりましたが、これらの大半は、体内に注入されたナノマシーンの制御の為の特製品。と言うのも、私にだけ、適合したナノマシンが超特別製、希少貴金属のミスリル銀を主体として、ハードレアメタルにて完成されたシロモノ。

結果、成績は、飛び抜けてトップ。全教科、全実技の個々のきょうか全てで、2位以下ぶっちぎりでいたね。しかし、所詮アウトナンバー校出身者の行き先等、辺境艦隊勤務しか在りません。艦隊勤務で、艦に乗れる場合に限っての事ですけどね。地上勤務や、基地勤務なら、そこそこ在りました。将来農民にでもなりたい者は、安全第一で、そう言った、勤務を選ぶ者も、決して少なくありませんでした。艦隊勤務で最も危険なのが辺境艦隊勤務です。そして、乗艦するのは、出来るだけ大きな艦の方が安全な事も常識でした。

そして、艦隊勤務を選んだ者全員が、辺境艦隊の駆逐艦乗り組みでした。私は、その様な中でも、成績が良かった為、かなりまともな、ダークグレー第2エリア所属、第78辺境本部、第6遊撃艦隊。10万tのホワイトフィッシヤーⅤ型、軽巡を旗艦とした、3万tのクリントンⅣ型駆逐艦6隻で、統一された艦隊の第1駆逐艦乗り組みの2等兵見習いになれました。これでも、私の仲間内では、最も良いポジションでした。

この頃の艦隊では、特に辺境を中心として、人手不足の解消の為、私の乗る事になった、クリントンⅣ型を含め全ての艦で、定員削減対策処置が取られていたのです。本来100名乗り組の定員を50名の定員と改装され、不足分は、アンドロイドが補っております。まあ、その分艦の中央電子脳は、強化され、手を抜ける所は、徹底的に無視されまくっていました。

兵装は、20サンチファイパルス砲12基、既に時代遅れの中型空間転移魚雷2発、小型思考性超高速ミサイル発射管8基、ミサイルは24発、艦の表面を自在に高速移動できる近接防御兵器のガナルバルカン20基。

艦の防御力は、バリア(対物防御)、スクリーン(対エネルギー防御)共に強化型が付いています。また、艦の装甲は、薄いけれど、本物のレアメタル装甲になっています。

これでも、辺境の駆逐艦としては、上の部類に入る艦でしたあ~。・・・下を見ればキリが有りません。

今回の入隊者は56名。一部満期除隊者を含む欠員56名に対する補充でした。まあ~ベテランが、56名減って、新米の見習二等兵、56名員数あわせで補充された訳ですが、定員が揃っているだけ、極めてまともな辺境艦隊本部でした。第6遊撃艦隊には、7名配属されたのですが、私一人は、完全別格扱いでした。多分、私の能力のせいですね。ライセンス上では、アウトナンバー校では、A級ライセンスが上限なのですが、実力的には、操艦、航法、機関、探知、サーチ、探査、スキャン、各種オペレーターに於いて、全てトリプルS級でしたからねえ。

これでも、ましな辺境艦隊では有るのですが、何分旗艦を含めまして、全ての艦が、艦齢100年以上でしたので、所属は、第1駆逐艦でしたけど、第6遊撃艦隊の7隻を飛び回っておりました。無論、修理や不具合の調整でしたよう~。おかげさまで、他の同期生より速く、見習がとれまして、即二等兵、最速で、一等兵、上等兵と昇進させていただきました。にしても、良くもここまで、異なる部品で、動けるものですねえ。って、実は、足りない部品の代用品で、間に合わせて居るのが、古参下士官と、私だったりしていまして・・・でも、本来の戦力は、ちゃんと維持していますからね。

それと、これは厳密に言うと、規則違反なのですが、この辺境艦隊では、定期パトロールコースが定められています。辺境の領主やシンジケートと繋がりの有る古参下士官が、かなり居まして、まあ~お互い安全第一なのです。年に数回エリア艦隊から、査察が入る時など、係争中のグローバルステーション等、一時休戦して知らん顔ですものねえ。ですから、一切敵らしきモノに遭遇する事も有りませんでした。よって、年中、修理や調整やってるだけで、無事2年間の兵役義務旗艦は終了してしまいました。

「う~む、君は出来る者なのだよ。今では、第6遊撃艦隊で、一番必要とされる存在なのだよ。出来れば、君には、残ってもらいたいのだよ。」

などと言われまして、まあ~、一応銀河5級市民権は、貰っておりますが、親兄弟、親戚、つての有る知人一切無し。軍務終了しましても、行き先が在りません。まあ、手続きを取れば、帝国預かり領の農民ですか・・・それに、軍の給料は、激安ですしねえ。よって貯えも殆ど有りませんので、そのまま了承して、軍に残る事にしました。すると、これまでの、アウトナンバー校からの艦隊入隊者から、志願兵に登録を直され、自動的に一階級昇進して、兵長になりました。

一応、念の為、兵士の月給を教えます。見習二等兵30セル、二等兵(ここから正規兵)50セル、一等兵55セル、上等兵60セル、兵長65セル、なんですよねえ。当然普通なら生活出来ません。衣食住が付いていて、更に、酒保と言う、軍隊内の売店の販売価格が、異常に安いので、元気に働けるのです。まあ~自分の艦以外での出張修理や調整などですと、特配物資が貰えますので、何も出来ない同期や後輩よりは、かなり楽な方でしたけどね。装備関係や個人武器などは、こう言ったときに貰える事が多いですね。何でも貰って、貯め込んで、欲しい者に売る行為は、容認されてましたしね。じゃあ、チマチマ貯金が貯まるはずと思うでしょう。ところが、艦隊のパトロール中の食事は、原則宇宙食です。栄養満点、カロリーも充分なのですが、一口サイズで、ツルリン、パクでお終いなのですよね。育ち盛りの私達は、最初のパトロールの時、まさに腹ペコと言うモノを実感させられたのです。更に、飲み物の支給にも、制限が在りました。しかも、そっちのメニューは、水かサーシュ(コーヒーの様な物)しか有りません。そこで、辺境艦隊本部の売店で、合成干肉をキャラメル程度の大きさに、軍隊式根性で圧縮した個人食が欠かせません。味や辛さ甘さなど種類は、2年間で、コンプリート不可能な程沢山あります。1パック10個入り1セルから。まあ~市価の10~20分の1ですね。それと、色々な味の付いたフルーツジュースも大切ですね。1ℓペットボトル6本入り1セルから。ですから、お金が貯まらないのです。

時々、何処かの辺境艦隊が、宙賊船とやりあって、お宝ガッポリ稼いだ。なんて、うわさでは聞きますが、全く此処ではご縁がありませんねえるまあ、他の間を修理したりした時に支給される、特配物資程度でしたか・・・

艦隊勤務者の常識のひとつに、大きな艦程安全と言うモノが有ります。そりゃまあ~、仮に大型ミサイル攻撃を喰らいますと、駆逐艦なら、バクサン。軽巡なら、大破。重巡なら、中破。戦艦ですと、軽微なる破損となりますものね。ですから、1~2年の兵士は、駆逐艦勤務なのです。で、3年目に入る私は、旗艦、10万tのホワイトフィッシヤーⅤ型、軽巡に移籍されました。まあ~所属は何処でも、結局7隻の修理でしょうしね。などと軽く考えておりました。ところが、私達の運命は、そこでブッチギレテしまったのです。

定期転勤の時期は、無論、除隊する人、その補充に入隊する見習い受け入れの時期でもあるのです・・・まあ~2年前の私もそうでしたからねえ。当ったり前の事でした。しかし、

士官学校を7、8年掛けて、やっと卒業できましたあ~ なんて事、私にだって分る、コリャーア、アカンでしょう級の駆逐艦へ行けよな。レベルの銀河一級市民トリプルA、カビー・ウイントン少尉が、その身分ゆえ、寄りにもよって、私達の旗艦の司令艦長として、就任してしまったのでした。本来、艦長足る者、最悪の事態には、たった一人で、その乗艦を自在に操れなければなりません。帝国の軍艦は、最低の駆逐艦~オメガ級戦艦まで、最悪の場合、艦長一人でも、戦い、帰還出来る構造になっております。しかして、新任のカビー・ウイントン少尉に、出来るなどと、誰も思いませんでした。

ウィントンと言えば、知らない人が珍しい、帝室の一員、大公爵閣下、トリプルAと言う事は、その息子にしては・・・本部の士官からの情報によりますと、親から見放されて居る証拠に、同好する補佐役、副官が居ません。ただ、現場の者としましては、物資の補給が、3ランク程アップしています。完全に見捨てられた訳でもなさそうですけどねえ?

ただし、このカビー・ウイントン少尉はカッチンコチンの、頭でっかち実技からっきしの人物でしたあ~。私だって年齢を別にすれば、2年間の軍務経験と、ベテランに混じっての、各艦の修理、調整やってますからねえ、それに、古参下士官からの情報も貰えますから~、ヤバイと感じておりましたが、今さら如何し様もありませんでしたよね。貰った情報の最もヤバイ事、それは、年中やっていた、何~も無しパトロールコース予定表を掴んで、ダークグレー第2エリア所属、第78辺境本部へ意見具申に、半ば怒鳴り込んだそうです。古参下士官、兵士の中には各社グローバルステーションからの、連絡員へ急報しているそうです。俄然第78辺境本部管轄宙域では、大迷惑で、騒然となっているそうです。私なんかから言わせて貰えば、修理が大変だから、無茶な艦隊行動して欲しくないなあ~。程度だったのです。そりゃまあ、第6遊撃艦隊程度でしたら、ちょっと強力なグローバルステーションが相手ですと、全滅の危険性すら有るのですからねえ。古参の先輩は、この艦長が何を考え、何処へ向かおうとしているのかを、知ろうと必死でしたよね。まあ~後から思えば、事なかれ主義のメンバーばっかりでした。


そして、第6遊撃艦隊は出撃、全員完全に裏をかかれまして、マサカ!のポイントへ、一発ワープ!やっちまったんですよねえ・・・

一瞬で、旗艦中破、駆逐艦5隻バクサン、1隻大破・・・瞬殺ですか。誰が如何見ても、全滅でしょうねえ。第6遊撃艦隊の人員、400名中342名が、戦死又は行方不明(消滅を含む)大破の駆逐艦には、無傷のものは、居ませんでした。旗艦でも、生きて居るのは、55名だけ、内19名が重体まともに動ける者34名・・・ただし敵の第2撃を受ければ、旗艦もバクサン確実でした。初撃は、単なる自動防衛システムによるモノだったのです。まあ、後から知った事ですけどね。本気の攻撃を受けていれば・・・ぞっとします。

如何してこんな事になったのか?簡単な事でした。麻薬プラント要塞の自動防衛圏の端っこにワープアウトしたからです。

ところで、帝国の軍艦には、瞬殺のバクサンであれば別として、完全破壊を免れた場合、そのポイントを上部組織に通報てるシステムが組み込まれておりました。この為来るべき第2撃は、来ませんでした。

それは、ダークグレー第2エリア主力艦隊の全力攻撃が、間に合ったためでした。第6遊撃艦隊には、情報部等に繋がっている人もかなり居ました。私等では、知るよしも有りませんでしたが、分る人には、第6遊撃艦隊が何処へワープアウトするか知っていたのです。そして、そこは元々エリア艦隊も狙っていたポイントだったのです。ですから、第6遊撃艦隊からの緊急通報などより速く、万全の体制で、一瞬の直後、ダークグレー第2エリア主力艦隊は、より的確にワープアウトして、自動防衛システムの攻撃力を全て第6遊撃艦隊に集中させ、即全力攻撃を実行した訳でした。結果、モノの見事に、麻薬プラント要塞を攻略成功の報を、帝国中央艦隊および、帝星へ発していました。ほぼ同時に、情報部の重巡が、何隻も、出動したそうです。

当然、麻薬プラント要塞攻略の功は、エリア艦隊のもの、私たちは、一応、第一発見者の立場になりまして、全員一階級昇進確定。戦死者は、二階級特進・・・って浮かばれませんねえ。私は、軽巡に乗り組んで、更に攻撃されなかった左舷に居たから、命が有ったのでした。2分の1の確率、機関課でしたから、メインジェネレーターの影に居たから助かったのです。100名中45名の命が亡くなって、19名が、命に関る重体。他に2名は自力で動けません。自力で動ける者34名でしたが、内1名は、司令艦長で、呆然自失状態。残る33名は、過去2年間1度も無かったボザンナの大チャンス。右舷側のランチは、消滅していましたが、左舷の50人乗りのランチ2隻は、無事、ざっと点検して、動く1隻に、欲の皮の突っ張った33名が乗り組み、私の操船で、うりゃー、って・・・速いですねえ、こんかチャンスメッタに無いので、エリア主力艦隊にありったけのランチが、接舷していて、隙間が有りません。全員必死に接舷出来そうな場所探していますが、

「レイナ! あのランチの外側へ付けろ、間も無くアイツは動くはずだ。」

超ベテランのラリック曹長のお言葉。素早く反応して、直後、そのランチは、ゆったりと離れて行きました。

「フッ、あのランチの推進口が、作動しておったんじゃ。」

言われて見れば、確かに推進口が、少し赤みがかったようでした。

「全員体力勝負じゃぞ、幸い前のランチがあなを開けてくれておるわ。全員強化袋を忘れるな!よし付いて来い!」

全員、と言っても33名は、うりゃ~・・・って! これが、本物のボザンナですか? うわー、足元にお宝転がっております。視野狭窄性に陥った24名は、必死に足元のお宝回収に必死です。しかし、

「こいつは、さっき発進したランチに乗りきれなんだ分だ、見ろ! 点々とあっちの方から落ちておる。こっちだ! 急げ!」

と言われて、突進した者9名は、ホンの僅か先で、ブチ破られた元壁なのか、ドアだったのか、何て事かまっていられません。それは、手荒く荒らされた多分金庫。重貴金属の精製された、インゴットの山でした。

「おい、レイナ兵長。オレも聞いただけだがな、こう言う場合、貴重品程奥の方に配置されるそうじゃ。」

ふーむ、なんてヒマ一切有りません。他所の下士官兵士もぎっしりです。掻き分けるようにして、なるべく奥の方で、グッ!超重い~軽く1個100Kw、10個も袋に詰め込めば、さすがの強化袋も持たないかも・・・でも詰め込んで、何でまだ人工重力動いてんのよう~。(えー地球風に表現しますと、10個で焼く980kg約1トン)これを引きずって運べる体力の有る私が、いかに強化人間にされて居たかが、お解かりでしょう。まあ~、それにしても強化袋の丈夫な事。ぐぬ! なる程、ランチに乗せるには、持ち上げねばなりません。だから、パワー不足の先客が、なるべく安そうなお宝を諦めて、落として行ったのですか。こん身の力を振り絞って、よいしょとランチへと運び込んで、ビックリ。出入り口付近、穴だらけ+インゴットが転がっております。かく言う私も、床が少々不安ですね。しかし、このお宝を完全に私の物にするには、ランチ艇長(一応私が操船したから)専用スペースまで運ばねばなりません。普通の兵士では、これら1個を指定のナンバースペースへ運ぶだけでも、大変な重労働なのです。まあ、彼らのは、1個50Kw程度ですけどね。さすがに、こりゃキツイですよ。しかし、再度強化袋を持って、先程の金庫へ再突入・・・私の感覚的時間と、実時間にズレでも有ったのでしょうか?きれいサッパリな~んも無し、ついでに、誰も居ません・・・と言って他を探せる程の経験も有りません。人数、エリア艦隊多過ぎですよう。唯一残っているのは、一枚の絵だけですか?それも、誰かが外そうとして、破れております。リモートの立体フォロが主流の帝国でも、裕福な家等には、飾られていたりするらしいのですが・・・って!ムムム

絵を額ごと、壊し破りして、何でしょうねえ?って、小型のコントロールパネルです。フッ、ポケットの一つからロッククラッシャーをば取り出しまして、コレ、電子錠を含めて、あらゆるセキュリティ、ロック、ブロックを分解してしまう、機関S級になると、無料で支給される装備をセット。一応辺境では、新型のはずなのに、何やら、えらく手間取っております。(訳は後からイヤと言う程思い知らされました)やっと、

奥の壁がスライスして、割と小さな戸棚の様な・・・ 誰も居ない! 一目で分りますよ。これは、宝石だと!

即独り占め、まあ~強化袋に3分の1程度ですしね~ やったー!本物のボザンナ当てました。宝石単体、ネックレス、ブレスレット、ピアス、一切お構いなし・・・う~? 何でしょうね変に薄っぺらい、でも、コレも多分宝石でしょう。一番真ん中に置いてありますしね。欠片も残さず独り占め。さっきより、思いっきり軽いお宝を担いでランチへと戻りました。

私自身知りませんでしたが、帝国中央研究院10万分の1の成功体には、帝国情報部の枝、要するに私が見たり聞いたりした事全てが、多分第3情報部の末端電子脳に、24時間筒抜けになって居たのです。主目的は、私と言う個体の暴走の監視でした。成功例の個体が、何らかのトラブル等で制御不能になるケースは、決して少なく無いからでした。万一の場合に対する予防監視が目的だったのですが、

レアジュエリー発見反応は、帝室最高ランク! 情報部素っ飛ばして、帝星中央電子脳へダイレクト!

こんなシステム、メッタな事では発動しません。しかし、発動すれば、ことは、帝室級ミッションでしたあ~。

当然、帝室関係者でこの事を知らぬ者は無く。外に漏れる事も一切有りませんでした。


ただ、今回に限って、帝位18位の、ウイストン大公爵から、ナキが入った為、通常のプランAより、急遽プランCに変更されたのでした。皇帝陛下の側近、宙兵隊長による陣頭指揮のもと、瞬時にミッションは、完了ました。

再発進したランチを操船していた私は、その全てのエモノと共に、忽然と姿を消し、32名の刷り込まれた記憶によって、ラリック曹長が、最初から操船していた事になったのでした。

私自身は、ちゃんとした記憶はありましたよ。ただ、異様に大きな重巡か戦艦に、ランチが飲み込まれ、つぎの瞬間、ドカンと強烈な衝撃を受けたと思った時、既にランチから、そのデカイ艦の一室に放りこまれておりました。

一体全体、何が起こったのか分りませんよねえ~普通。でも私には、ある程度分りましたよ~。瞬間失神性ガス、32名に対する、記憶部分改ざんのマイクロチップの射入、そして、失神して動けないはずの私の移送。帝国親衛宙兵隊の精鋭だけなら、私だって抵抗しましたけどね。誰でもその姿だけは知って居る宙兵隊長による、フラッシュアウトで、ミリ秒以下のスピードで、当て落とされかけましたから、さすがの私でも、スピードの次元が異なっていましたからねえ。私の体の性能を完全に読み切られていました。でも・・・なんで?

要するに、アレはダメでしょう。と一度は見放したものの、一応、統治能力検査では、現状男爵程度の統治能力は認められており、まあ~、本人次第で、末は侯爵程度の結果は出ておりますウイストン大公爵の息子なのでありました。銀河帝国は、約1000億恒星系が存在しております。大公爵は、1億恒星系以上の統治者の事なのです。ちなみに、男爵は、29恒星系以下の統治者、侯爵は、30以上1万恒星系未満の統治者です。巨大な銀河帝国では、まあ~頑張っても1万恒星系すら統治する事が精一杯の様な、小者は、大手柄でも上げない限り、不老の統治者の側には、迎え入れません。ただ、ウイストン大公爵の直系一族本人入れて、5名と言う事も在って、本人に対する充分な指導、教育、監視、有能官僚の派遣等々を確約して、このチャンスに何とか・・・

でえ~、その資格となるアイテムを持っていたのが私、レイナ・ロア兵長なのでした。その事を知ったのは、帝国法によって、私の勝利の証と言う、お宝の一部が、問題のアイテムだったからなのです。帝国軍として、勝利の証は、本人の許諾なく断じて奪うことは、堅く禁じられています。

よって、私に対して、レアジュエリーを含む全ての鉱物に関するマイクロチップが射入され、正等な対価を示されまして、本人了承の元、私のお宝の薄っぺらな宝石21個が、持ち去られました。その時点で、私は、自分が決して手を出してはならないモノを全て持ち去られて、ホッとしていました。同時に、私に出された、あらゆる飲み物、食べ物にも、一切手を付けていませんでした。そりゃあー、それ以前に、致死性ナノマシーンや、マイクロチップをぶち込まれていれば、一巻の終わりでしたけどね。どうやら、帝国では、私を抹消する気は無い様でした。

しかし、一般の市民が、帝国レベルでの大功を上げずに、間違ってもスライスされたレアジュエリー、本物の勲章から外された、民間レベルでは、加工どころか、キズすら付けられない代物を入手すると、その末路は、消息不明と言う死が待っています。理由ですか・・・

現在、私の乗せられて居る、重巡航艦には、カビー司令艦長も乗せられています。そして、私の元から運び去られたレアジュエリーは、厳重なケースに収められて、彼の手元に有ります。

翌日、ネット配信によりますと、ダークグレー第2エリア所属、第78辺境本部、第6遊撃艦隊司令艦長のガビー・ウイントン少尉・トリプルAは、麻薬要塞プラントを発見、甚大なる被害を出しつつも、エリア艦隊へ急報、ダークグレー第2エリア艦隊は、全力にて、これを完全攻略。その後、何やら下士官兵士が、必死となって居る事に興味を覚え、皆が皆、必死にお宝を運んで居る所を、検分中、既に空となって、完全無人の金庫室を覗いた際、外し損ねて破れた絵に不信を覚え、絵を破り捨てたのち、その後ろにコントロールパネルを発見、装備のロッククラッシャーにて、更に奥に隠されていた小型金庫を開いた所、スライスされたレアジュエリーを発見。コレだけは誰にも分らぬように細心の注意を払って、誰一人知る事無く、帝星へ届け出た功によって、帝国の騎士ファンとなり、父親のウイストン大公爵より10恒星系を与えられた。などと、派手に報道されております。無論ダークグレー第2エリア司令長官も、また、ファンとして、迎え入れられたうえ、表彰や、昇進の大盤振る舞い・・・なんですが、私・・・レイナ・ロナは、2階級特進して、軍曹ですと・・・その~戦死者名簿に名前が乗っかっております。気の早い方みたいですねえ。ちなみに、本当に何もしなかったご本人は、2.5階級上がりまして、ガビー・ファン・ウイントン勅任中尉ですと。

そして、私は、喉はカラカラ、空腹に耐えて、目の前のご馳走や、様々なドリンクを一切無視しておりました。

やがて、明らかに貴族と分る、私より少し年上に見える方、(貴族は不老ですから、あくまで見た目ですけどね)

が私の所に来てくれました。

「ん~君に、一つテストを出すよ。君は如何なると思うのかなあ~?」

「公式には、既に殺されて居ます。」

「いや~、実は昨日から君、一切飲み食いしていないよね。」

「射入されたマイクロチップが優秀なものでして、一つくらい致死性で無い、まともな飲み物来ないかと思っていたのですけどねえ~」

「う~ん合格だよねえ。実はそんな君を優秀だから、ウイントン大公爵から、准尉として貰い受けたいと、申し入れが、あったんだけどねえ。」

「殺されに行く様なものですね。」

「助かりたい?」

「何とか逃げ出す手段を模索中なのですけどね。助ける代償は、何でしょうか?」

「良いねえ。では、助けよう。まず初めに・・・」


私は、ウイントン大公爵の使いの方からの誘いを断りました。元々私がアウトロー出身である事は、知られていました。ゆえに、軍務義務期間も過ぎていて、ボザンナも当てた。ウイントン大公爵から貰った代金1億セル以外にも、おそらくその半分程度のお宝も残っているので、アウトサイダー、アステロイドハンターになりたいと、告げました。助かるには、アウトサイダーになる以外、絶対放してくれません。まあ~他にも色々・・・すると、餞として、アステロイドハンターシップ、3000t級をくれたのでした。

その名も、シルバー・マイティ号。見た目かなりゴツイ新品です。その代り、ダークグレーエリアと全く違う、レッドエリアへでも、移動して欲しいとも言われました。全て、予め教えられていた内容の範囲でした。与えられた船は、新品で、ワープレベル7、最大40光速と言う事でした。私は、事前に指示されたとおり、最大光速を確認したいと言って、試験航行も兼ねて、加速して、帝星系外縁要塞から、離れました。先方の手配で、40光速までの許可(銀河帝国内での通常宙域では、30光速の制限速度が有ります)が出されていました・・・ただ、この船36光速で、自爆しますけど・・・それと、ワープすると、自動的にRDロスト・デッドになって、行方不明となります・・・

この為、指示通りに、30光速で、

「何か変な反応ねえ。急に加速が不安定になっているわよ。」

などと、通信をしつつ、私の上司になる方の、艦隊による、探知中和宙域で、大きな重巡航艦に呑み込まれました。そう、とある情報部員にもならなくては、助からなかったのです。第一私はアステロイドハンターになる気は有りませんでしたしね。

「うひゃー、こりゃ酷いねえ。安物のアンドロイド3体だけだよ。ナースも無し。」

「船の方も、これは非正規品であります。こんなんで、アストロイドボールに突入するのは、自殺行為です。」

「そりゃあ、通常宙域で全速出す前に爆散ですし、ワープの方は、良く分りませんけど・・・」

「ああ、ワープフィールドスクリーンが作動しないのだ。装置ごと外してあるなあ。」

「でと、君ん~レイナ・ロアだっけ。君は、アウトサイダーの何になりたかったのかな?」

「クイックライナーです。でも、情報部員って、何をやるのですか?それと、給料はいくらですか?」

「ふ~ん、頭の回転は、上の部類にはいるねえ。ふむ、公式には、君は戦死した事になっているけど、こちらで、行方不明者リストに変えておくよ。しかし、いきなり給料とは珍しいねえ。取り合えず月額10万セルからだよ。内の部員は、そこからスタートだねえ。」

「でえ、何やるのですか?」

「う~ん、当面何もないよ~。それと、将来に渡って、報告書の提出等も一切ないね~」

「要するに、私の見聞きした全てが、そちらに筒抜けになる訳ですね・・・でも?」

「そう、元々君の体には、そう言ったシステムが既に組み込まれていたんだよねえ~」

「帝国中央研究院ですか。まあ、命有っただけで、運の良い方でしたけど、まっ、コレまで給料無しで、知らない内に看視されてたのが、10万セルで、堂々と知られるだけの違いですね。」

「う~ん、まあ、時として、こちらから指示を出す事も有るけど、その時には、ちゃんと臨時ボーナス出すからね。って、いくらとは聞かないで欲しい。情報の価値は、それこそピンキリだからねえ。にしても、数あるアウトサイダーの職から、クイックライナー、運び屋を選ぶとは、君使えそうだよ~。船は一流になれるだけのモノを今取り寄せ中だよ。」

「問題のアステルイドハンター船、自動発進、観測可能宙域にて、ワープしました。」

「よろしい。帝国の貴族たるもの、微かな傷も、残さぬからねえ。」

現に、ウイストン大公爵は、その信頼している部下から、

「問題の船は、先ほどワーフしました。」

そう報告されて、以後実に長い間、全て忘れていたのでした。ちなみに、私に支払ってくれた1億セルは、ウイストン大公爵の情報部が回収しておりました。

要するに、その時点での私には、売り先の分らないお宝と、月給10万セルしかありませんでした。で、相談したら、クイックライナー船に積んで、ビギナー丸出しで、船は買ったけど、売り忘れたお宝にせよとの指示でした。


それにしても、どんな船をくれるのでしょうねえ。無論来ていた服から、装備、カードを含めて全部、アノ船に残させられまして、取り合えず、艦隊の兵長の軍服と、武器、装備一式は、もらってますけどね。これが、かなりハイレベルな武器、装備なのですが、新品ではありません。まず、この与えられた武器、装備を使いこなす特訓に明け暮れていましたね。そんなこんなで、30日遂に私の船が到着しましたけど・・・何処を如何見ても、クイックライナーの極めて標準的12,000tのスーパーコメット級に見えますねえ。

でえ~、乗ってビックリしましたよ。外見だけは、市販のスタンダードそっくりですが、ジェネレーターの出力は、15万t級の軽巡なみですし、装甲は、総レアメタル装甲、バリア、シールドも軍用強化型が各3重です。

小型ミサイル発射管は6基はスーパーコメット級の標準防御兵装ですが、ミサイルが、帝国主力艦隊の思考型超光速ミサイル24発が、1秒以内に全弾発射可能です。船の上を自在に移動出来るガナルバルカン12基は、威力10倍以上のファイパルスバルカンになっております。船内作業の万能型アンドロイドも、帝国主力艦隊の極上新型が60体、ナース1体、整備専用アンドロイドも12体。言う事無しでしたあ~。

「君には、一流のクイックライナーになってもらわないと、任務も与えられないからねえ~。」

「うわ~、最大速度80光速ですか、ワープは、レベル9ですし、凄いです。」

「まあ~、君には、一流となる為の、知識と、技術、個人自衛力もおしえたしね~。船も一流、で、これが君の新しい身分証と財布込みのカードだよ。適当に期待しているから、頑張ってくれたまえ。ついでに、君の所属する、ユニオンも、船の電子脳に入れてあるからね。ユニオンの紹介は、この船を造った会社が普通行うけど、まあ~気にしないでよねえ。」

それにしましても、船の名前が、シルバー・マイティ号で、私の名前も、レイナ・ロナのままですかあ?しかも、処分できなかった、特に重貴金属のインゴット10個は、船倉の隅っこに置いて有りますし、下っ端情報院にでも、直にバレルのでは無いでしょうか・・・しかも、紹介されたのは、ダークグレーエリアのお隣、グレーエリアの辺境、ファイティングライナー社ですと・・・そして、充分な燃料も貰いまして、会社へ向かいました。

会社と言うより、仕事斡旋所、帝国では、ユニオンと呼ばれるアウトサイダーの世界です。

初めは、顔出しと言って、まあ、ファイティングライナー社に、シルバー・マイティ号のレイナ・ロナですと、挨拶に行く事で、仕事を廻して貰えるのです。仕事には、フリーと指名の二種類在りまして、そりゃまあ、指名の方が、貰える運賃も多いみたいなのですが・・・でっ!でっかいです。あれは、帝国要塞の払い下げクラスでも?

出入りして居る船は、5万tから30万t級のまっとうな定期航路船や不定期航路船である。貨物船や、貨客船、コンテナー船が、メッタヤタラに出入りして居る上に、それぞれの通信によりますと、所属して居る会社が、随分と在りまして・・・とはいえ、会社の本体は、5000億t級ですし・・・いったい如何なって居るのでしょうか? 取り合えず、クイックライナー社のコードナンバーを発信しました。

「あーい、こっちや、ビーコンだすでえー。」

ん?・・・アレですか。確かに隅っこに、小型船がかたまって係留されておりますねえ。まあー、要するに、ファイティングライナー社は、この要塞の片隅に間借りはている訳でしたあ。私の所持金は、12,500セルしか有りません。何処かであのインゴットを売らないと、登録料や、係船料を支払うと、一応燃料と、食料は在りますけど、趣向品などは、購入出来ません。

ファイティングライナー社には、3000tから3万tまでの、いかにもスピード重視と言った船が、出入りしていました。攻撃を受けて修理した事、見え見えの船が多いですねえ。まあ~船もバラバラですし、3000tメル・ダッシュ級等ですと、麻薬を運ぶ事も有るのでしょうねえ。腕と度胸とスピード、そして、実力、実績が全ての世界です。初心者には、チョッと恐い場所でした。しかも、全員忙しそうです。受付らしき入り口で、登録料1万セルと、一日分の係船料、12,000tにつき、120セル支払いまして、挨拶も何も無し。新入りは、入り口付近の正規のお仕事が、ボードにいっぱい張ってあります。正規とは言っても、これは・・・ヤバイから無茶苦茶ヤバイ仕事ばかりですねえ。て゜も、どうやって張ってあるのかしら?手に取ると、磁気が止まって元へ戻せません。私が手にしていまった仕事って、トグル第801グローバルステーションから、特秘指定の要塞まで、回収された特定の鉱石を運ぶ事・・・ただし残り時間52時間と少しですかあ~

「おら、新入り、仕事を決めたんなら、とっとと、行きゃーがれ。」

受付の人も、

「少しでも急いだほうが良いですよ。」

ですとお。一日分の係船料、支払って、正味20分程度で、発進でしたあ~。普通の船なら本当に命がけですよね。だいたいグローバルステーションは、アステロイドボールの直近くに居ます。で、このアステロイドボール、亜空間では、巨大な亜空間クラウドになっていて、かすりでもしたら、粘々な性質ゆえ、運が悪いと、亜空間遭難で、一巻の終わり、運が良くても、何処の通常宙域に出られるか、一切解りません。ですから、腕の良い船長程、目的のグローバルステーションの近くにワープアウトします。普通の船ですと、ワープアウトしてから、1日で、腕の良い船長と呼ばれます。視認距離でのワープアウトなど、まさに狂気の技なのです。しかも、ワープアウトした直後は、どの船や軍艦でも、0スピードになります。私のマイティ・シルバー号は、この狂気の一発ワープを決め、かつ非常識な加速で、トグル第801グローバルステーションの指定ドッキングベイに到着しました。残り47時間ですか、油断!5000tの船倉に6000t積み込まれてしまいました。余程重い鉱石みたいですね。文句言う手間も惜しんで、高速発進。マイティ・シルバー号の電子脳は天才級ですし、探知、サーチ、探査、スキャンシステムも、帝国中央艦隊級。ついでに、私の操船、航法、機関の腕もトリプルS。フルパワーでの加速が、光速に達した瞬間、光の壁に在る隙間から開く亜空間へワープイン。この瞬間にワープアウトの座標を設定するわけです。今回は、運よく発送先までと、更にお届け先までの間には、障害となる亜空間クラウドは存在していません。多少は在っても、超強力な亜空間シールド三重によって、直行可能なのです。ちなみに、このコース普通の輸送船がやりますと、100%遭難します。ですから、直行出来ない方が多いのです。亜空間での主体時間と、通常空間では、時間の速さに誤差が出ます。レベル2程度のワープですと、ワープ出来る距離も短いですし、亜空間での移動速度も遅いので、チョッと思っていたより時間が掛かったかな?程度ですが、レベル9の長距離ワープですと、時間単位でのズレが生じます。今回ですと、主体時間6時間ですから、多分9時間でしょうか、グローバルステーションで、約2時間、ワープアウトからとワープインまでの時間が合わせて1時間。充分間に合います。と言って、亜空間では、少しの油断も出来ません。ワープアウトと同時に、指定された特定のシグナルを発信します。びっくりしましたあ~。まさに巨大要塞群です。ここは、ひょっとして、帝国の聖域と呼ばれる極秘の宙域ですよねえ。そういや、私の体をいじくった研究所もここに在るのでしょうねえ。などとかんがえる時間すら与えられずに、

「第12500要塞へ向かえ。スピードは無視して宜しい。急げ!」

と、言われましてもですねえ、この恒星系の反対側、しかも、その数すら解らない、巨大要塞が球形にびっしり、バリア、スクリーン共に完全重複、コレは、まさしく帝国中央研究院、帝国の頭脳、禁断の聖域であります。無論帝国標準時で、まだ36時間もありますので、余裕で指定された要塞の着艦ベイに到着できましたあ~

ところが、到着してビックリでした。

「うお~予定より1日半も速いとは、う~む、ファイティングライナー社のマイティ・シルバー号じゃな。次から指名いたす。おい、よしなに計らっておけ!・・・ぬお~何と!足りなんだアノ鉱石の精錬されたバーが10個とな。」

「あの~、アレは私物なのですけど・・・」

「ふむ、別途支払っておけ。コレで研究が捗ると言う物じゃ。」

にしても、速いの何の、あっ!と言う間の船倉は、カラッポでした。もちろん研究所の方々も、瞬時にきえましたあ~

「あーキミ、運賃の支払いとキミの私物の支払い等もあるから、こちらへ来たまえ。サーシュ(珈琲に似て否なる物)を2つだ。あー助かった。」

「アノー、本当の初心者なのですが、いったい全体、如何言うことなのでしょうか。」

「キミが、予定以上に速く品物を届けて呉れたから、私、ああ、すまんね。自己紹介がまだだった。フォマー艦隊大尉だ、よろしく。キミの活躍で、私たちは、こうして、ゆっくりと、高級サーシュを飲みながら商談が出来るのだよ。向こうを見てみたまえ。」

いやあ~理解できましたあ。物凄い所なんですねえ。

「バカ者! 何でまだ着いておらんのだ。キサマ、手配を怠ったのであろう。」

「いえ、この通り、正式、及び裏ルートの手配も万全であります。」

「なら、何で届いておらんのじゃあ~。」

等々、そりゃあ私だって艦隊の兵長でしたし、士官、それも、中尉、大尉クラスなんて、見た事は在りますけど級が、ボロクソな目に合っております・・・こわ~

「だろー、でと、鉱石の支払いは、直接先方に支払われるので、キミにはと、時間内配達料・・・ふむ、6000tだったか、6万セルに、早着手当てが、1日半前かあ、まっ、10万セルで良いかね。」

「えー! そんなに・・・」

「それと、アレはキミのインゴットだったのだから、中央電子脳の査定ではと、ほうー、5000万セルか。」

「ひっ!」

「後、何か必要な物が在れば、何でも言って構わんよ。今回はね。取り合えず、バトロイドが居ないようだから、50体程手配いておこう。まあ、全て試作品だが、帝国中央艦隊より50%は、性能は良い。ああ、燃料の純鉄バーも、必要なだけ手配しておいたよ。キミ自身の装備も中々だが、おーい、一式持って来い。」

あのー、見た目、同じなんですけどねえ・・・

「全部、パワーが5倍クラスだよ。全部持って行きたまえ。気に入らなかったら売っても良いし。でだ、今後も、私への物資調達指令があった場合、全部とは言わんが、キミに指名するから、今後も頼む。」

なんて、艦隊の大尉さんから、直接コード渡されて、頭下げられちゃいましたよ。

「あのー、私の所属するファイティング・ライナー社は、グレーエリア専門でして・・・」

「解って居るよ。だから、全てでは無いのだよ。」

え~ その後、殆ど休むヒマも無く、グレーエリアの辺境グローバルステーションと、聖域第12500外縁要塞の間を、飛び回っておりましたあ~。フォマー艦隊准佐だけのお仕事で、ですはい。ここって、物凄く権威の在る所なんですよね。聖域ご用配達船専用コードも頂けました。にしても、いっそがしいの何の! にしても、私の船充実しておりますよう~。帝国宙域では、通常空間では、30光速制限ですけど、ワープ不可能危険宙域などですと、そんな事言ってられません。時々、帝国高速艦隊から

「おい、こらー!停まらんと、撃沈するぞ!」

この通告の最中に、聖域ご用配達船専用コードが自動送信されまして、こっちが、何も言わない内に、

「すまない。気をつけて行くように。」

で、スパッと先方がコース変更ですもんね。

「迷惑かけちゃいけないから、アノ艦隊のコード消しておいて。」

『了解』

ですものねえ。に、したって、こう言う場合は、直結ワープ不可能危険宙域でして、与えられて居た当初のバリア、シールドシステムでは、あの世行き確率50%以上なのでいよね。さすがと言いますか、言語道断と言いますか・・・とんでもない船になっておりました。一度、ギリギリセーフの時

「いやー、間に合わせるのに、命がけでしたよう。」

「うーん?」

「いえね、得意の一発ワープが、如何にも無理でして、危険宙域80光速で2度ぶっ飛ばしたのですよう。こわかったあ~」

「ふむ、そうか・・・おい!」

でね。以後、少々のデブリ等には、気を使う必要が無くなりました。ただ、サブジェネレーターの1基が、シーター駆動システムから、ファイパルスジェネレーターに変わっただけです。前のより小型ですけど、純銅バー使用でして、以前のサブジェネレーターの200倍のパワーなだけです。つうてですねえ。船の全パワーが75倍にアップしたんですよね。その為の専用バリア、シールドシステムは、重巡航艦並みなのですが、船が200万tじゃなくて、12,000tですから・・・まあ~非常識な方々とお付き合いさせていただいておりますので、言葉には、心底注意が必要な事、痛感しております。にしましても、忙しいですよう。会社への依頼手数料は、私には関係有りません。しかし、一仕事終わらせた、ライナーは、会社に一旦戻って、配達確認書、このご時勢にれっきとした書類を提出しなければなりません。普通この時に、好みの食料や消耗品、その他宇宙で生きていく為の品々を購入するのです。また、船内で出たゴミも回収してもらえます。一応私は、初仕事完了時点で、ランクAに位置されていました。で、なんやかんやで、1年後には、トリプルSになっていました。これは、いわゆる稼ぎ頭の位置でした。当然裏の仕事等には、一切タッチどころか、そっちの部屋に入らせてもらえません。船の方も、非常識な船に改装されてますし、初めに貰った帝国中央級の万能型アンドロイドも、整備専用アンドロイドも、全部会社で引き取ってもらっております。他の船長が、目を剥くハイスペックのアンドロイドが、旧式で、パワー、スピード不足だからと言う理由でです。

現在、バトロイド60体、アンドロイド120体、ナース1体、超精密整備専用アンドロイド10体、整備専用アンドロイド30体。全部聖域特製の非常識タイプばかりです。あっと、後メイド型が1体。ご飯作ってくれます。

サーシュや、あらゆるフルーツティー、ハーブティー等々一流のレストランレベルですね。生活にゆとりが出来るのは、極めて良い事でした。

帝国では、22歳以上の軍務を果した人を大人と、規定されています。ただ、アウトサイダーなどですと、軍務さえ果していれば、一応大人の扱いを要求できますけどね。わたしゃ、6歳の頃に1年以上のサバよばれて、艦隊のアウトナンバー校に入学、名目15歳から2年間の軍務は完了。志願兵となって、さいしょのパトロールで人生捻じ曲げられまして、それから1年間で、現在の地位に就いているわけですよね。実年齢17歳、誰が如何見ても、女の子なのです。しかし、そのキャッシュカードには、億に近い金額が入っております。

会社の入っている、旧帝国要塞には、百を越す会社が入っています。原則私たちクイックライナーは、ここで、必要な品物を購入する事になっております。地表で買う価格の150%が相場ですねえ。でも、宇宙では、これでも概ね良心的な方なのですよね。グローバルステーションですと、200%が相場ですからね。ちなみに、不用品の買取は、地表価格の半額が相場です。まあ~宇宙での生活には、それだけのお金が必要なのですよね。

現在私の操船席の後ろには、3枚の賞状が張ってあります。まあ~危険宙域80光速で、飛んでおりますと、たまたま偶然に、お仕事中の宙賊船を発見してしまいます。船には、船を中心に障害物を見張る探知装置、船の前方半径15度の円錐状で、探知装置の3倍遠く迄見張るサーチ装置、ほぼ、船の進行方向の狭い空間を看視する探知装置があります。別に、極めて距離は短いですが、内部まで透視できるスキャン装置もありますね。で、なぜか、私は、探知が得意なのでしょうか? 3度とも、進行方向とは、関係無い探知範囲で、宙賊船を発見、思いっきり無茶苦茶な方向転換を敢行して、24発の思考型小型超光速ミサイルを発射、この時にだけ、わたしは、何処かの情報部員のエージェントと思いしらされます。何せ、何一つ報告もしていないのに、艦隊が素早くあらわれます。しかも、不明の上司第446課長さんから、

「現在の仕事を優先したまえ。後は全てこちらで処理しておく、急げ。」

の一言だけ・・・で、お仕事終えて、会社に帰りますと、表彰状が届いています。ミサイルの方は、聖域第12500外縁要塞で、最新式を補給してくれます。本当に何も、何処へも連絡してません。でも、ミサイルは、ちゃんと帝国軍艦用のサイズよりかなり小型な思考型小型超光速ミサイル24発が、積荷の運び出し作業と平行して、搭載されるのです。会社経由で貰える表彰状には、何も付いていません。大げさな式典やるんですよ。今回で4枚目なんですけどねえ。ただ、ねっとに流れて、社名の格があがるのですとお。金一封くらいと思いますよね。でも、コレ1枚で、違反行為が見逃されると言う、他の船長涎望の品物なんです。売る事はできませんしね。では、レストランでお食事でも・・・ご指名のお仕事ですと! ストレス貯まり間すよね。お金も貯まりますけどね。

近頃は、殆ど不可能に近いお仕事が、増えております。今回だって、普通にやったら、間に合いません。しかし、私に与えられたバトロイドと、アンドロイドは、超特大のアステロイドボールに近い指定のグローバルステーションの視認距離に、

「マッドネス!」

と叫ばせたワープアウトの直後、

「フィアー!」

と続けさせた叫び声を無視して、目的の鉱石に一番近い着艦ベイ接舷、

「聖域の命で、物を運ぶ、手出し無用、時間が無い。」

と告げ、彼らにとってさえ、信じられないスピードで、良品のみ積載。即全速後進して、回頭、方向を定めて、誰もが、あれで如何して生きていられるのだ? と言う全力加速で、まだ視認距離内で、ワープインしました。それは、本来のコースよりかなり大廻りのコースでしたが、このコースでないと、後2度ワープしなければなりません。後1度のワープで間に合わせるためには、このかなり危険なコースしか有りませんでした。赤色巨星の巨大恒星系付近にワープアウトして、そこで方向転換して、聖域第12500外縁要塞の視認距離まで、一気にワープする。そうすれば、ギリギリ30分前にワープアウト出来て、全力加速と減速で、6分前に到着可能。正しくトリプルS級の、針の穴を通す、プロの技・・・のはずだったのですが、何事につけ、イレギュラー因子は、付き物なのです。亜空間主体時間でまず2時間、まあ~限りある人生、あの大げさな表彰式のおかげで、買い物も出来ませんでした。よって、常に余裕を持って保管してある食料から、メイドが、充分に満足出来る食事を作ってくれました。何か気に触って、サーシュは断り、速めに船長シートに就き、6点ベルトも締めました。確かに今回は、危険宙域を僅かにかわしたワープアウトでしたからかかしら?本来ワープと言うモノは、光の壁の隙間から、亜空間に入り、強いて言えば、超長距離の走り幅跳びの様なモノで、途中で方向転換等は、不可能では無いけど、決してやってはいけない行為なのです。運が良くて、全く予想外の宙域にでてしまうか、運が普通以下なら、そのままRDロスト・デットとなって、永遠に空く有漢に閉じ込められます。要するに、ワープインの時に決めた座標にいかに正確にワープアウト出来るかが、船長と船の電子脳の腕なのです・・・ワープアウト

直後に、強烈な攻撃を受けました。直ちに反撃・・・超特別製でなければ、戦艦でも、撃沈されていました。24発のミサイルは、敵の500サンチインパルス砲2門を爆砕。こちらは、全速力で逃げるのみ。方角など、構っている時間等、100分の1秒も在りませんでした。ワープアウト座標を定めないワープは、助かる確率10%、ならば全力加速継続、0スピードから、敵から逃れえるコースで、80光速まで。対Gキャンセラー限界オーバーの加速でにげましたあ~。何か操船が不安定でしたけどね。

「ふむ、コレはまた大物だなあ。現在帝国中央第5主力艦隊の、スクランブル待機艦隊が3艦隊出撃した。後は、全て任せて、さきを急げ。」

とにかく、逃げる事に成功しました。改めてワープの計算をして、くっ、どうして? ワープアウト座標から、1光年以上ずれてしまいました。しかも、操縦が全速に持って行けません。60光速が限界。悔しい、初めて仕事の配達時間に遅れてしまいました。12分!・・・でも、先方の怒るはずの、雲の上の方々は、怒りませんでした?

「あれで、よくも我輩の貴重な鉱石を運んでこれたものじゃのう。」

何時ものように、着艦ベイに何と無く違和感を感じながら接舷出来ました。遅れた分急いで、船倉を開かないと・・・開きませんでした。

「おーい、レイナ君いきてるかあー。」

「はあ、如何にか・・・今回はすみませんでした。」

「まあ無事なら、降りてきたまえ。話はそれからだ。」

当然、怒られると思いつつ、船から降りました。私の船、マイティ・シルバー号・・・私の船が曲がっていました。」

ただちに、解体作業みたいに、装甲板が切り離されて・・・積荷は無事でしたか・・・被害は深刻でした。12,000tのマイティ・シルバー号が、ゆるく、くの字に曲がっていました。よく命あったものですよう~

「ふーむ、これは、500サンチインパルス砲撃を真横から受けて居るのう。バリア、スクリーンは全開であったわけじゃのう。中々の参考になるわい。」

「くそっ、ファイパルス対応のバリア3重とスクリーン3重で、完全には対応出来なんだか。」

「じゃが、一応逃げ切れた訳であるな。」

「うむ、これは、真に持って貴重なサンプルじゃ。」

とかなんとかで、私のマイティ・シルバー号バラバラにされてしまいましたあ~。

「レイナ君こっちへ!」

助けてくれたのは、フォマー艦隊准佐でした。逃げ出して大正解でした。

一方、研究院の偉い方々は、何やら喧嘩を始めておりました。何やら、一応任務達成出来ているから、小破と言う方々と、もう二度と動かせんゆえ、大破だ。とか、装甲の設計が根本的に如何とか、シーター駆動ジェネレーターと、ファイパルスジェネレーターの併用の是非とか・・・その他色々沢山、どんどん偉い方々が、面白いサンプルが在ると、集まって来ております。

船の電子脳も徹底的に調べられて、オーバーヒートみたいです。

「はあ~、よく助かったものですよう。」

「うん、帝国中央第5主力艦隊の方も、確か3年ぶりの大手柄らしい。貴族や、騎士が数名出るレベルだ。」

「ワープアウト直後に、一発喰らったのですよ。」

「自動防衛照準システムだったから、あの一撃で、爆散決定と敵の中央電子脳が、判断して、出来ずに二撃目以降は、全て回避かね。さすが良い腕だね。しかも、最も逃げる方角に配置された2門の500サンチインパルス砲を破壊出来た事が、おおきいなあ。あっ、サーシュさめない内に、飲んでくれ。私も、初めての最高級品サイレール産の極上品だ。」

「あ~・・・私のマイティ・シルバー号が・・・って!美味しい、何コレ?」

「これが、帝国貴族ご愛用のサーシュだねえ~・・・うーん美味い。で、あっちに到着したよ君の新しい船。」

「へっ?」

「キミが何処に所属して居るのかは、一切関知しないが、随分予算の有る処か、それとも、帝国中央研究院の試作船だろうね。今、電子脳のフルコピーが、移植されて居るところだ。」

「速や!」

「新型ハイパワーバトロイド60体、ハイスピード万能型アンドロイド120体、ナースとメイド各1体、超精密整備専用アンドロイド10体、ハイパワー整備専用アンドロイド30体だそうだよ。そうそう、キミへの支払いは、何時も通りすんでるよ。それと、ふーむ、あの麻薬プラント要塞まだ頑張っているようたな。」

「あんなの、ゼンガー級重戦艦のデストロイヤーで、一撃でしょう。」

「ふっ、それでは、麻薬の流通ルートは、潰せないし、待機中の他の艦隊から、クレームの嵐だよ。中型、小型のミサイルに、重巡航艦の250サンチインパルス砲で、ズダボロにしてから、バトロイド先頭に突入だ。最近の艦隊のパターンだな。」

「宙兵隊投入した方が、簡単なのにね。」

『あー、キミの今回の手柄、3割引きだよ~。』

『なんで?』

『今の失言の為だよね。』

『宙兵隊の事?』

『そうだよ。大嫌いなんだよね。まあ、船は、近々交換予定だったからね。乗って驚いてよね~』

『なら、自力で、エモノ確保するもんね。』

「むー?いったい何なんだ。大丈夫かね。」

「艦隊がチンタラ攻撃してますから、チョッと稼がせて頂きます。では、失礼します。」

「船の補給は、完全だが、一応基本設定のみだぞ。」

「全万能型アンドロイド、元のマイティ・白バー号から、私物を全部移動せよ。では、行きます。」

さすが、超最新式ですね。速いの何の・・・って、元の船の全バトロイド、アンドロイドも移動しております。一切構わず、発進。目標は、あの麻薬プラント要塞です。メッチャパワー上がり過ぎでーす。全てのジェネレーターが、ファイパルスシステムに替わっております。推進システム、バリア、スクリーン、ワープシステムまで・・・

度肝を抜かれた思いでした。ちなみに、装甲は、総ハードレアメタル製ですと!

ワープシステムは、一応ワープ可能なはょりによって、レベルが決まります。帝国では、最大帝国中央から辺境までが最大と定められていて、コレがワープレベル9と呼ばれております。帝国の星雲より外へ出る場合には、この規定が外され、同じワープレベル9でも、その距離は、メガ~ギガ級の差がつくのです。そして、この差は、同じ距離のワープでは、スピードとして、現れます。いや~速いの何の、少しは程度と言う事を知って欲しいですよね。さすがに、少し怖かったですね。ただでさえ速さには、呆れられていましたけど、その200倍ですよ!

いやあー、それにしましても、コレは凄いですねえ。ギガネット~ローカルネットの取材船の群れと、軍や情報部などが撤退したら、その後で、お宝探しのつもりでしょうねえ。アステロイドハンターシップ、個人のクルーザー、えー・・・クイックライナー船など、どちらかと言うと、ポンコツぎみの船が、びっしり集まっております。彼らにすれば、破壊された、装甲板でも、品質は、レアメタル製の為、しかるべき値段で売れるエモノでしかおりません。対して、艦隊の警戒艦も多く、

「一般船舶は、警戒宙域には、立ち入り禁止だ!」

「あのー、このポイントの第一発見者ですけど。」

「おー、あの、クイック・ライナー船かね・・・うむ、確認が取れた。その船だけ入って良し。他の船は、絶対ダメだ。無視した場合、撃沈の許可も出て居るぞ。」

うひゃー、コレはもう、元要塞の成れの果てですねえ。

『要塞の中央電子脳メモリーは、80%以上消去されて居る。』

『消去されても、絶対に予備メモリーは消去し切れてないはずだよね。』

『そこを、何とかして欲しいのだよねえ~。アメ玉、上げるから頼む。』

『了解。って・・・このスキャンシステム・・・物凄いですねえ・・・あそこかあ。』

「接舷許可を下さい。」

「ああ、第一発見者かね。仕方無いなあ。空いて居る所へ接舷許可をする」

今度のバトロイドも凄いですなあ~。レアメタル装甲に軽々と突入口開けてしまいました。ってまだ敵が居るじゃないですか!はあ~新型は、バトルビーの備え付け型でも平気で、突進しております。敵のバトロイド一蹴しておりますなあ。しかも、元々のバトロイドも、かなり頑張っております。速やかに、中央電子脳の裏側を確保。新旧合わせて20体の超精密整備専用アンドロイドが、消去されたはずのメモリーを回収中です。

『悪いけど、それをねえ・・・』

『誰に渡せばいいの?』

『ふーむ、悩むねえ・・・親父に、一個貸しを創って置こう。通信士官のアルテミス・マギー中尉が、今そっちへ向かっているから、彼女に渡してよね。』

『チョ・チョッとまって。い、いま何ていったのよう。アルテミスって、それが父親ですって!あなたって、いったい誰?』

『あはは、ばれちゃったかあ~。でも秘密だよ。誰かに話そうとしたら、即プロテクトかけるからね。』

「超精密整備専用アンドロイドは撤収。コピーのメモリーは、今来た女性中尉に渡して。これから、私自身が出る。お宝確保だ。アンドロイド3体のみ女性士官の護衛をせよ。強化袋準備、要修理のバトロイドは、船に戻って修理。残るバトロイド、アンドロイドは、密集隊形で、狙いは最上級食堂へ向かう。」

「わっはっは。さすが民間人だな。何か、高級食材でも探すらしいぞ。」

「ありゃー、オープンチャンネルですかあ~。」

「その通りだ。でないと、混乱や連絡ミスがでるからだ。頑張って、記念になる物を確保したまえ。」

艦隊の連中、闇雲に、厳重倉庫付近に集中しておりますねえ。まあ、普通のお宝は、大量にあるでしょうねえ。本物のお宝は、こっちに在るのにね。既に人工重力どころか、照明さえ非常灯に切り替わっております。無論真空です。そのような中、私の集団は誰も居ない多分高級レストランに到着しました。何故私に分るのかは、聞かないで欲しい。だって、私にも、分るから分るとしか言えないからです。一箇所だけ、無重力のせいで、浮いているテーブルが在ります。他は全て固定されて居るのに、無論、椅子は全て浮いて居るので、気付きにくいかもね。で、バトロイドを本来そのテーブルの在ったはずの壁に突進させました。さほど広く無い小部屋、中には、予想通りスターダイヤ、神秘のエメラルド等、宝玉系お宝と、現金の束、インゴットも1個100KW級の、ハイレベルな物ばかり、全部バトロイドとアンドロイドの強化袋に大回収。までは良かったのですよねえ・・・いったい何が悪いのでしょうか?

『現在のキミは、ぼくの情報部に所属しているから、レアジュエリー警報は、帝室には、届かないんだけどねえ~おじい様、陛下の処だけは、ばれちゃってるんだよね。絶対誰にも悟られずに、回収して、即帝星召喚なんだけど、ウイストンの叔父上がネックだよねえ~、それにしても、キミ2回目だよね。』

『如何して私ばっかり・・・はう~・・・17枚も有りますよ。』

今の私には、痛い程解ります。これは、17個以下の勲章から外された最上級の宝石をスライスされたモノです。普通は、1個の勲章に1つですが、レベルの高い勲章には、複数個付いています。コレ1個でも、貰っていたら銀河一級市民トリプルAなのですよねえ。要するに、不老の支配者側に成れるかもしれない、数十万の一人なのですが、コレだけの個数ですと、多分、子爵上位か伯爵でしょうねえ。前回は、モロ殺されかけましたし、はあ~

現在だって、せっかくの銀河3級市民権を放棄して、アウトサイダー、しかも、何処かの情報部のエージェント兼任で、まあ、性に合ってますから・・・以外に気に入ってたんですよね。たった9ヶ月で、上位ランキングになってましたしね。おかげで、待遇もよかったし・・・

『気に入らないけどねえ、宙兵隊長が、1時間以内に、キミを迎えに行く事になったよ。』

『へっ? 宙兵隊長って、誰?』

『ほら、ネット配信で、皇帝陛下の後ろに立ってるだろ。キミだって、見た事ぐらいあるだろ~。急いで、船に戻りなさい。兵役2年少々済ましているから後8年かあ~。宙兵隊には、絶対渡さないからねえ。』

『なっ!』


真に、カケラすら思わなかった、異常事態が、今回も私の、私自身に起こってしまいました~。

要するに、前回は、異例中の特例の為、私は、隔離されていただけでした・・・一応戦死者リストに名前載ってましたけどね。ただ、年に数回は、発生する程度の非常事態より、特例の方が大変で、主力の専門家は、全員そっちの方に集中していました。しかし、一部の専門家には、即分る事実があったのです。一千億恒星系の銀河帝国で、年間、数回発生する警報を一人の者が、僅か1年に満たぬ間に、2度も発生させた事は、無視出来る事態では、無かったのです。陛下直属の専門家が同行しておりまして、とりあえず、ひょっとしたら程度で、各種調査、検査の結果、ESP値307ですと?しかも、1回の検査では、完璧では無いものの、高い確率で、タップポイントを超えている可能性大。なんですと・・・ちなみに、ESP値と言うのは、一種の超能力保有の数値の事です。帝国では、ESP値300以上の者を超能力者として、支配者の側に列し、優遇する・・・って、私があ~

もう一個、タップポイントと言うのは、その個人の能力の固有上限値の事で、帝国では、大体半分程度の市民は、この、ESP値を保有しています。無論無きに等しい人の方が、圧倒的に多いのです。しかし、仕事によりましては、100代後半からでも、重宝される能力です。こう言ったレベルの低い能力者は、タップポイントの事を心得て居て、能力の使い過ぎに、充分な注意を払って、能力を失わない様にしています。

私の能力どころか、私自身が、公の場に姿など表せません。帝室内で、内々に処理と申しましても、帝位18位のウイストン大公爵がネック。ゆえに、陛下と、宙兵隊長、それに、私の上司のテッペン、幻と言われる、第4情報部長。アルテミス・フォース・ライグン・クロス卿フレーバー公爵の立会いの下、陛下直属の部下によって、あっけなく、ファン一丁上がりでした。感激など一切在りませんでした。だって、命の心配してたのですから、かえってホッとしていました。普通、騎士として、支配者の側に迎え入れられますと、1~3、比較的統治しやすい恒星系を与えられますが、何分今回は、帝室に対してすら、極秘の為月給製の騎士にされました。ちなみに、騎士と呼ばれる階級は、一番下っ端が、ファン、その上がフィン、フェン、フゥン一番上がフォンと呼ばれます。

まあ~私なんて、呆気に取られて覚悟も自覚も一切有りませんでした。しかも、これらの事全てにプロテクトがかけられてしまうそうなのですと。説明を受けましたが、それも含めて帝国最高レベルの記憶プロテクトなんですと。その理由が、帝国法の為にやむなくの処置だったのです。ESP能力者ゆえ、支配種の側に向かえ入れられる者は、全て、騎士の位から、始めねばなりません。そして、騎士は、全て帝国軍人でなければなりません。当然士官としてです。全く例外の無い訳では有りませんでしたが、この程度では、例外扱いはされません。その上、何処で私の事を知ったのか、帝国中央研究院の、私の体をこんなにした研究所が、さすがに、控えめに、私が成長した為、体重比率の低下した、レアジュエリー製ナノマシーンを追加注入、ついでと、ナノマシーンの増設タイプも、この際とばかりに、彼らとしては、極めて遠慮気味にドバーッと、射入してしまいました。この研究所では、既に向こう300年間の研究期間をその成功実績によって認められていたのです。しかし、帝国の秘宝レアジュエリーの支給は、彼らにとって極めて微々たるものでした。でも、この成功体が、認められれば、その支給も数倍に増える事は確実だったのです。・・・そして、これら全てに対してプロテクトをかけられた私は、辻褄合わせの記憶を上書きされ、当然この記憶に対する、証明に足る事実の記録が、作成されていく過程を、唖然と見ておりました。


ん~?・・・で、 ここは、レッドエリア艦隊付属第1303士官学校、通称レッドエリア第3士官学校ですよねえ。中央よりかなり格下の士官学校ですが、帝国全体から見ますと、上の中クラスのかなりハイレベルの学校であります。えーっと、私は確か18歳、3年遅れの今期新入生、名前は、フォース・レイナ銀河1級市民になったばかりのはず・・・イエローエリア辺境艦隊所属の遊撃艦隊で、2年間の軍務を15歳から勤め、最後のパトロールで、強力な麻薬プラント用要塞を発見の、勤務以来初の大手柄、そして、敵要塞の金庫室から、運よく強化袋一杯の宝玉類を確保。そして即除隊して、なりたかった、クイック・ライナーになりました。現に、私の船、マイティ・シルバー号は、この士官学校と言う名の、要塞の小型艦着艦ベイに係留されていますよね。所属していた、ユニオンは何処だっけ・・・ん~・・・何か手柄を立てて、特別にこの士官学校へ入学・・・したくないです。

とにかく、頭の中ゴチャゴチャのまま、明日が入学式。此処まで来たら、もう逃げられませんしねえ。何故か義務感らしきモノもありますし・・・訳分りません。

まあ、周りは全員、15歳、私だけ18歳でした。それと、持参している装備は、他の生徒に比べブッチギリの高性能でした。


入学式は、形式だけなのですが、ロコツに最初の罠が仕掛けられていました。この士官学校は、10兆トンの帝国要塞を転用しております。即ちデカイ。そして、私達1年生の居住区画は、入学式会場に一番遠いのです。って、何で私がこんな事知って居るか?・・・と言うか、私この学校の事全部知っています。何故でしょう?

何故か全てを知っていて、如何して知ったのかは、一切分りませんでした。

士官学校の消灯時間は有りません。しかし、起床時間は、朝6時です。かなり迷惑気味な、ベルの音で、まあ、余程根性が無ければ、寝て等居られません。身支度の時間込みで、6時30分に学年ごとに、それぞれの集会所に集合です。ちなみに、全ての行動において、集合時間に遅れると、秒単位で、減点されるシステムです。点呼確認と、一月後からは、成績の芳しくない者にとっては、恐怖の時間となります。今日などは、単に、連絡事項のみ。

「9時より、大集会会場にて、入学式が行われる。」

だけ、朝食は、7時から8時まで、学年ごとの食堂で、朝、昼、晩、全てバイキングですね。私は、素早く朝食を済ませ、真っ先に大集会会場へと、向かいました。理由ですか?1年生の食堂から、スムーズに移動出来れば、大集会会場まで、かっきり1時間かかります。しかし、複雑な要塞ですから、簡単ではありません。この学校の構造全てを知って居る私ですら、多少の余裕は、絶対必要なのです。学校内の移動手段としては、内部の各層を走る列車のようなモノ、フロアー間を移動する、エレベーター、無重力式移動式通路、エスカレーター、もちろん、通路や階段、梯子、要塞外部を飛び回る、有料シャトルなど・・・まあ~他にも色々ですねえ。とにかく、内部は複雑です。中には、5フロアーぶち抜きの庭園まで在ります。なにせ、中心部まで、人工の構造物、しかも、改装、改良を加えまくって、まるきり、中心部付近等は、迷宮クラスなのです。外観は、球形なのですけどね。

余裕で会場入りした者、在校生の半分と、新入生の極一部、数名。ペナルティ無しで間に合った者、在校生全員と、新入生の60%程度、毎年これくらいのアベレージなんですと。

いきなり、マイナス査定からのスタート者、青くなっていましたね。それにしましても、型にはまった、極めて普通の退屈な入学式でありました。12時~13時が昼食時間なのに、式の終了が、11時30分ですと・・・無論私は、ちゃんと食べましたよ。午後は、フリータイム、今日は、入学式だけなんですと。

翌日から、3日間は、オリエンテーションと言う名前の、学校見物ですねえ。初日の午前中なんて、超能力者コースですと! 笑っちゃいますよね・・・はあ~私ひとり対象者? 探知、スキャン系が如何とかで、10日間に18時間の教育ですか・・・そりゃ・・・でも、何で?

午後は、士官としての、言葉使い、姿勢、行動などのコースですと、ここでも、また10日間に18時間の教育ですと。2日目朝一でした。いやー、私の得意分野でしたけどねえ。

「聞け、俺は艦隊じゃあねえ。宙兵隊から派遣されて来た。格闘技は8段だ。なにも、俺様に勝てとは言わん。裏を書いても良い。一発でも、パンチでも、キックでもいい、かすっただけで、宙兵隊卒業認定章をやるぞ。」

体格の良い腕自慢が、9名前に出ました。

「ほほう、今年は豊作だ。全員一度にかかって来い。」

いやー、さすが宙兵隊格闘技8段です。強いの何の・・・でもねえ~連携プレーに慣れていない者では、逆に不利なんですけどねえ。軽くイチコロでした。

「他名はもう居らんかあー。」

では、まあ相手の手の内もだいたい分りましたし・・・

「ん? 女子か、少し年上の様だな。」

「まあ、艦隊の兵長までで、2年間の兵役義務は終わったはずにんですけどねえ。艦隊の格闘技10段+ですけど。」

「なに! それは楽しみじゃ。行くぞ。」

にしても、おそ~い。まあ、ズダボロにされた9名の仲間分程度・・・失神ですかあ・・・教官陣真っ青、生徒ビックリでしたあ~

とにかく、宙兵隊卒業認定章の、金色のピンバッチを貰いました。しかし、10日間に18時間の実習ですと。

その後も、ナイフ技、剣技、ライフル、拳銃等いったい何だって、言うのかしらねえ。午後は、操艦、航法、機関、探知、サーチ、探査、スキャン、主砲オペレーター、通信等々、全部卒業レベルでしたあ~・・・なんで?しかし、ここでも10日間に18時間の実習ですと。

三日目の指令官コース、参謀コース、補給コース・・・ぜんぜん興味ありません。でも、最低1教科は、強制履修ですと・・・指令官コースにしておきました。

四日目、今日から本格的に授業が始まります。9時~11時は、ESP能力開発訓練ですと、何かよく解りませんが、私の能力は、探知系らしいとの事で、多分教師かな?なんて人7人掛りで、生徒は私一人、当面は、調査、検査、適性等々を調べられるだけですね。11時~お昼ご飯をはさんで14時まで、座学、学校の中央電子脳と、一対一の指令官としての、様々な決断ケース等も教えられるそうですが、当面は、基本コースだそうです。14時~16時までは、宙兵隊の教官と、激マジの勝負ですね。全戦全勝! 16時~18時までが、実習艦での訓練ですね。結局現場に最後まで残っていたのは、私だけ、他の全員シュミレーションからですと・・・しっかし、本当に廃艦ですか的酷い艦ですよねえ。明日から、ワンランク上の艦になるそうです。18時30分~19時30分までが、夕食タイムです。その後は、自由時間です。明日の起床時間までね。

初日の成績で、各生徒の実力評価を中央電子脳が下します。そして、教師陣では、1名の生徒に対して、頭を抱える結果になりました。

入学式の前日が休日扱いでしたので、最初の6日間、の授業で、匙投げられました。座学など平均3~6年かけて教え込む所、学校の中央電子脳から、何やら無限メモリー等と言う舞来るチップに、全てダイレクトインストールです。実技で、教えるどころか、敵う教師が居りません。

で~、面倒と、早々に実践訓練メニューに切り替えてしまいました。しかも、ロコツ! 100%辺境の遊撃艦隊指令艦長確定コースですねえ。実は、中央の方から、

『この生徒特別の事情有りに付き、卒業後、辺境艦隊勤務となす。』

などと、極秘命令が出ておりました。まあ~知ってたのは、校長と、幹部教官陣、そして、中央電子脳だけでした。よって、私も知っておりましたんですよねえ~。

その様な訳で、ホワイトフィッシャーⅢ型10万tを旗艦として、クリントンⅣ型3万t級駆逐艦6隻の、辺境遊撃艦隊としてま、典型的な艦と、かなり優秀な下士官、兵士399名を早々に揃えまして、パトロールの実習訓練ですとお~。コレ、その年度に卒業確定の生徒対象なのですよね。新入生の私が、如何して全学年で、新年度真っ先に、実習なのでしょうねえ。

「本日、正午より遊撃艦隊指令官長実習訓練に出撃せよ。なおパトロールコースは、このチップに入っておる。」

で、正午。

「全艦出撃待て!」

裏の裏の表も裏も知り尽くしている私が、命じました。乗組員は、ベテランですが、こんな状態で出撃すれば、途中でにっちもさっちも行かなくなります。

「如何した、直ちに出撃せよ。」

「ダメたーですね。私を見くびらないで下さい。」

「何を言っておるのだ。出撃の遅れは、減点対象だぞ。」

「ケンカ売るなら買いますよ。総員プロだろうが。ぶっ壊れる装置全部知ってるはずだ。直ちにパーツ交換を実施せよ。出撃は24時間遅らせる。」

「コラー! これは訓練だぞ。出撃の遅れは、全て減点対象なのだぞ。」

「ほーい、減点は承知だあ~。出撃後最初のワープアウトで、3号駆逐艦の推進システム停止。応急修理で、加速中に6号駆逐艦ジェネレーター停止。その他の駆逐艦も、3日以内に航行に支障発生、旗艦の探知、サーチシステムも、ほぼ同時に破損かな。装備の整った本校での修理が適正なる判断です。」

「ぐぬぬ・・・じゃが何故解ったのじゃあー。」

「ふっ、総員聴け。私はすべてのライセンス、トリプルSなんだよね。だてで、一介の兵長が、士官候補生になれた訳じゃあないんだ! それとさ、前からチョッと気になるポイントが在ってさ。中央と、エリア宙域てさ、誰もが、マサカと思うでしょう。」

「まさか!」

「何~」

「ヤロー共、お宝が、まってんだけどね。だから、不良品のミサイルは、交換しろ。予備ミサイルも積めるだけ、準備しろ。」

目付きが、一瞬で変化した部下によって、激マジの、大修理、ついでに、各艦バトロイドもちゃっかり確保していました。一方学校側では、正にマサカでした。学校の各種装置は、一流品を揃えていますが、その装置を使って、いったい何処に問題在るポイントが在るのか解らなかったからです。全教官総員で、再度チェック、特に訓練コース付近を中心に調べたのですが?

かっきり24時間マイナス1分に第一線級の戦力の充実した訓練艦隊は、出撃しました。しかし、そのコースは、

「何を馬鹿な・・・コースが7度も狂っておる。」

「馬鹿者が、又も減点対象を・・・」

「しかし、あの方向? 探査装置をこちらへまわせ!」

「かなり、コースがずれとりますなあー、副官としては、何とも・・・」

「まっ、パトロールコースの固定化は、こう言った悪い者には、ありがたい事なんですよね。ふふっ、ワープアウトポイントは、慎重に計算したつもりですよ。」

「で、総員気になっているものですから、何処のポイントなのですか?」

「ん~とねえ。最大宙域立体マップを。」

即、極上のマップが現れました。

「中央電子脳、ここ2年間で発生した、ロストデッド、行方不明船の最終確認位置を表示して。」

『了解』

「今の中央電子脳は、いったい何処のヤツで、やんすか。」

「ああ、学校の中央電子脳だけど、チョイ、レッドエリア第3艦隊司令部にアクセスしてたりしてね。」

「馬鹿な、通常アクセスは無論、非常回線使ったって不可能ですが・・・」

「フッ、出来るからノープロブレム。」

「しかし・・・いったいコレの何処から何が解るのです。だいたいこれは軍事機密ですよ。」

「RDの船のそれまでのコースを表示。」

『了解』

「さっぱり解りませんね。」

「スティルスサーチアイを8基配置したとしたら、こうなる。」

「宙域立体マップが、ゴチャゴチャになっただけです。」

「ん! まてよ・・・ひょっとして、ここか!」

「鉄鉱石の多いアステロイドベルトは、う~ん7箇所の恒星系に存在しておりやすね。」

「貴様ら何か分ったのか?」

「副長、こいつは・・・4箇所は、可能性は低い。で指令艦長は、残りの3箇所のどれと、にらんどるんだ。」

「多分これだと思うよ。」

「えっ、これは・・・帝国預かり領のしかも無人恒星系・・・と言う事は・・・ま・さ・か!」

「100%実戦だよね~」

「くわー、こいつは・・・総員全力戦準備!」

と、言う訳で、ベテラン揃いの練習艦隊要員激マジ、目の色変えて、いや~やれば出来るじゃないですか。何処から出て来るのか、最新鋭のミサイルに完全換装、バトロイドや、万能型アンドロイドも総入れ替えでしたね。無論要修理ヶ所一切無し、このレベルの遊撃艦隊としては、多分特上クラスでしたね。やれば出来るじゃないですか。

しかして、副長からのアドバイスで、23時間59分遅れで、出撃しました。

読んで頂いたかたに感謝します。元々一話完結の予定でしたが、文字数の関係で、前編になってしまいました。ただいま、下巻も頑張って書いています。続きも読んで頂けるともっとうれしいですね。

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