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最終話 唄と共に

最高のぐだぐだ感とずるずるべったりを貴方に送ります。

「ひゃっひゃっひゃっ! たったの三点だってよ!! ぎゃははははは!」

 風画は進矢の点数を見て馬鹿笑いする。

「だってさ、いくら長渕の曲でも『豚』はないだろう」 

 画面には『只今の得点 三点』とでかでかと表示されていた。

「それでも三点はないだろ〜。おっ、次は槍牙か!?」

 槍牙はリモコン片手に曲本をめくっていた。

「何歌うの?」

 沙輝が槍牙に訊いた。

「井上陽水でも歌おうと思っているのだがな。……。あった」

「ははははははは。渋い! 流石、槍牙!! カッコいい!! それで良い!!」

 風画が手を叩いて喜んでいる内に、曲の前奏が始まった。

『都会では 自殺する 若者が 増えている』

 かなり渋く重く深みのある声。井上陽水とは程遠かったが、それなりに上手かった。

『行かなぁーくちゃ 君に会いに行かなくちゃ 君の元へ行かなくちゃ 雨に濡れ』

 槍牙の唄がサビに入ったとき、海雅は玄関前でぶつぶつ言っていた。

「遅いなあ。どこで雨宿りしてんだ?」

『つぅーめたぁーい雨が 僕のこぉーころぉーにしみる 君のこぉーといーがいーは かんがえーられーなくなる これは いいぃーことだおろぉー』

 槍牙が一番を歌い終えたとき、風画には何か引っかかる物があった。

「う〜〜〜む、なにか忘れてんな。何だっけ?」

 風画が頭を抱えて悩み、必死に思い出そうとする。

 そうしてる間に、次の曲が始まった。今度は美奈と沙輝のデュエットだった。

『あ〜なぁ〜たにぃ〜 あ〜いあたぁ〜くてぇ〜 あ〜いたぁ〜くてぇ〜 眠れぬよぉーるぅ〜は あ〜なぁ〜たの〜 ぬ〜くもーりを〜 そのぬーくもーりを〜 思い出し〜 そぉっと瞳とじてみ〜るぅ〜』

 二人ともそれなりの美声という事もあり、その歌声は鳥肌物だった。

「いえぇー! すげえ、マジ感動した! 上手い!」

 風画は二人の唄を絶賛する。

 一方、その頃。


「風画ぁ〜〜、まだかよぉ〜〜。へっきし!」

 海雅は豪雨に打たれて風邪をひいてしまった。

「今何時だ? うわ〜、もう十二時だ。へっくしょい!」

 海雅は左腕の腕時計を覗き込み、大きなくしゃみをした。

「風画ぁ〜〜」

「くぅ〜〜ん?」

 海雅の度重なる情けない声に、寝入ってたレックスが起き出す。

「ああ、レックス。ごめんね、おこしちゃったな。ん!?」

 海雅がレックスの背をお詫び代わりに撫でたとき、海雅の頭上の豆電球が光った。

「レックス、ちょっとごめん」

 海雅はそういってレックスに抱きつく。

「うわ〜〜、この子暖かい。しばらくこうさせて」

「くぅ〜〜ん」

 海雅はレックスに抱きついたまま、眼を閉じた。一方、レックスは眠い状態でいきなり抱きつかれた為か、明確な抵抗もできずにいた。


 カラオケのテンションは最高潮に達した。

「次。飯島進矢。平井堅で『瞳を閉じて』歌います!」

 進矢はマイク越しに、高々と歌います宣言。

「うおーい! やれやれ!」

 はやし立てる風画。

『あーさめーさめーるたーびにぃ〜 きみのぬぅーけがーらがぁ〜 そーばーにーいーるー』

 興奮した進矢はどんどん歌い進め、遂にサビの部分に達した。

『your love forever 』 

 案の定、無理に高くした酷い有様。しかし、それが逆に場の空気を盛り上がる。

『ひぃ〜とみ〜をと〜じて〜 き〜みを〜えが〜くよ〜 それだけで〜いーい〜』

 進矢は気持ちよく歌い続け、無理に高くした状態でフルコーラス歌いきった。

「得点は!」

 進矢が画面を見る。

『三二点』

 今日の進矢の唄は、散々な結果に終わった。


「風画〜〜」

 海雅はレックスを抱いたまま寝入りそうになるのを必死に堪えていた。しかし、健闘の甲斐なく、瞼は重力に従い下垂し始める。

(ああ、風画が見える……)

 レックスは海雅の腕の中で寝入っていた。

(風画、もうこれだけだ……)

 海雅はあまりの眠気と寒さに、考えることすら支離滅裂になる。

(はあ、風画……)

 海雅はレックスを抱いたまま、玄関先で寝入った。


 カラオケが終わったのは午前五時過ぎだった。

「くぁ〜〜。疲れた〜〜」

 カラオケ屋の店先で、一際大きな伸びとあくび。伸びとあくびのすさまじさが、風画の疲れの度合いを示していた。

 雨は既に上がっており、風もとうに止んでいた。

「じゃあ、これで本当にさよならしよう。みんな、昨日今日と本当にお疲れさま」

 風画はそういって家路についた。他のメンバーも疲れ切った表情で家路についた。


 風画が家に帰り着くと、玄関先に見覚えのある男がいた。

「誰だあれ?」

 風画は不審に思いつつも、重い足を引きずる。彼が男を押しのけドアの鍵を開けようとしたとき、風画は男に足を掴まれた。

「……よぉ、風画ぁ〜。ずいぶんと遅いお帰りだな……?」

 風画の足を掴んだ男、白狼海雅は異様なオーラを放っていた。

「あ、兄貴。帰ったたんだ」

「へへへへ、正確には帰りかけただ。今まで何してた?」

 海雅は風画を睨み付ける。

「いやぁ、昨日から海行ってて、その帰りにオールでカラオケ」

「ほお? ずいぶんとめぐまれてますなあ。実の兄をこんなにしやがって」

 海雅はそういって立ち上がると、風画の右手を自分のおでこにあてた。

「熱っ。どうした?」

「どうしたもこうしたもねえ! ぜんぶてめえのせいだ!」

「のわっ。兄貴落ち着け。体に響く!」

「うるせぇぇぇぇ!」

 その後、数十分に渡る壮絶な格闘の末、敗者風画という形で決着がついた。


 その日の部活。

 槍牙は顧問の先生に、欠席した者の理由を話すのに難儀した。

「ですから、進矢は親族の葬儀。風画は……、親族の結婚式です」

 その日の正午、槍牙の携帯に一通のメールが届いた。

『白狼風画。本日の部活は出席不可。言い訳は君の裁量に委ねる』

 と。

 そのメールを送った人物が海雅であることは言うまでもない。

長くてくどくてぐだぐだですみません<m(__)m>

携帯の人は非常に疲れたと思います。

本当に申し訳御座いません。これも全て、作者の未熟さ故です。

本当に申し訳御座いません<m(__)m> (平に〜平に〜)

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