第二話 シェアリンク
今回で初めて能力が出てきます。
でもちょっと受け狙いでいきました
「ただいまー」
いつもと違い一緒に帰ってくれなかった琴音。
そんなさびしい僕は仕方なく一人で帰って来たのだ
やっぱり避けられることはなんとかしたい。
なんとか今までの関係を取り戻したい。
その後のことも今は後回しにしよう
「あ、おにぃ~おかえり~」
リビングに飲み物を飲みに行くと妹の璃波がテレビを見ながらそう言った。
ん? 珍しい・・・母さんがいない
「お母さんはなにかの用事?」
まあ、遅くなる場合はコンビニとかでご飯を買えばいいかな
「うん、何の用事か知らないけど、冷蔵庫の物で適当に作ってだって」
うわ……自炊しろと言うんですねお母様
だけど今日は作戦のために料理に回している時間がないのだ
仕方ない、妹に交渉しよう
「久しぶりに璃波の手料理を食べたいな~」
よし! まずは完璧だ! 次に徐々におだてて
「一昨日たべたじゃん」
クッ、手強い、確かに一昨日食べたんだった、どうしよう、忘れてた
警戒されちゃったなこれは
「えぇー残念だなー! 璃波の料理食べたかったのにー」
だけど僕はくじけない!なんとかするために
「私コンビニ弁当で済ませたし」
くそぉ!! こいつ地雷まで仕掛けたなぁ!?
これで冷蔵庫減ってなかったら怒られるじゃないか!?
母さんはなぜか僕にしか怒らないんだぞ!?
そ! そうだ! 俺には武器がある! 本当は後で食べたかったんだけど仕方ない!
「ここに今日新しく発売した、とあるケーキ屋のショートケーキがあるんだけど」
「フラワースイーツの!?」
よし、食いついてきた。『フラワースイーツ』のケーキだ、絶対に食いついてくると思ったよ、
昨日からずっと新商品のショートケーキを食べたい言ってたからね
「そうだよ!よく分かったね!おなか一杯ならこれ食べれないかも知れなかったけど今日はこれだけでいいか!」
「もう!しょうがないな~おにぃは! そんなんだからシスコン呼ばれるんだよ! 私が作ってあげる!」
買収完了、本当は能力を使った後の楽しみにとっといたのに、仕方ない。
ついでに誤解を与えないために言うけど、周りからはシスコンとは呼ばれていないよ。
「ありがとう璃波! んじゃあきっとこのケーキ食べきれないからあげるよ!」
ああ……俺のお菓子……
しかし母さんの説教を免れて助かったのだ、それでも安くはない犠牲だった。
「うん! ありがとう! 帰りに行ったときには売り切れで落ち込んじゃってたの!」
そりゃそうだ、フラワースイーツは人気が高いから新発売だったらすぐ売り切れてしまう。
だが僕はあの悪友がいる。
あいつはなぜかバイトの取ってないところでよく働いている。
どんな技を使っているのだろう? そもそも中学生がバイトしたらダメじゃん
ってか落ち込んでるからって僕に地雷を仕掛けないでほしい
そして普通は部活を休んでまで買いに行くか?
まぁ、疑問は今は置いておこう
「シェア! 出ておいで!」
そういうとリビングから1匹の猫が出てきた。
「にゃぁーん」
「ん? シェア呼んでどうするの?」
璃波は疑問を吹きかけてきた
「食事前に遊ぼうとおもって」
と、いう嘘を言って僕は自分の部屋に行った
僕の能力の事は家族には話していない。
「よし、シェア、いくよ!」
「にゃ~」
僕はシェアの頭をなでて、『能力』をつかった
シェアの感覚と僕の感覚を見えない『線』のようなもので繋いでいく。
徐々にシェアの見えている視界が僕にも分かるようになる。
「……よし、」
外見的には、まったく変わらない
でも今は僕とシェア(猫)はすべての感覚がリアルタイムでリンクしているのだ
まあ、リンクは猫によっての強さは違うけど、シェアとは相性が良いんだ
リンクしていると、相手の考えていることは大体わかる
「う、視界が気持ち悪い……」
『んー、にゃんだー? どうしたんにゃー?』
シェアはそんな気持ちだった。
簡単に言えば酔ったのだ
その話しは後でするよ
この能力は相手の心もある程度わかる
感覚がリンクしているからね
「シェア、僕に力を貸してくれよ、もちろん、ツナ缶をあげるから」
本当は言葉を言う必要はないけど言ってしまう
こればかりは癖だからしかたない
『ツナ缶!? やる! よろこんでやるにゃぁ!』
やっぱりシェアは扱いやすい。
それじゃあ、たのんだよ
了解にゃ!
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シェアが隣の家に忍びこむ。 にゃー!眠たいニャー!
いつものことだ、シェアにとっても敷地みたいなものらしい。
んーと! やさしい人ー優しい人ー!
それにしてもシェアは体毛が空気をこめて熱いし視界は広いけどなんとなくしか見えない。
今日も一段と暑いニャー
まるで酷い度の眼鏡をかけた感じだ。
月明かりが明るいニャー
見える世界に色も無いから、なんとなく味気ない。
しかし、髭のおかげですべてが何となくなのに、はっきりと分かる。
それでも人間である僕はとても違和感を覚えてしまう。
人間は僕たちとなにか違うニャー?
うん、ぜんぜん違うよ
猫の感覚は何度リンクしてもなれない。
酔って気持ち悪くなってしまうほどだ
にゃ? そんなにちがうにゃ?
しばらく歩いていると家の縁側から足をぶらぶら、させている琴音を見つける
あ!優しい人にゃ-!
俺はシェアに気を引くように『お願い』した。
シェアとはリンクしているだけでシェアの体を僕が動かせるわけじゃない
にゃ!言われなくてもいくにゃ!
「にゃーん」
「……? あ! シェア」
琴音がシェアを持ち上げ、体をナデナデし始めた
「にゃぁー」
ニャー気持ちいいニャー
ん、なんか眠くなってきた 撫でられるは心地いい
「ねえ、シェア、私ね、流神亜を見ると恥ずかしくなって逃げ出しちゃうの」
……これって異性として意識されてるってことかな?
「にゃぁん」
にゃぁん
残念なのか幸いなのかシェアはこの意味を理解していない。
だけど僕にはとても重たい言葉だった。
「あはは、シェアにこんなこと言っても意味無いのにね」
ごめん、とっても意味があったよ
「見られただけなら、恥ずかしいだけで済んだかもしれないけど…あんなこといわれたら…」
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やっぱりあの余計な一言は本当に余計だった……!
僕は何度も頭を机に叩きつけていた。
ガチャっと扉が開く
「おにぃ! ご飯できた…よ、なにやってるの?」
「い、いや、ちょっと顔ドラムを、」
ダメだ、このごまかし方はダメだ! なぜこんなごまかし方をしたんだ僕!?
「っと、いうのは冗談だけど何のよう?」
無かったことにして話を進めることにした、
「だからご飯できたよって呼びにきたんじゃない」
「あ、ああ、わざわざごめんね」
「本当よ! リビングから呼んでも返事ないと思ったら顔を机に打ち付けてて、」
「ご、ごめんなさい、見なかったことにしてください。」
本当にいやなところを見られてしまった
シェアのほうに集中しすぎて、まったく聞こえなかった
「あれ?シェアは?」
璃波は聞いてきた。
「どっか行ったよ」
「また髭でも引っ張ったの?」
「ちがうよ」
僕はシェアの髭は今まで一回も引っ張った事ないよ
「ごちそうさま~!」
「うん、お粗末さまでした~!」
うむ、璃波はまた料理に磨きがかかったな、十分においしかった。
「結構おいしくなったなー」
正直に感想を述べた
「一昨日食べたばっかじゃない!もう!」
だけどちょっとだけ味が変わった気がする
これならあの食べものに五月蝿い琴音に食べさせても……
「あ゛」
「どうしたの? おにぃ?」
「い、いや、なんでもない!」
ヤバイ、琴音のこと忘れた
ってかさっきのショックで感覚が切れてしまった
一度感覚を切断してしまうと、また感覚を共有するために触らないといけない
しょうがない、もう諦めよう。
けれどもシェアのおかげで完全に嫌われてない事がわかった。
それだけでも十分な収穫だ。
これだけの確信があればなんらかのアタックしても問題ないだろう。
明日学校で、仲直りの手を打とうと思う
「よし! がんばるぞ!」
なぜ今から考えないって? それはね
「だからどうしたのおにぃ? 今日は本当におかしいよ?」
『僕がおかしい』という誤解を解かないといけないから
キャラクター紹介
名前 姫流猫 璃波
読み ひめるびょう りな
詳細 流神亜の妹。活発な性格でなんでも全力投球な子
兄のことはシスコンだと勝手に思っている