五十四の重圧・3
王都軍議室で、私の背後に並ぶ六銃口の輪が低く鳴った。数は54。光属性の砲身だけが先に熱を持ち、残る五属性が遅れて追いつこうとしている。暴走する前に、私自身が止まるためだった。
五十四銃口が現れた日、王は秘密を守る方針を終えた。詳細な制御法は伏せても、ガトリングには使用者の判断を奪いかねない暴走危険があると議会と同盟国へ公表した。それでも、知らない兵士たちが私へ発射を強制できる状態の方が危険だった。
新しい国法には三つの拒否権が記された。敵領への射撃、民間人を巻き込む射撃、私が停止不能と判断した射撃。王命であっても拒める。さらに私は任務途中でも自分を戦列から外せる。国家が私を所有物としないという約束を、王と私だけの信頼から、次の王にも破れない制度へ変えた。
伝令官ユリアは五十四の観測値を読み、九組目の脈動が半拍速いと告げた。敵の投石機はすでに避難街道を狙っている。私は九組すべてを開かず、七組で石弾を砕き、二組を停止のために残した。最大火力を使わないことも制御だった。
戦線が崩れた敵へ、味方の将軍が追撃を命じた。私は銃口を閉じる。魔術技師ノエルも王の署名された拒否規定を掲げ、命令を差し戻した。誰も反逆者として拘束されなかった。五十四銃口より強かったのは、撃たないという一人の判断を、国家全体が守ったことだった。
夜、王都軍議室には銃声の代わりに救護班の足音が続いた。私は砲身の熱が完全に消えるまで一人にならず、伝令官ユリアの報告を聞いた。倒した数ではなく、避難できた人数と国境外への着弾がないことが先に読まれた。
「次も、止まれますか」
私は簡単にうなずかなかった。危険が消えたふりをしないことも制御の一部だった。それでも、次に開くかどうかを決めるのは兵装でも国家でもない。私だった。




