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失敗スキル《ケルベロス》は、六属性の銃口で王国を守る  作者: 竜太郎


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五組目の境界――五組目の音

玄武岩演習場で、外交官エマは停止直前に震えた第四十二銃口を記録した。課題は、三十銃口を得ても先制攻撃へ使わず、国内の侵略論を退けることだった。銃口が増えるたび、臣下は国家の選択肢が増えたと喜ぶ。だがレオンハルトと王は、誤った一射が届く場所の増加として数えた。力の成長と、人が扱える範囲の成長は同じではない。


 ケルベロスを神格化する群衆が突きつけられても、アルディスは四つの原則を変えなかった。侵略には使わない。生き物を試射標的にしない。降伏兵と敗走兵を追わない。本人の同意なく出動させない。王国が切り札を持ち続ける資格は、使える時ではなく、使わずに耐えた時に問われる。

 侍従長マルクは命中と威力だけでなく、起動の遅れ、停止までの秒数、主人公の呼吸を同じ紙へ記した。六属性の回転が揃いすぎた時、兵は完成に近づいたと歓声を上げた。しかし二人だけは、その滑らかさの中に本人の意思を追い越す兆候がないかを探した。

 平時の記録は王の視点で続いた。撃たない日が長いほど、諸侯は力を腐らせるなと迫った。王は一枚ずつ却下し、国境の避難路と防壁へ予算を回した。ケルベロスだけを防衛にすれば、少年が倒れた日に国も倒れるからだった。

 夕刻、停止直前に震えた第四十二銃口の前で王は民間被害なし、越境なし、追撃なしの三項を確かめた。臣下が30銃口の完成を祝っても、停止命令に従えたかを先に問うた。

「王よ、まだ私を戦わせるか」

「守るために必要な時だけだ。お前の意思より回転が先へ出たなら、勝っていても止める」

 私はうなずいた。使える力を増やす訓練と同じだけ、使わずに戻す訓練が必要だった。

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