第三の六銃口――届いた亡命状
玄武岩演習場で、外交官エマは王が封じた射撃記録を確かめた。第221話の課題は、同盟国領内の防衛に限って派遣され、十八銃口を制御することだった。周囲は銃口が増えるほど勝利が近づくと考えたが、レオンハルトと王だけは逆に数えた。守れる範囲が広がるほど、意志から外れた一射が奪う範囲も広がる。
先制攻撃を唱える諸侯が決断を迫っても、アルディスは原則を変えなかった。侵略には使わない。試射に生き物を使わない。国境を越えて敗兵を追わない。そして本人の同意なく出動を命じない。切り札を持つ王が最初に示すべき力は、撃たせる権限ではなく、撃たせない責任だった。
侍従長マルクは威力の増大を報告したが、王は不発と停止まで同じ欄へ書かせた。レオンハルトは六属性を同時に回さず、火、水、風、土、雷、光の順をわずかにずらす。完全な同時射撃は強い。しかし回転が本人の呼吸を追い越す兆候を、二人は一度も成長と呼ばなかった。
戦場へ出た記録だけは、私の言葉で残す。私は敵の中央ではなく、まず左右の退路を見た。逃げ道を塞いで撃てば殲滅になる。守るための射撃は、敵が退ける空間を残さなければならない。私は銃口を低くし、前進を止める地面と防壁だけを削った。
夕刻、地面には王が封じた射撃記録が残った。臣下は18銃口への前進を祝ったが、アルディスは命中数より先に民間被害なしと記した。
「王よ、私をどこまで使う」
「お前が守ると決めた場所までだ。その先へは、王命でも進ませない」
レオンハルトは短くうなずいた。力を使わない日の記録もまた、《ケルベロス》を人の意思の内側へ留める訓練だった。




