表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リシュールと魔法使いの秘密  作者: 彩霞
第四章 リシュールの絵

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/69

第61話 種明かし

 クモイとシルヴィスのやり取りが、思った以上に時間がかかってしまったため、ご飯は改めて行くことを約束し、リシュールたちは家に帰ることにした。


 クモイは家に着くと、てきぱきと暖炉の灰をかきだして火を入れ、お茶のロフトニーを用意してくれる。


「どうぞ」


 温かなお茶が入ったカップは、リシュールがいつも使っている鳥の絵と花の絵が描かれた白地のものだ。


「ありがとう」


 一通りの作業が終わると、クモイはリシュールと向かい合わせに座る。そのときリシュールは、ようやく気持ちが落ち着いた心地になった。


「……」

 

 クモイが今座っている場所は、さっきまでシルヴィスが座っていたところだ。シルヴィスの話が暗かったからというのもあるのかもしれないが、やはりクモイのほうがしっくりくる。


「あのさ」


 お茶を入れてもらった後に、最初の一言を発したのはリシュールだった。きっとクモイからは話しづらいだろうと思ったからである。


「はい」


 クモイの声は硬い。きっと緊張しているのだろう。

 リシュールはそれを感じつつ、これまで思っていたことを吐露とろした。


「実を言うとね、クモイが情報収集……っていうのかな。そういうことをしているんじゃないかって気はしていたんだ……。だからシルヴィスさんの話を聞いたとき、すごく納得したんだよね」


「え?」


 クモイは驚いた表情を浮かべ、主人を眺めていた。それを見たリシュールはくすっと笑う。


「どうして五十年も眠っていた人が、今の靴磨きの流行に詳しくて、この辺りのおいしいお店を知っているんだろうって、不思議に思っていたんだよ。だから話を聞いて『ああ、そうなんだ』ってに落ちたんだ」


 リシュールの理由を聞いたクモイは、力なく笑った。


「そうでしたか……。私はリシュを甘く見過ぎですね」


「どういうこと?」


「リシュに気づかれないと思っていたんです」


 そして彼は言葉を続けた。


「おっしゃる通りで、それらの情報は魔法によって集めたものです」


「やっぱりそうなんだ。でもさ、一つ分からないことがあって」


「……何でしょう?」


「どうして僕がマントを買うって分かったのかなって。それにあの古着屋の陳列棚から、クモイのマントを選ぶかどうかなんて、そのときにならなければ分からないと思うんだけど……」


 マントを買うことは決まっていたが、それを誰かに言った覚えはない。また古着屋に行って、マントがある棚を見るまでは、どれを買うかは決まっていなかった。


 魔法によって、クモイが情報を集めていたことは分かったが、直前までどのマントにするか決めていなかったものを、どうやって知ることができたのだろうかと思ったのである。


「それは……状況をかんがみた分析と、人の心理を利用したのです」


「……カンガミ? シンリ?」


 リシュールは、難しそうな顔をする。するとクモイは、どうやってリシュールがクモイのマントを手に取ることが分かったのか、その種明かしをしてくれた。


「魔法による調査のやり方はお教えできないのですが、簡単に申しますと、私は以前からリシュの状況を知っておりました。つまり屋根裏部屋で過ごしており、きっと寒い状況があるであろうということです。そこから、リシュが何かしら防寒具を買うことは予想できていました。リシュの生活から推測するに、毛布かマント、もしくは外套がいとうであろうということも」


 屋根裏部屋で生活しているということは、「お金がない」ということである。この場所は人が生活するように作られていないので、その分家賃が安いのだ。そのため、他の下宿屋でも、屋根裏部屋に住んでいる者はお金がない者が多い。


 そこから考えると、お金がない者が買うことができる防寒具といえば、それらに絞られるのもリシュールには分かった。


 だが、何故そのなかで「マント」という選択肢に至ったのだろうか。


「確かにそこまでは分かった。でもどうして僕がマントを買うと思ったの?」


「それは……こういっては失礼かとは思うのですが……」


 クモイは言いにくそうに呟き、そして視線をリシュールから別のほうへ向ける。


「大丈夫だよ。気にしないから言って」


 リシュールが促すと、クモイはこくりとうなずき、説明を続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ