なろう的な多角経営
なろう学園には俳優養成所がある。この学校は、何でもありなのだ。なろう学園の声優コースがバレエを練習していることは既に書いたが、俳優養成所もバレエが必須科目だ。その練習の苛烈さは、声優コースとは比べ物にならない。練習が過酷すぎて舞台デビュー前に怪我をしてしまい、引退を余儀なくされてしまうことがあるのだ。本職のバレエダンサーを目指すわけでないのに。
それではバレリーナを養成するコースは一体、どうなのか? 本物のバレリーナ志望者が集まる学科は、別名バレエ虎の穴と呼ばれている。マグマがたぎる白鳥の湖の岸辺でのパ・ド・ブーレ・クリュ(早いステップを繰り返して移動)や、針の山の上にロープを張り、その上でアントルシャ(ジャンプして空中で足を交差)といったバレエというよりは曲芸みたいなことをやっている。落ちたら死ぬので皆、必死だ。しかし、それくらいやらないとプロになれないのである。これが、なろう学園に通学する生徒たちの、日常の一コマなのだ。
声優やダンサーといった芸能のプロを目指す芸能部門の他にも、なろう学園には様々なコースが用意されている。軍師を養成する足利学校、政治家を育成する吉田学校、そして小川で生きる術を磨く、めだかの学校……無いものは無い。
魔法使いを作る魔法学校もある。私たち声優コースやアナウンス科の生徒に混じって寿限無や外郎売の練習をしている。それが複雑な呪文を唱える訓練なのだ。
ただし、それだけで魔法使いにはなれない。百歳まで清い体でいなければならないのだ。スクールラブなど、もってのほかである。だが、誘惑は多い。サキュバスを目指す風俗科の生徒が、特に危険だ。パンチラ・胸ちら等の軽いテンプテーションから全裸アピールまで、数々のテクニックで純潔を奪おうとするのである。魔法使いへの道は険しい……開校以来、魔法使いになれた者はいないと噂されている。
そんな感じで、なろう学園の紹介をしてきたが、いかがだったろう? 入学したい気持ちになったら、いつでも学校案内センターに問い合わせて欲しい。
最高の青春を、お約束しよう。
え、なろう学園には小説家になるコースは無いのかって?
あるにはあるのだが入ると国語力が低下するので、お勧めしない(おいおい)。