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4醜態

ブレイス「以上が今回の報告です」


前回のパトロールの報告をしている、

過去に俺を軍にスカウトした上官だ。

1人で5人の制圧、無傷な上、

消費は銃弾1発とグレネード1つ。

どう考えても完璧な戦果だ!

昇進にグッと近づいたに違いない!


上官「ふむ…君にはガッカリだよ」


何を言ってるのか分からない、

即座に完璧な作戦を練り、無駄なく実行して成果を上げた。

いきなり上官ポジションは無理でも、

それなりの褒美は出るものと思っていたのに…どうして?


上官「君は自分の役割をまるで理解できていない。

パトロールを行う理由は、

あくまでも危険の早期発見であり、制圧ではない。

敵が単独かつ、安全に先制攻撃できる場合のみ

今回のやり方でも構わない。

だが、今回のような対複数の場合、まずは応援を呼べ」


それは分かっている、ハンドルも分かってた、

応援を呼ぶか訊いてきてたからな。

でも敵は武器無しで、策もあった…勝算があった。


上官「今回は偶々上手くいったが、

見張り役に気づかれた場合。

見張り役だけは制圧できても、4人が逃げるか、

4人に囲まれる、2方向に分かれて攻撃されれば

対処できず敗北する。

敗北は当然だが逃走も、成功させてはならない。

『成功したという事実』は人を勢いづける。

我々はもちろん、敵も同じだ。

もし、今回君が失敗していれば、

敵は『自分たちの作戦は完璧で、次も上手くやれる』

と行動が活発化する。」


ブレイス「お言葉ですが!

私とハンドル隊員で考案した作戦は確実で、

結果も報告書の通りです!偶々ではありません!」


思わず声を荒げてしまった。

言ってる事は理解できても、

成功を評価されない所は納得できない。

”偶々”なんかじゃない!

俺よりも戦闘が得意な隊員に追いつく為に、

頭を使って戦ったんだ!しかも確実だった!


上官「ほう…応援を呼び、

相手より有利な人数で囲むよりも確実だったと?

君のそういう思い上がりにガッカリしたんだ」


ブレイス「…たかだか数人の武器無し相手に

応援を呼ぶのは、過剰なのではないですか?」


苦し紛れな言い訳で、より失望させるかもしれないが、

引き下がりたくなかった。

認めてもらう為の努力なんだ!少しでも足掻かなければ!


上官「…彼らを尋問する前に持ち物を検査したら、

通常火薬のグレネードを所持していたよ。

トラックに乗せる前に手足を封じていたから、

そこからの被害は無かっただろうが・・・

もし、君がテーザーグレネードを投げ入れた際、

ピンを抜かれていたら、

4人分の情報と材料に加え、君の足も失ったかもしれない、

そうなれば治療費もかかる。

可能性は低いが、電線も近かったから、

最悪、断線の被害もあっただろう」


もう足掻く事はできない、上官が全て正しい、

今更自覚したが、俺は目先の利益に目が眩んでいた。

仮に悪足搔きのグレネードで断線をされても、

応援の隊員が居れば即座に応急処置が可能だっただろう。


上官「他に言いたい事はあるか?」


ブレイス「いえ…申し訳ありませんでした…失礼します…」


上官「待ちなさい…君は軽率だったが、気持ちは分かる。

厳しい言い方をされて気分は良くないかもしれないが、

今回の経験を次に活かし、明日も頑張ってくれ。

今日はもう帰って休みなさい」


ブレイス「はい…ありがとうございます」


上官は厳しいけど俺を気にかけてくれている、

自分の無力を痛感したが、引きずってはいられない。


部屋を出るとハンドルと出くわした。


ハンドル「よう!報告終わったか?

一緒に晩飯でもどうだ?また良い店を見つけたんだ!」


ブレイス「悪いな、今日はやめておくよ、明日の準備がある」


帰ってもすぐには休まない、今回の反省をしたら、

明日の天気を調べて、相手の行動を予測する。


そうだ、地図も見直そう、

何か見落としや新しい視点が得られるかもしれない。


…もう間違うワケにはいかない。

読んでくださってありがとうございます。

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