表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/15

夏の間の静けさ

蒸し暑い夏。

体がベタつき、空気は重たく湿っている。

それでも人々は夏を好む。

夏にはロマンと青春が詰まっている――そう言う人は多い。


学生時代の夏は、特に特別に感じられる。

蝉の鳴き声、トンボの羽音、夏特有の澄んだ空気。

人それぞれ、夏にはそれぞれの思い出がある。


そして、夏が近づくと、学校の文化祭もやってくる。


あの日以来、ソヨンとの距離はぐっと縮まった。

彼女は少しずつ、僕に好意を見せてくれているようだった。

そして、手首の時計も、いつの間にか静かになっていた。

この平和な日々が、ずっと続く気がしていた。


でも、文化祭が近いということは、期末試験も迫っているということだ。

たとえ過去に戻って受け直す試験でも、やっぱり緊張するものは緊張する。


今日は、ソヨンと一緒に勉強する日。

授業が終わるとすぐに、彼女の教室の前で待っていた。

お互いに目が合って、思わず笑みがこぼれる。

その瞬間、夏の風が服を揺らした。

そして、その風に乗って、僕らの気持ちも少しずつ近づいていった。


ソヨンの家には何度か行ったことがあるけれど、

僕が過去に戻ってからは、今日が初めて僕の家に来る日だった。

胸の鼓動がどんどん早くなる。

もしかして、この音が聞こえてしまうんじゃないか――そう思って、つい口を開いた。


「えっと……試験勉強、進んでる?」

自分でもバカみたいな質問だと思った。

ソヨンは笑いながら答えた。


「うん、君は?」

僕は言葉の代わりに、ただうなずいた。

そんな風に会話をしながら歩いていると、いつの間にか家の前に着いていた。


暗証番号を押してドアを開け、家の中に入る。

予想通り、誰もいなかった。

あらかじめ掃除しておいて本当に良かったと思った。


初めてのことで緊張して、口の中がカラカラだった。

ソヨンに飲み物とお菓子を用意して渡すと、彼女は僕の部屋を興味深そうに見渡した。


そして、机に向かい合って座り、それぞれ勉強を始めた。


10分ほど経った頃だった。

僕は何度もソヨンの方をチラチラと見てしまっていた。

でもソヨンは一度もこちらを見ず、ただ問題に集中していた。

集中できないのは、どうやら僕だけのようだった。


1時間ほど経った頃、彼女は静かに眠ってしまった。

その姿を見て、思わずそっと髪を撫でた。

そして僕も、いつの間にか眠っていた。


どれくらい時間が経っただろうか――

先に目を覚ました僕は、そっと彼女を起こした。


「起きて、もう日が暮れちゃったよ。」

目をこすりながら起き上がったソヨンは、ぽつりと言った。


「今日、全然勉強できなかったね……」

「大丈夫、また今度やればいいさ。」


そのとき、ソヨンのお腹がぐぅっと鳴った。


「お腹すいた? 晩ごはん食べてく?」

「うん。」

ソヨンもお腹が空いていたのか、こくりとうなずいた。


「でも、両親はいつ帰ってくるの?」

「二人とも遅くなるよ。心配しないで。」


そう言ってソヨンを安心させ、僕は台所へ向かった。

カチャカチャと音を立てながら料理を始める。

ソヨンが好きだったメニュー――卵チャーハンだ。


香ばしい香りが部屋中に広がった。

その匂いに、ソヨンの鼻がぴくりと動いた。


「できたよ、一緒に食べよ。」

彼女は反射的に席を立った。


一口食べたソヨンの表情を見て、言葉がなくてもわかった。

その顔には、確かな幸せが浮かんでいた。


僕たちはテレビを見ながら、笑ったり、ふざけたり。

試験のことなんて、一瞬だけ忘れていた。


時計が10時を過ぎて、僕はソヨンを家まで送って行った。


悲しみに満ちた人生の中で、ほんのひとときの小さな幸せを見つけた気がした。


人生とは、99%の悲劇と、1%の幸福でできている。

その1%が、人を生かしてくれる理由なのだ。

まるで、真っ暗な夜道に一つだけ灯る街灯のように。


そうして、一日が終わった。


──数日後──

試験が終わり、文化祭も目前に迫った。

クラスの雰囲気は浮き足立ち、みんなが準備に追われていた。


ソヨンの母の一件以来、もう亡者は現れなかった。

もしかして、神様も僕のことを忘れたのだろうか?


そんなことを考えながら、手首の時計を弄んでいると――コツン、と、長針が動いた。

ついに来たか……


スマホを取り出し、今回の亡者の情報を確認した。


──亡者情報──

名前:キム・ヒョンジュン

年齢:19歳

性別:男性

家族構成:父、母、妹

死因:自殺

生前の特徴:いつも笑顔でふざけていたが、誰よりも責任感が強く、学業の重圧を表に出せなかった。


情報を確認した僕は、亡者を探しに向かった。


探すのは難しくなかった。

重い足取りで階段を上がり、

学校の屋上に辿り着いた。


その扉を、静かに開けた――

本当に申し訳ありません。

できるだけ早く更新したい気持ちはあるのですが、まだ学生で試験期間中のため、少し投稿が遅れてしまいました。

楽しみにしてくださっている皆さんにはご迷惑をおかけして、本当にすみません。

今回のエピソードも、ぜひ最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ