表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

亡者との最初の出会い

午後、宴の日。

私は万全の準備を整え、宴の開始より一時間早く、ソヨンの家に到着した。

彼女が用意してくれたスーツに着替えるためでもあり、家の中を見て回るという口実もあった。

家の前に着いたとき、晴れていた空から突然、雨粒が落ちてきた。

一粒、また一粒。

過去に戻ってきてから、初めての雨だった。

私はそっと手を差し出した。

屋根をつたって流れる雨水が、指先に「ぽつん」と落ちた。

その短い感触が、生きているという実感を与えてくれた。

しばらくして、彼女が扉を開け、嬉しそうな顔で私を迎えてくれた。

家の中はすでに慌ただしかった。

何かを運ぶ人々、楽器を調整する演奏者たち、挨拶の準備をする彼女の父親まで。

宴の空気はすでに温まっていた。

私は彼女の案内でドレッシングルームへ向かった。

派手ではないが整ったスーツに着替えて出てくると、彼女が私を上から下まで見てこう言った。

「うん、悪くないわ。やっぱり私の目に狂いはなかったわね。」

その言葉に、なぜか顔が赤くなった。

まだ時間があったので、私はそっと頼んでみた。

「家の中を、少し案内してもらってもいいかな?」

過去にも何度か訪れたことはあったが、今回は目的が違った。

…亡者を探すための、本格的な始まりだった。

私たちは一階からゆっくり見て回った。

高い天井、整えられたキッチン、上品なリビング。

外見は完璧だったが、どこか言葉にできない空虚さが漂っていた。

やがて二階へと向かった。

廊下の奥、閉ざされた一つの扉が目を引いた。

「この部屋は…?」

私が静かに尋ねると、彼女の表情が凍りついた。

まるで過去のソヨンに戻ったような眼差し。

その瞬間――

外で雷が光り、廊下を照らしていた灯りが一つずつ消えていった。

「パチッ、パチッ、パチッ…」

次々と暗闇に飲まれ、ついに私たちが立っていた場所までもが闇に包まれた。

私は本能的に彼女の手を取り、階段を下りた。

呆然としていた彼女も、すぐに我に返った。

確信した。

亡者はこの家のどこかにいる。特に――二階に。

時が過ぎ、客たちが一人、また一人と到着した。

七時になると、古時計が鐘を鳴らした。

そして、宴が始まった。

人々は集まり、笑い、語らい、祭りのように楽しんでいた。

やがてソヨンの父が壇上に立った。

マイクを手に取り、落ち着いた声で口を開いた。

「本日この場にお越しくださった皆様、誠にありがとうございます。

私はこの家の主であり、パク・ソヨンの父、そして画家として活動しているパク・ソジュンと申します。」

拍手が湧き上がった。

だが、私は知っている。

彼の外見の下に隠された、ぞっとするような本性を。

穏やかなピアノの旋律が流れると、人々はパートナーと手を取り合い、踊り始めた。

彼女が私に囁いた。

「ダンスなんて…したことないの。パートナーもいたことないし。」

「大丈夫。僕に任せて。」

私は彼女の手を取り、宴の中央へと歩み出た。

ピアノ、バイオリン、フルート、トランペット――様々な音色が美しく調和していた。

外では大雨が降りしきっていたが、その音さえも音楽の一部のように感じられた。

私は片膝をつき、彼女の手の甲にキスをした。

そして、ゆっくりと踊り始めた。

彼女の手にわずかに汗がにじんでいるのを感じた。

私は低く囁いた。

「心配しないで。しばらくは、僕に身を預けて。」

彼女はそっと頷き、私たちは美しく息を合わせた。

踊りが終わったあと、私は彼女の目を見つめて尋ねた。

「君の…お母さんは、どうやって亡くなったの?」

彼女は何も言わず、私の腕を掴み、二階の自室へと連れて行った。

そして、ゆっくりと語り始めた。

――残酷な真実。

私はすでに知っていたが、彼女の口から再びそれを聞いた瞬間、涙が滲んだ。

私たちは一緒に、廊下の奥の部屋へと向かった。

鍵がかかっていると思っていた扉は、意外とあっさりと開いた。

そこは、キム・ジヨン氏の部屋だった。

そして、部屋の中央には巨大なキャンバスが置かれていた。

絵の中には――

亡くなったあの日、倒れていた彼女の姿が描かれていた。

ソヨンの父。

彼は、愛する者が死にゆくその瞬間、

鉛筆とスケッチブックを手に取った。

そして、死の最期の一瞬を、そのままキャンバスに刻み込んだのだった。

そのとき、雷が光り――

見えなかった亡者が姿を現した。

ソヨンにそっくりな顔。

いや、ソヨンが母に似ているのだろう。

私は怯える暇もなく、彼女を見つめた。

彼女は絵を見ながら涙を流していた。

しかしその涙は、悲しみではなく、怒りに近かった。

そして彼女と目が合った。

亡者、キム・ジヨン氏は、私に静かに語りかけた。

「見えているのね。…そうでしょう?」

その声はソヨンには聞こえなかったが、私の耳にははっきりと届いた。

私は最初、見えていないふりをしたが、すぐにバレてしまった。

ソヨンには「トイレに行ってくる」と言って宴会場を抜け出し、

急いで再び二階の彼女の母の部屋へ戻った。

亡者と再び向き合った。

彼女は私を見つめながら尋ねた。

「あなた、いったい何者なの?…私が見えるなんて、初めてよ。」

私は慎重に答えた。

「あなたの未練を晴らし、安らかに送り届ける者です。

あなたの本当の望みは、何ですか?」

キム・ジヨン氏は無言で、絵を指さした。

「…あれを破って、燃やしてほしいの。」

思っていたよりも、単純な願いだった。

しかし、背後から不気味な気配が迫ってきた。

ゆっくりと振り返ると――

ソヨンの父が、扉の前に立っていた。

彼の目には、言葉にできない狂気が宿っていた。

「ここで何をしている?…ここは鍵がかかっていたはずだが。」

その一言一言に、殺気が込められていた。

だがこの空間で殺気を放っているのは、彼だけではなかった。

亡者・キム・ジヨン氏もまた、彼に対して強い憎悪を放っていた。

私は驚きを隠しながら言った。

「トイレを探していて、間違って入りました。すみません。」

部屋を出ようとしたそのとき、

彼の手が私の肩を掴んだ。

「でも…一人だったのに、誰と話していたんだい?」

「…何のことですか? 一人でしたけど。」

彼は目を細めて言った。

「…そうか。じゃあ、宴会場へ戻りなさい。トイレは一階にある。」

私はうなずいて、階段を降り始めた。

だが――

体に冷気を感じた。

ふと後ろを振り返ると、亡者・キム・ジヨン氏が、私と一緒に階段を下りてきていた。

階段を一段、一段と降りる間、

彼女の視線が私の背に深く突き刺さっていた。

確かに、私は一人で歩いていたはずだ。

だが――影は、二つあった。

時が経ち、宴の終わりが近づいた。

私はあえて何事もなかったように宴を楽しんだ。

宴が終わると、私はすぐに帰宅せず、

近くの公園のベンチへと向かった。

街灯の下、濡れたベンチの上。

雨は依然として降り続いており、

私の隣の影も、まだ二つのままだった。

私は静かに口を開いた。

「…あの日の真実。

そして――あなたが本当に望んでいることは、何ですか?」


今回もよろしくお願いします。思ったより遅くなってしまい、すみません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ