新たな祝福
「実験体……。」
「あなたの質問に答えた。次はちゃんと答えてもらうわ。あなたは誰?此処はどこ?」
「俺たちは賞金稼ぎだ。ここは俺の船だ。」
「……つまり帝国の兵ではないのね。」
すると、少女は身を屈め、床を蹴った。
パァン!!!
刹那、少女は一瞬で少年に近づき、拳を突き出した。
「!?」
が、その拳を少年は易々と受け止めた。
ありえない。
と少女は驚いた。
「私たちは戦うために作られた兵器。今の一撃を反応ならまだしも、普通の人なら素手で止められない筈。あなた、何もn──!?」
突然少女は前のめりに倒れた。
『マスター!お怪我は!?』
否、少女の背後をセバスが押さえつけたのだ。
「ない。そのまま押さえていろ、セバス。」
『承知しました。』
「くっ!」
少年は片膝をつき、押さえられた少女の顎を掴み、自分に向けた。
少年はお互いの目線を合わさせた。
少女の瞳は光を失い、虚となった。
─────
辺りを見回すと、何もない真っ暗な空間だった。
俺はそのまま、下に潜り込む。
果てしない深淵のように深く、暗い。
するとだんだん光が見えてきた。
やがて景色は打って変わって一面真っ白になった。
どこだ?
俺は周囲をくまなく探した。
違う。これも違う。これでもない──────
随分進んだのに一向に見つからない─────
……となると、予想される答えは一つ。
俺は走り出した。
この空間も無限ではない。
必ず、始まりが存在する。
そしてたどり着いた。
探していたものはやはり、ここにあった。
俺は手を伸ばし、書き換えた。
「我◼️◼️◼️◼️◼️◼️、汝に祝福を与えん。汝の名は────」
──────
少年は少女から手を離し、立ち上がった。
「セバス、もういいぞ。」
セバスは少女を解放し、少年の後ろに立った。
「わ、わたしは今何を?」
「手荒な真似をしてすまなかった。レイ。」
「レイ?……そう、わたしはレイ……。」
少女は立ち上がり、少年をじーっと見る。
「どうかしたか?」
「わたし、あなたの名前を知らないわ。」
「ああ、まだ名乗っていなかったな。俺はライ。
ライ・アージェントだ。」