0の目覚め
船に戻った俺は早速、例のアレを解析していた。
外部の素材は熱伝導率が低いステンレスだ。
X線スキャンをすると中は空洞でそこに人型の何かがあることがわかった。
内部の温度は低い。
まるで、古代の技術であるゴールドスリープのようだ。
箱の扉には何重ものセキリュティがかけられており、一つ一つ解除するのに時間がかかった。
そうして1日かけて、遂に最後のロックを解除した。
「よし、開けるぞ。」
『ええ、準備は出来ております。』
箱の操作画面に表示されたOPENの文字をタップした。
ゆっくりと扉が開き、中から白い光と白煙が漏れ出した。
視界がクリアになって箱を見ると、そこには人が立っていた。
銀髪のショートヘアに雪のように白い肌が全身露わになっている。スラッとした細い身体つきだが、胸部や臀部は女性らしい丸みのあるフォルムだ。
少女……と呼ぶべきか。
その少女はやがて、ゆっくりと目を開けた。
氷のように青い、美しい瞳だ。
「これが、奪取された帝国の機密兵器?あの巨大な大砲よりも重要なものだと?」
『にわかには信じ難いですね。』
少女は一歩、前に出る。
俺をじっと見て、
「あなた方は誰?此処はどこ?」
口調は淡々として、感情が読みにくい。
困惑をしているようにも、驚いているようにも見えない……。
ただ、警戒はしているようだ。
「その質問に答える前に、君は誰だ?」
「……私は実験体No.0。」