銀狼の狩り II
「目標を載せた貨物船はこの小惑星帯を通過するようだ。俺達は一足先にこの小惑星帯に入り、身を隠す。」
『そうなりますと、今回は強襲作戦ですか。』
「ああ。まず、敵の武力を制圧する。完了次第、内部に乗り込み、目標を回収する。」
『かしこまりました。ではお茶も用意しておきましょう。』
「オービー、システムチェック頼む。」
『オラ!オラ!(了解!了解!)』
狩りの時間だ、マルコシアス。
──────
─未開拓小惑星帯(ユナイトスターズ宇宙航路省データベースの記録ファイルより)─
そこに数隻の船が、岩陰に潜んでいた。
その中で最も巨大な貨物船で、
「周囲に反応ありません。ボス。」
「よし、警戒レベルを2に下げろ。」
「了解。」
彼らは宙賊。
宇宙空間で航行中の船を襲っては、物資や積荷を強奪し、それらを闇ルートで売り捌くことを生業としている。
「いゃ〜今回は大収穫でしたね〜ボスぅ〜。」
「当然だ。俺ら"蛮鬼"はレッド5に名を連ねる大盗賊団だ。まあ、俺らはその別働中隊で俺もその隊長ってだけに過ぎねえが……。」
今回の件が無事に成功すれば、俺の組織内での地位は大いに上がる。
そうすりゃ、幹部クラスにだって上がれるかもしれない。
だから、失敗は許されない。
「ボス!巡回中の2機の通信、ロストしました!」
「ああ?ったく、こっちから繋げられねえのか?」
「先程からずっと試みていますが、依然として繋がりません。」
妙だ。
レーダーに熱源反応はない。
岩にでもぶつかったか?
いや、あの辺はそんなに岩はないはずだ。
「チッ、小型艇を出して見に行かせろ。」
「り、了解!」
ボスは椅子にドカッと座り、腕を組んだ。
「何もなきゃいいが……。」
─20分後─
「ボス!調査班が!!」
「ああ?見つかったのか?」
「い、いえ!調査班との通信も途絶えました!!」
「なんだと!!」
ボスは椅子から立ち上がり、メインヴィジョンのレーダーに目をやった。
確かに画面には通信ロストの表示があった。
だが依然としてレーダーに他の反応はなかった。
これは偶然じゃない。
レーダーに映っていなくても、明らかに何者かの手によるものだ。
「総員戦闘配置につけ!警戒レベルをマックスまで引き上げろ!!」
艦内に警報が鳴り響きクルー達が慌ただしく走り出した。
「どこの誰かは知らねえが、俺らに喧嘩を売ったこと、後悔させてやる!」
──────
『マスターの読み通りですね。敵が警戒体制に入ったようです。』
「見えない敵……獲物からすればこれ以上にない脅威だろう。」
相手のレーダーの探知範囲外からの超遠距離射撃。
相手を警戒させ、戦闘機を母艦の防衛のために密集させる。
こんな簡単な罠にかかるとは、相手の指揮官はそこまで大したことはなさそうだ。