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─イビルハント─ 殺魔の銀閃  作者: あまみなし
銀狼と悪魔の子
2/8

銀狼の狩り I

「ハァハァハァハァ─────」


薄暗い通路の中を走る男が一人。

しかしどこか様子がおかしい。

その顔は青ざめ、汗まみれだ。


地図にも載っていないのだから、助けを呼ぼうたって無駄だ。


男は足を休めることなく、走り続けた。


謎の地下通路は迷路のようで、複雑な構造をしている。


角を右に行けば、左に行き、右左左右────男はもう、自分がどこにいるかさえわからなくなっていた。


そして不運なことに、男が行き着いた先は行き止まりだった。


コツ、コツ、コツ─────


誰かが近づいてくる音が通路の中に響いた。


男にはこれが、何かのカウントダウンのようにしか聞こえなかった。

男は膝から崩れ落ち、ガタガタと震えながら音のする方を見据えた。


コツ、コツ、コツ、コツ、コツ。


音が止まった。


暗闇から姿を現したのは、一人の少年だった。

黒尽くめの装束はその闇に溶け込み、銀色の髪に犬のような耳が闇の中でうっすらとなびく。そして赤い瞳が、男を睨みつけていた。


髪と同じ、銀色のフサフサとした尻尾はユラユラと揺れていた。


少年は男の目の前でその足を止め、銃口を男に向けた。


「これはお前か?」


そう言って少年はスマホを取り出し、画面を男に見せた。

そこに映っているのはその男と瓜二つの顔をした男の写真。

そしてその下に懸賞金800000*ユニーの文字。


*この世界の多くの国で流通している各国共通通貨


「ち、違う……」


消えそうな声で男はそう答えた。


すると男は額に銃口を押し付けられた。

少年は男の目の前に顔を近づけ、血のような赤い瞳でギロリと男の目を見る。


「嘘をついても、何も変わらない……最後にもう一度、これはお前だな?」


幼く見える顔に似合わない冷淡な口調、そしてナイフのように鋭く冷たい視線。


「さあ、答えろ。」

「お、俺だ……。」


男はぐったりと項垂れ、観念したように答えた。


「無駄な抵抗をしなければ殺しはしない。大人しく着いて来い。」


少年は銃を男の額から離した。


すると突然、男は走り出した。

否、逃げ出した。


「冗談じゃねえ!どうせ捕まっても極刑が待ってるに決まってる!!畜生……ちくしょおぉぉぉぉ!!!」


ドン!!!──────


通路中に銃声が鳴り響いた。

火薬の匂いが辺りに充満し、空薬莢の落ちる乾いた音が鳴った。


「……無駄だと言った。」



──────



任務終えて、今回の目標だったものを引きずって通路を歩いていた。

この男は数々の重犯罪を起こした国際指名手配犯だ。

惑星間や宙域間での短時間の航行が可能なこの時代、広大な宇宙全域の治安を完全に維持することは難しい。


そのため、治安部隊や軍の目を掻い潜りやすく、違法な密輸や海賊行為が後を絶たない。


そうした状況故に民間の協力を要請することもある。

俺達のような賞金稼ぎ(バウンティハンター)がその一例だ。


身柄の生死は問わないとされているから、生きていても死んでいても大して変わらない。

それだけこの男は、多くの人を苦しめた。


ここの構造は少し複雑だが、来た道を戻ればいいだけだ。

記憶通りに道を歩くと、広く開いたスペースかある。

そこに白銀の船が停まっている。


D-35"マルコシアス"。

宇宙の旅には欠かせない、俺の家。


ひとまずハッチを開けて中に入った。


『お帰りなさいませ。マスター。』

「ただいま、セバス。」


住民その1。

自律型AI内臓型アンドロイド執事、セバスチャン。


名前の通り、機械の身体で人間と同等の自我を持ち、それでいて洗濯、料理、掃除といった家事や、諜報、機械の整備点検、()()()()()()もこなす万能家電執事。

これが俗に言う、『一家に一台いかがです?』というものだろうか?


『どうやら今日も上手くいったようですね。やはり、マスターの右に出るようなものはいないでしょう。……それはさておき、マスター。死体は死体ケースに入れるようこの前言いましたよね。このままだと船が汚れてしまいます。』

「……ああ、忘れていた。すまない。」

『いえ、お気に召す必要はございませんよ。私がやっておきましょう。マスターはどうぞお休みになられてください。』

「ああ、そうしよう。」

『ではごゆっくり。』


セバスは一礼した後、死体を持ち上げて運んでいった。

本当に仕事のできる執事だ。


このままベッドに飛び込みたいところだが、まだやることが残っている。


ブリッジに上がると、俺の顔面に硬い何かが直撃した。


『オラ!オラオラ!(ご主人様!お帰りなさい!)』

「ただいまオービー……。俺の顔に飛びつくなといつも言っているだろう?」


この台詞を今までに何回言ったことか。


『オララ!(わかった!)』


おそらくわかってない。


住民その2

0V(オーファイブ)-B型汎用支援型モジュール、通称オービー。

オービーという名は俺が勝手にそう呼んでるだけ。


ボールのように綺麗な中を浮く球体と言えば説明がつくだろう。

船の修復やメンテナンスに一役買っている。


今は俺とこいつらの三人が、この船のクルーだ。


「オービー、この前頼んだことはどう?」

『オラ!オラオララ!(うん!だいたいおっけー!)』


メインヴィジョンに航海図が現れ、座標が提示された。


「うん、予想通り。」

『おや。これは、以前引き受けた案件ですか?』

「ああ。今日の依頼はあくまでついでだ。本命はこれだ。準備しろ。」

『かしこまりました。マスター。』


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