ー閑話ー 一香のお使い
閑話休題
「そういえばさ、凛音君はなんでここに来たの?」
凛音君と段ボールを片付けている時にふと、そんなことが気になった。
「やべっ忘れてた。ええ〜っと、実はこの本を返しにきたんだ。」
そういって凛音はニ冊の本を取り出した。
「時をかける少女」、そして「七回死んだ男」……
なかなか趣味があうチョイスだ……
「凛音君、なかなかいい趣味してるね。」
「んっ?ああ、それを借りたのは僕じゃなくて友達。僕は代わりに返しにきただけだよ。」
なるほど、それで凛音君と会ったことが無かったんだ。
少し残念だ、語れると思ったのに…………
「その友達とは、なかなか趣味があいそうだね。凛音君のクラスメイト?」
「ああ、黒髪ショートボブの如月一香っていう奴なんだけど、覚えてる?」
「んーあんまり人の顔とかみないからなー。覚えてないや」
覚えてないのもしょうがないだろう。なぜなら人の顔や名前を覚えるというのは、吹雪ちゃんの「苦手なことランキング」堂々の第三位なのだから。因みに一位は勉強
「そっか。よかったら今度会ってみる?一香も本とか好きらしいしさ。」
「マジ!?是非話してみたいな!」
凛音君の友達か………きっといい人なんだろうな。
そんな事を思いながら、私は凛音から受け取った本を直した。