二人の相談室
「吹雪・・・・私の名前・・・」
そう言っていた彼女が今目の前にいる。
一年前と変わらない特徴的なサイドテールを揺らしながら、彼女はこちらを見下ろしていた。
「大丈夫?」
「うん、痛くはないけど一人じゃ出れなさそうだからさ、手伝って欲しいな。」
「ふむふむ、なるほどねぇ」
彼女は何か、悪巧みをしたかのような顔をしていた。
「もちろん手伝うよもちろんさぁ、ただぁこのダンボールとか直すのめんどくさいなーなんて」
「ああそれについては本当にごめん。もちろん僕が全て戻すよ。」
「いや〜一人でやる必要はないよ、ただちょっとこの紙を描いて欲しいなーって」
そう言って吹雪がこちらに見せてきたのは入部届だった。
「部員を探してるのか?」
「まぁちょっとね」
なるほど、まぁ困ってるそうだしいいか
「了解、これに書けばいいんだね」
「えっ!?そんなあっさり書いていいの?」
自分から提案しておいて、何を驚いてるのだろう。
「いいよ。基本暇だしね」
部活動というのもまた一興か……
今までの人生の中で、まともに部活動と言うものをしたことがない凛音にとって、この出会い、そして入部はどこかワクワクする者だった。
「なあ、今印鑑持ってないけど…」
「あぁ印鑑はなくても大丈夫だよ。後からなんとかなるし。」
そういうものなのか……
「よし!入部して貰ったところで、我が相談室について軽く説明するね。」
そう言って、彼女はどこからかホワイトボードを持ってきて、何かを描き始めた。
「まず部員は二人!私と君だね。次に活動!生徒の悩みを聞いたり解決したりする!最後に部費、無し!以上!!!」
あっという間に部活動紹介が進んで行った。
「まぁお悩み相談といっても、あんまり生徒とか来ないから、基本的にそこら辺にある本を読んでるかな。後うち、一応顧問はあるけどまぁ、会えたらラッキーぐらいの感じかな。部活動は毎日あるからいつきてもウェルカムだよ!もちろん来なくてもいいし。」
さて……と彼女はホワイトボードに書くのをやめて、こちらを向き直した。
「これで紹介は一応以上かな。他にも言うことがいくつかあるけど、まぁそれはおいおい伝えていくとして、相談室について知ってもらえたかな?」
「ああ、楽しそうな部活だね。」
「そりゃあどうも」
そう言う彼女の顔には、どこか安堵をした顔が見えた。
「よぉし、今日から二人で頑張るぞぉ!!」
彼女の発言にどこか、心が躍っている気がした。
きっとこの気持ちが勘違いでないことを願おう。
「ところでちょっといい?」
「んっ、何か質問?」
「いやー段ボールどけて欲しいなーって。」
「あっ!!ごめん忘れてた」
大丈夫か、相談室………