陽気な太陽、西から昇る
「およ、凛音じゃん!よ〜す」
保健室から出てふらりふらりと廊下を歩いていると一香に話しかけられた。
「あぁ一香か、おはよ。」
「んっ……どうしたんだい、元気ないけど?」
彼女の名前は如月一香、僕の友人である。
いつも明るく、他人を巻き込み行動することがよく見られる、クラスを引っ張るタイプ。ショートカットにつんっと伸びた下まつ毛、あまり気崩されていない制服を見に待とう女子高校生
彼女の事を四字熟語っぽく言うと「自称天才バカ他称」と言った所だろうか。
なぜ四字熟語っぽく言ったか?知るかそんなもん。
「まあちょっとボールで頭やられただけだよ。」
「ぷっ 凛音さんちぃっち不注意なんじゃありませんか〜?」
「どこかの誰かさんに教えてもらったとうりに、窓を開けててやられたんだが?」
「へっ!?あ〜〜ヒューっヒュ〜」
何かを思い出したのか、一香はわかりやすく動揺していた。
「にっにしても二年になってから早々問題ばかり起こしちゃうなんて、凛音もばかだねー」
「一香も人の事も言えないだろ・・・」
「私やたむろんに泣きついてやっとの思いで進学したどこぞの誰かさんと違って、私は容姿端麗、英華発外まさに人間クエスチョン・オブ・オナーってところかな。」
人間不協和音の間違えだろ・・・・。
「人間不協和音だなんて、凛音もすっかりグレちゃったのね。」
「グレちゃったのねっじゃねえよ。なんで僕の心を読めるんだよ。」
「そりゃあ長い付き合いだしね。」
「いや、そうはならないでしょ。」
「別に彩ちゃんもわかるよ?」
マジか・・・・・。
「あっ今ちょっと引いたな〜」
「いや、怖いって・・・・そう言えば彩華はどうしたんだ?」
「えっ何で?」
「いやいつも一緒にいるから・・・・・。」
余談だが、彩ちゃんとは僕たちのクラスメイト、真白彩華の事だ。
夏の夜空のように黒く輝く長髪、キリッとした目に威圧感のある少し低い声によって品行方正、才色兼備のとてつもない優等生だと思われている。
まあ思われているだけだが・・・。
まぁそんなことはどうでもよく、肝心なのは僕と一香、彩華は中学からの縁だということだ。
三人よればなんとやら・・・・僕たちはいつも支え合っていた。それは高校生になり、屯丸が入っても変わらなかった。
「彩ちゃんは先生に用事があるとかで、職員室に行ってるよっ。」
「なんでそんなに不服そうなんだ?」
「だって彩ちゃんにはずっとくっついていきたいじゃん!?」
「あぁそうなんだ・・・・・」
そういうもの・・・・なのか?
「そういうもんなんよ」
「もうナチュラルに心読むのに驚かなくなってきたな。」
「あとは凛音が私と彩ちゃんの心も読めるようになったら、言葉がいらなくなるね!」
「そうなったら屯丸が困るだろ・・・・・」
「そりゃそうか、てへぺろりん!」
「・・・・・・・。」
「てへぺろりん!!」
「・・・・・うわっ」
「うわやめてね!?結っっっっっこう今の傷ついたよ!?」
「いゃ〜えっと、ついゾクってしてさ・・・」
「毒舌ゥゥ!?もっと包んでよう!」
「ビニールでいいか?」
「スッケスケだよぉ」
「あはは」
「ふっふふ」
あぁ心地良い………
僕達、四人の友情は実家にいるような安心感だった。
だから…‥もう少しだけ…………この関係が無くなるまでもう少し、夢を見ていたい。そんな気持ちだった。