「凛音のバカ」
「ムーは面白いのだ!」
「そうだな」
「ムーはすごいのだ!」
「なるほど」
「ムーは神なのだ!」
「そう・・・か?」
「だから、私はムーになりたいのだ!!!」
「なんでだよ!?」
どうもこんにちは、早々にツッコンでしまった凛音です!
僕が相談室に入って初めての生徒さんが来ました。その名も村上ムー子さん。一年生、帰宅部、そしてムーになりたいと言っている少女。相談内容も「UFO探しを手伝って欲しい」というもの・・・
どうやら、彼女はあの有名な都市伝説雑誌ムーの愛読者であり、その狂信的な愛ゆえに自分自身がムーになりたいらしい。
自分で言っていてなんだがどういうことなんだ?
まぁそんな感じだ。
「つまり村上さんはムーになりたいってことですか?」
「違うのだ。」
「!!?でもムーにはなりたいんですよね?」
「そうなのだそうなのだ」
「?????」
まずい・・・頭が燃えそうだ。
彼女とのコミニケーションは、まるでラビットパンチを受けてるようだった。
意識外から殴られるコミニケーションは僕では対応できないと思い、吹雪に助けを求めようとしたが・・・・・
「スゥぅスゥぅ〜別にぃ寝てないですよぉ〜〜ファぁ〜」
彼女は寝ていた。せっかく生徒が来ているというのに何をしているんだ!っと言いたくなったが、まぁ人には人の事情があるだろう。ここは放置!!!!
「ところでUFOはどうやって探すのですか?」
「徒歩なのだ」
「具体的にはどこで?」
「賀来川の河原なのだ。」
「賀来川!?」
賀来川とは音羽高校に隣接してある川であり、県内では5本指に入り雨ほどでかい川でもある。まぁ、かといって別に人が多いわけでは無いのだが・・・。
「賀来川にUFOはいるのでしょうか?」
「それは大丈夫なのだ、私見たことあるし。」
「えっ!?」
「そんなに驚くことなのだ?」
「だって、なのだ以外の語尾があるとは思わなかったので・・・。」
「そっちなのだ!?」
「そっち?あぁUFOのことですか?大丈夫ですよ、そういう人もいる事はわかっていますから。」
「むっ信じてないのだ!」
「いえいえ信じてますよ笑 UFOなんて凄いですね笑」
「笑ってるのだ!!!絶対笑ってるのだ!!」
「くっっ笑ってな・・ぷっ・・いですよ」
「失礼なのだ!!失礼なのだ!!’」
「ふふっ失礼しました。反応が面白かったのでつい、からかってしまいました。」
「むぅ。まあそれならいいのだ。許すのだ!」
「それはよか「ただし!一つ条件があるのだ。」
「条件ですか?」
「そうなのだ。その堅苦しい喋り方をやめるのだ。なんか・・・その・・・・ムズムズするのだ、その喋り方。」
なるほど、そういうことか。
彼女と話している時、どこか窮屈そうで、喋りにくそうだった。そして息が詰まるかのような表情を彼女から感じていた。
理由は分からないが、余程の理由があるのだろう。今後は気をつけることにしよう。
「よかった、宇宙人を呼んでこいとか言われたらどうしようかと思ってたよ。」
「!!!人のことをなんだと思ってるのだ!?」
「ムー愛読者のUFOバカじゃ無いのか?」
「あながち間違ってるとも言えないのだ・・・・・。」
気のせいだろうか。
少し、彼女の頬が緩んでいたような気がした・・・。
村上さんと話していると、いつの間にか空はオレンジ色に染まっており、彼女は連絡先を交換して、彼女は帰っていった。
そして、落ち始めた太陽を見つめながら僕は、吹雪のそばで読書をしていた。
吹雪はいまだに寝ている。
しばらく静寂が続くと、否が応でも疑問を考えてしまう。
村上さんが来る前から現在まで、約四時間。どんなに睡眠不足とはいえ眠りすぎでは無いだろうか?
吹雪のクラスメイトのよると、彼女は授業中でも寝ている時があるらしい。
とても人間的な睡眠量とは思えない・・・。
それにもう一つ疑問がある。
僕が彼女と初めて会った時、あの公園あった時の彼女は静かで、お淑やかという雰囲気だった。しかし、相談室で彼女と再会した時は明るく、活発な雰囲気と正反対のイメージだった。
人は変わるとはいうが、一、二年でそこまで代わるものなのだろうか?
僕にはそう思えない。
「一体何故なんだ・・・・・・。」
考えても疑問は疑問のままだった。
「ふぁあ〜〜あれぇ凛音じゃん。もしかして待っててくれたのぉ〜?ありがとぉ」
どうやら彼女のお目覚めらしい。だいぶ長い眠りだったな。
「帰るか。」
「そうだね」
教室の鍵を閉め、僕は職員室へと鍵を直しに行った。
職員室から出て正門へと向かうと、吹雪がまだ少し眠そうに自転車へ寄りかかっていた。
そして二人で正門を出て歩きながら帰路へとついた。
返っている途中、さまざまな話をした。
村上さんのことや最近読んだ本のこと、面白かった映画など・・・・
話している時、吹雪はとても楽しそうに話を聞いてくれたので、ついつい色々なことを話してしまった。
「ねぇ凛音っていつも相談室に来てるじゃん?」
「まあね」
「前も言ったけど、無理しないでね?」
「もち。まぁまあ前も言ったけど僕は相談室を楽しんでるよ。」
「ほんと?」
「ほんとだよ、最近めっちゃ楽しいし。それに吹雪とももっと仲良くなりたいしね。」
「えっ!?」
ふと彼女を見ると、彼女の顔は街明かりがなくても分かるほど顔が赤くなっていた。そして
「・・ぉ・・・・・・ヵ」
思いっきり蹴られてしまった、痛い。
その後も僕たちは会話をしながら返った。
途中吹雪は僕に向かって何か言いていたが、惜しいことに聞き取ることをできなかった。なんて言ってたんだろう・・・・・。




