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僕達は廻っている。  作者: 犬バケツ
循環スペクタクル
11/11

「凛音のバカ」

「ムーは面白いのだ!」

「そうだな」

「ムーはすごいのだ!」

「なるほど」

「ムーは神なのだ!」

「そう・・・か?」

「だから、私はムーになりたいのだ!!!」

「なんでだよ!?」


どうもこんにちは、早々にツッコンでしまった凛音(りおん)です!

僕が相談室に入って初めての生徒さんが来ました。その名も村上ムー子さん。一年生、帰宅部、そしてムーになりたいと言っている少女。相談内容も「UFO探しを手伝って欲しい」というもの・・・

どうやら、彼女はあの有名な都市伝説雑誌ムーの愛読者であり、その狂信的な愛ゆえに自分自身がムーになりたいらしい。

自分で言っていてなんだがどういうことなんだ?

まぁそんな感じだ。


「つまり村上さんはムーになりたいってことですか?」

「違うのだ。」

「!!?でもムーにはなりたいんですよね?」

「そうなのだそうなのだ」

「?????」


まずい・・・頭が燃えそうだ。

彼女とのコミニケーションは、まるでラビットパンチを受けてるようだった。

意識外から殴られるコミニケーションは僕では対応できないと思い、吹雪(ふぶき)に助けを求めようとしたが・・・・・


「スゥぅスゥぅ〜別にぃ寝てないですよぉ〜〜ファぁ〜」


彼女は寝ていた。せっかく生徒が来ているというのに何をしているんだ!っと言いたくなったが、まぁ人には人の事情があるだろう。ここは放置!!!!


「ところでUFOはどうやって探すのですか?」

「徒歩なのだ」

「具体的にはどこで?」

「賀来川の河原なのだ。」

「賀来川!?」


賀来川とは音羽高校に隣接してある川であり、県内では5本指に入り雨ほどでかい川でもある。まぁ、かといって別に人が多いわけでは無いのだが・・・。


「賀来川にUFOはいるのでしょうか?」

「それは大丈夫なのだ、私見たことあるし。」

「えっ!?」

「そんなに驚くことなのだ?」

「だって、なのだ以外の語尾があるとは思わなかったので・・・。」

「そっちなのだ!?」

「そっち?あぁUFOのことですか?大丈夫ですよ、そういう人もいる事はわかっていますから。」

「むっ信じてないのだ!」

「いえいえ信じてますよ笑 UFOなんて凄いですね笑」

「笑ってるのだ!!!絶対笑ってるのだ!!」

「くっっ笑ってな・・ぷっ・・いですよ」

「失礼なのだ!!失礼なのだ!!’」

「ふふっ失礼しました。反応が面白かったのでつい、からかってしまいました。」

「むぅ。まあそれならいいのだ。許すのだ!」

「それはよか「ただし!一つ条件があるのだ。」

「条件ですか?」

「そうなのだ。その堅苦しい喋り方をやめるのだ。なんか・・・その・・・・ムズムズするのだ、その喋り方。」


なるほど、そういうことか。

彼女と話している時、どこか窮屈そうで、喋りにくそうだった。そして息が詰まるかのような表情を彼女から感じていた。

理由は分からないが、余程の理由があるのだろう。今後は気をつけることにしよう。


「よかった、宇宙人を呼んでこいとか言われたらどうしようかと思ってたよ。」

「!!!人のことをなんだと思ってるのだ!?」

「ムー愛読者のUFOバカじゃ無いのか?」

「あながち間違ってるとも言えないのだ・・・・・。」


気のせいだろうか。

少し、彼女の頬が緩んでいたような気がした・・・。



村上さんと話していると、いつの間にか空はオレンジ色に染まっており、彼女は連絡先を交換して、彼女は帰っていった。

そして、落ち始めた太陽を見つめながら僕は、吹雪のそばで読書をしていた。

吹雪はいまだに寝ている。

しばらく静寂が続くと、否が応でも疑問を考えてしまう。

村上さんが来る前から現在まで、約四時間。どんなに睡眠不足とはいえ眠りすぎでは無いだろうか?

吹雪のクラスメイトのよると、彼女は授業中でも寝ている時があるらしい。

とても人間的な睡眠量とは思えない・・・。

それにもう一つ疑問がある。

僕が彼女と初めて会った時、あの公園あった時の彼女は静かで、お淑やかという雰囲気だった。しかし、相談室で彼女と再会した時は明るく、活発な雰囲気と正反対のイメージだった。

人は変わるとはいうが、一、二年でそこまで代わるものなのだろうか?

僕にはそう思えない。


「一体何故なんだ・・・・・・。」


考えても疑問は疑問のままだった。


「ふぁあ〜〜あれぇ凛音じゃん。もしかして待っててくれたのぉ〜?ありがとぉ」


どうやら彼女のお目覚めらしい。だいぶ長い眠りだったな。


「帰るか。」

「そうだね」


教室の鍵を閉め、僕は職員室へと鍵を直しに行った。

職員室から出て正門へと向かうと、吹雪がまだ少し眠そうに自転車へ寄りかかっていた。

そして二人で正門を出て歩きながら帰路へとついた。

返っている途中、さまざまな話をした。

村上さんのことや最近読んだ本のこと、面白かった映画など・・・・

話している時、吹雪はとても楽しそうに話を聞いてくれたので、ついつい色々なことを話してしまった。


「ねぇ凛音っていつも相談室に来てるじゃん?」

「まあね」

「前も言ったけど、無理しないでね?」

「もち。まぁまあ前も言ったけど僕は相談室を楽しんでるよ。」

「ほんと?」

「ほんとだよ、最近めっちゃ楽しいし。それに吹雪とももっと仲良くなりたいしね。」

「えっ!?」


ふと彼女を見ると、彼女の顔は街明かりがなくても分かるほど顔が赤くなっていた。そして


「・・ぉ・・・・・・ヵ」


思いっきり蹴られてしまった、痛い。

その後も僕たちは会話をしながら返った。

途中吹雪は僕に向かって何か言いていたが、惜しいことに聞き取ることをできなかった。なんて言ってたんだろう・・・・・。



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