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聖女追放には理由があった。  作者: 安藤昌益


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覆水盆に返らずか 2

 コセット元ハーグ大公妃は、一人、広い広間に、大公が座る椅子にぼんやりと座っていた。元というのは、他国に亡命する大公の乗る馬車に乗せてもらえなかった、その時に、

「お前とは離婚だ。ついて来るな、偽聖女、いや、魔女!」

 かつては彼女を優しく抱きしめてくれた、ハーグ大公の顔は憎悪に、これほど人は顔が歪むのか、とも思えるくらいだった。馬車の中には、見覚えのある獣耳の美少女3人の姿があった。その彼女らに罵りの言葉を吐く気力は残っていなかった。"ああ、やっぱりね・・・。"とぼんやりとした頭で、一人で納得してしまっていた。

 どうやってここまでたどり着いたのか、どのくらいの間ここにいるのかすら、記憶は定かではなくなっていた。ただ、何人もの、何十人だったかもしれないし、十数人だったかもしれないが、ことによると数百人だったかもしれないし、ひょっとすると0人だったかもしれない、傷を癒し、回復させて来たように思えた。それを見て、このような状況でも感謝の言葉を上げる者もいれば、罵倒する者もいた。そのようなことはどうでもよかった。

 今は、とにかく誰かが来て欲しかった、動いてほしかった、最悪の形でもよかったから。


 イーペル公の軍は、ハーグ公国公都、既に大公も、その政府も、守る軍隊もいない。残る市民はどれだけだろうか?イーペル大公軍に対して、無血開城だ。略奪や殺戮があるだろう。自分も、この城の中に乗り込んでくる兵達に、その下品で薄汚れた手で自分は凌辱の限りを尽くされ、最後は惨殺されるのだ、と何故か他人事のように頭の中でその情景が回るように浮かんでいた。

 多人数の足音が聞こえてきた。それが近づいてきた。そして、いったん止まった。今度は、小さな、少人数の足音に変わった。それが近づいて来る。扉が、音を立てて、"最近メンテナンスをしてなかったの?負け戦だったものね。"と何故か思ったと自分で、心の中で笑っていた。

「いよいよね。」

と呟いてから、

「最後に会いたかった・・・え?誰に?」

 元夫ではない、確実に。元婚約者?そんなはずはないと思った。別の・・・ずっと前の・・・。


「コセット、ごめーん!」

と抱きついてきたのが、ロゼット、イーペル公妃ロゼットだと気が付くまでには、ひどく時間がかかった。その後ろに立つのが、イーペル公だということがわかった。

「ごめんなさい。ようやくわかったのよー。」

「今、分かったんだ。分かるかい?」

というイーペル公夫妻。

「あ?」

 彼女の頭の中の何かが壊れて、中から出て来るものがあった。

「お姉ちゃん、お兄ちゃん達ー!」

 コセットは、イーペル公夫妻に飛びついて、抱きついていた。

 そのまま、彼女はイーペル公夫妻に連れられて、その城を出た。二人の馬車に、2人とともに乗り・・・。そのまま、3人は共に過ごすことになった。

 

「どうして、大好きな従姉従兄だって分からなかったのかしら?・・・。」

「でも、最後に一緒になれたんだから・・・。」

「そうよお、終わりよければ全てよしよおー!」

「お姉ちゃんの破壊力に聖女様が加われば最強だよ。」

「なによ―、それ?」

「ふふふ・・・。」

 ハーグ大公は、どこで知ったのか、闇落ちしたという元聖女、黒聖女を擁して反撃を試みたが、イーペル公夫妻とその親友の聖女の前に、その黒聖女ごと敗れ去るのは、そのしばらく後のことだった。ついでに、その黒聖女に付き従っていたモフモフ軍団もまとめて壊滅された。それは、大したことではなかった。イーペル公夫妻+1名にとっては、自分達3人が一緒に幸せになっているということの方がずっと重要だった。


「こちらも、覆水盆に返った…ということにするか?」


 


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