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聖女追放には理由があった。  作者: 安藤昌益


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私のせいじゃないわよ・・・。

「え~い。しっかりと防御結界を、聖結界を張らんか。この無能聖女!あのあばずれ女魔王の軍を押し返すんだ。」

と魔王に怒鳴られ、罵りながらも聖女は必死に防御結界を張り続けた。聖結界だけではなく、物質攻撃にも有効な種類の防御結界も同時に張り巡らせ、破れれば補強し続けた。文句を言う事も、弱音を言うこともなく、たんたんと続けていた。それでも、

「人魔の攻撃で、非力でも聖女がいるのですから、万全な結界は無理です。防御陣地を二重三重に張り巡らせることも併せていかなければだめです。送られてきた銃砲も有効利用して・・・ここでも早く製造して・・・。防御に徹して下さい。下手に焦って打って出ては損害を出すばかりでじり貧です。」

と言わざるを得なかった。彼のことを思ってのことだったが、

「この俺が、あのあばずれ女魔王に劣るというのか?そんなことを言うのなら、お前の本国から、もっと兵士を、もっと武器弾薬を送ってこさせろ。こうなったのは全てお前のせいだ。」

 そう怒鳴られて殴られ、床に倒れた。気絶していれば、無理やり起こされた。魔王の顔が次々変わっているように思えた。だが、かつてのイケメン顔になっても、それが夜のベッドの上でも、愛されるのではなく、凌辱されるだけになっていた。

"どうしてこんなことになったのよ?私がなにをしたというのよ?国のために・・・私の国のために尽くしてきただけじゃないの!それなのに、それなのに・・・。あいつが金を支払わなかったから悪いんじゃない・・・。私が、もっと・・・だって、私は・・・私だって国のためにやった、言っただけ・・・。ああ、あの時、彼を離さなければ・・・。あの時、選択を誤ったと言うの?。た、助けて・・・。"

 快感ではなく、拷問のように、いたぶられて疲れ切って、眠りに落ちる前に心の中で叫んでいた、かつての婚約者の名を。


 野戦陣地、砦を作りながら進み、結界をも少しずつ壊しながら進む敵軍に、彼女の夫?の魔族国側を後退をよぎなくされられていった。それがさらに彼女に対する圧力が強くなる悪循環となっていた。


「マリーナはどうしているのだろうか?」

 ヘリウム王国軍の陣頭指揮に立つ国王ネロは、申し訳ないような気持ちを込めて囁いた。誰かに聞かせるようだった。それが、わかるような気がして、周囲の面々は、何かを口にだすことができなかった。一人だけ、敢えて空気を読むことなく、口を開いた。

「結界が乱れているように感じますね。それに堅いことは堅いけれど、脆い感じがします。一気に破壊は難しいですが、部分的に集中的に攻撃すれば、少しばかりは破壊できます。それで、少しづつ壊して、その壊れた部分から侵入していくのが一番ですね。」

“私にばかり嫌なことを押し付けないでよ。まあ、私も頼まれた訳ではないけどね。”自称戦う聖女は心の中で悪態をついていた。“まあ、そういうのが適役だよ、お前は。”は、勇者だった。

「とにかく、今はアムルダム共和国軍を追い出し、反乱軍を鎮圧、降伏させることが先だと思います。」

 彼は、いかにも同情しています、という顔で言った。“そちらの方なら、心を痛めないでしょう。”

「勇者様。聖女様のおっしゃるとおりです。」

“勇者達のご配慮で、また、現実から逃避してしまう…。”


 攻撃の主体は反乱軍に向けた。アムルダム共和国軍とその傭兵部隊は、既にヘリウム王国軍反乱軍とは分離している。かといって、そのまま見殺しにするわけにもいかないため、一応救援の姿勢は示そうとする。その前に、ヘリウム王国軍の重厚な野戦陣地が構築されていて、当初はそれでも攻略を試みたものの、大損害を与えられて退却せざるをえなかったため、共和国側は傭兵部隊にだけその攻略をやらせるようになり、傭兵部隊はサボタージュと略奪のみに終始するようになり、略奪で儲けている状態を見て、共和国軍に感染していった。その略奪の場所が、ヘリウム王国軍側の都市、村々ではなく、反撃されるため、反乱軍、同盟側のである、の村々、都市で行ったのである。それはよくあることであり、敵よりも同盟軍の方が怖いという話もあるくらいの常識ではあるが、反乱軍側の士気は衰え、貴族達の離脱が増えていった。もうだめだと見て、まだ抵抗はしているのだが、前進する包囲の野戦陣地、砦を奇襲、夜襲、強襲して大敗、さらに野戦陣地施、砦が前進(さらに進行した場所に構築という意味)の悪循環となって、先細り、じり貧になっているとはいえ、アムルダム軍は撤退を開始した、それまでの戦費調達のために徹底的な略奪して得た、あるいは反乱軍側が購入して持ち込めなかった弾薬をなんとヘリウム王国軍に高値で売却して。

「神は我を見捨てたのか、正義を見捨てたのか、民を見捨てたのか?善を捨て、不善を選んだのか、加護を与えたのか?」

とは、流石に反乱軍のベルギ大公は叫ばなかったが、彼の愛人達、彼の軍師は叫んだという。 その時、彼の本拠地には、ヘリウム王国軍が目の前に迫っていた、砦が、諸隊が投降、離散して遮るものがなく快進撃することになったため。最後の開城の策も効かなかった。しばし偵察に時間をかけた後、既に砲撃などで半壊していたが、攻略軍は退去して突入したいった。

「竜虎の陣」

と叫んだものが何だったのかは分からないが、本丸は残りの者達全てとともに、自爆か引火か分からないが、火薬庫の爆発で四散した。聖人と称せられた、主に彼の軍師の宣伝だが、は少なくとも、その後生き残ったという話はなかった。


「何とかここは無効化できたわ。少数ならここから侵攻できるわよ。流石に、あの聖女の結界よね。知られないように、この程度にしても、タビアの助けなしには到底できなかった。いや、気付かれて修復されていたかもしれないわ。流石に、元王女様ね。」

 もう疲れたという顔をしながら、戦う聖女トーラが言うと、

「所詮は器用貧乏。補助とかいない時の代理にしかならないわ。魔法剣士としてなら、少しは自信が有るけどね・・・それだって、とても、魔導士、剣聖、賢者のレベルには達しないものね。」

 やはり疲れ切って、がっくり肩を落とすように答えるタビアだった。

「でも、私より強いわよ、剣は、絶対。」

「ありがとう。」

「なんか、みな素直になったというか・・・。でも、基準が高すぎないか?戦う聖女トーラとまともに戦えるなんてかなりのレベルしかいなかったし、タビア王女は・・・高位の魔導士や賢者、剣聖クラスでないと勝てなかったわけだから・・・それは大していなかったぞ。」

 これだけ謙虚だったら・・・いや、謙虚だったらやってけなかったかも・・・と二人の顔を交互に見てしまうハドロンだった。

「さあさ、勇者様はやることを早くやって頂戴。」

「そうそう、これからがあなたの出番なんだから。」

「オクタビア様とコマック様の先遣隊、先鋒の役割はちゃんとはたしますよてしますよ。」

"勇者が魔王とその旦那に・・・って可笑しいよな。まあ、俺は偽勇者だしな。まあ、いいか。" 

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