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聖女追放には理由があった。  作者: 安藤昌益


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12/20

どうしてこうなったのか?

“どうしてこうなったんだろうか?”

 破滅する、ざまあされる、悲惨な最後が待っている…はずだったから、それを逃れることしか考えていなかった。だから、天才とかは絶対に無理だから、せめて馬鹿王子にはならないように努力した、つもり…だった。女遊びも、ぜいたくも、弱い立場、使用人、家臣、その他接する国民に無体なことは、ましてや虐待なぞはしなかったから、その種の悪評は立たなかった。次は、婚約破棄しないように、婚約者であるルクレチアを大切にした。そのまま、順調に交際、王太子と公爵令嬢だから交際という言葉が適当かどうかは別にして、結婚した。俺が婚約破棄をして、自分のものにしようとしたアンヌは、女官としてルクレチア付に雇い入れ、良い男と結婚させた。俺?が気に入るだけのことはある。よく気が付き、聡明で、仕事ができ、万事そつなく、礼儀正しく・・・。だから、ルクレチアも気に入り、信頼するようになったし、俺もそうだった。彼女も、取り立てた俺達に感謝して、よくやってくれて、俺達はとても助かった。王都が攻められて、いや王宮内に侵入をゆるしてしまった時も、ルクレチアとともに、ちびりながらも銃と剣を持って、二人で俺の傍らで戦ってくれたのである。零落した子爵家の長女、病気がちだが、家の再興を彼女に期待する母親と妹たち、弟たちも養なければならない、そんな状況から、刻苦勉励して特待生となり、そして俺を誘惑して・・・。動機は理解できるが、俺の妻でいる間の悪行ぶりはどういうわけだったのだろうか?俺から離婚されてからの彼女の活躍ぶりからは、なおさら分からない。

聖女も、勇者も、魔王も・・・。

「深追いはするな。軍を集結、陣形を整える。索敵隊を送れ。周囲の偵察も、すぐにやれ、敵も、こちらの油断を見て、奇襲、夜襲を考えているはずだ。」

 俺は、矢継ぎ早に命令をだした。まあ、細かい所は、将軍や幹部が補修してくれるだろう。


「勇者様。魔王様。聖女様・・・。有難うございます。」

 追撃も終わり、軍の陣形が整えられてから、俺は彼女らに頭を下げていた。同時に、"彼女らは、本来どういう形でハッピーエンドを迎えたんだったけ?誰と結ばれるだったけ?"と頭を回転させていた。まだ早いかもしれない、もう、原作を超えるくらいの幸福、ハッピーエンドを彼女達のために考えておかないとも考えたりして、迷っていた。"おれが、みんなを俺の嫁にしたハーレムで、ハッピーエンドはないはずだよな。あ―、彼女らのラブラブ、溺愛相手、だんなは、みんな俺の敵で、みんな、彼女達と戦ってーした連中だった―。みんな、素晴らしい連中だったはずなのに、どうして馬鹿ばかりになってしまったんだ。どうしようー、俺が婚約破棄しなかったばかりに―!"と髪の毛をかき乱したくなった。

「陛下。どうなさったのですか?せっかくの大勝利に?どうして、何を悩んでおられるのですか?」

 "王妃、つまり妻が、本当は俺が婚約破棄して辺境大公と結婚、ラブラブ、溺愛されて、おれにザマアするんだよな・・・。それがこんなところで、生死をかけて、泥だらけ、硝煙にまみれて、小をちびりながらがんばらなければならなくなったんだよな。"ということを思い出した。とにかく、この戦争を終わらせて、こいつを幸せにすることが第一なんだよな。

「この戦争を終わらせた後、どのように皆を幸せにしようかと考えていたんだ。」

 つい俺は、本音を言ってしまった。あくまでも、こいつと彼女達、原作の俺にざまあする女達、のことを言っただけなのだが、

「もう、そこまで考えているのですが?国の将来を?流石陛下ですわ。」

と王妃が感激すると、皆が感動して、熱い視線を向けてくれているのを感じた。どうしよう、と思ったが、とにかく目先のことを成し遂げないといけない、とにかくそれで逃げることにした。


 とにかく兵を、軍をまとめて帰還。同時に和平交渉の使者を出しながら、反乱軍への個別に寝返りの働きかけ、今なら寛大な措置を取ると。個別に寛大な措置を匂わせながら、一気に攻撃する。敵側魔族にも分断を働きかけ、かつ同盟していた人間側との間に不信感を植え付けて、離反を図る。同盟国、あるいはアムステルダム共和国に命じられた、引きずられて加わっていた小国、公国に、個別に和平交渉の使者を送る、亜人達にも働きかかる。権謀術策、騙していると言われても、それでもいい。とにかく敵を弱体化させればいい。味方になるものには、温かく迎えてやる。それでいい、早く、とにかく早く戦いを終わらせなければならない。

 それから、ゆっくり考えればいいんだ、いや、そうすれば、ゆっくり考えられる・・・よな?


「うまくいったのよね?」

 ターラは、ショク国の王宮の浴室で湯に浸かっていた。

 何とか、ショクの侵攻を阻止、撃退した。対カントス王国連合は四分五裂しかけている。その最中、ショクから和平交渉の申し出があった。しかも、単独の和平交渉である。ショクが抜ければ、完全に連合は崩壊である。交渉にターラが出向いた。そして、成功した。

「よろしいかしら、ターラ殿。」

と一人の女が湯に入ってきた。交渉相手のシオだった。ショクの軍師、宰相、謀略家。長身でスリムな美人と思っていたが、彼女は着痩せするタイプだったらしく、思っていた以上に豊な胸の、結構グラマーな美人だった。

「おや、なにか。」

 思わず見とれたターラに彼女が、微笑んで尋ねた。

「あまりにお美しい姿に見惚れてしまったのです。」

「ターラ殿に言われると恥ずかしくなります。」

"?"彼女は、本当に恥ずかしいと言う風に、同時に嬉しそうに、顔を赤らめた。

「へ?」


 


  


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