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『主人公』の愛の告白(6)

 思い返せば私は、初対面のときから既にロシェスを格好良いと思っていた。

 その後も調薬をさせれば天才的だし、真面目で、気遣いができて。ここまで揃っていれば、いつ惚れたのかは最早わからない。だって、いつでも惚れる条件が満たされている。

 私は、ロシェスが好きなのだ。勿論、恋愛的な意味で。


「んー……、ロシェスに惚れ直したなぁと思って」


 自覚したばかりのぐちゃぐちゃな気持ちを、私はひとまずその一言でまとめた。

 空笑いする私に、てっきりまたロシェスは「そうですか」と返してくると思っていたのに。


「以前、ナツハ様は、もし私が誘惑したらうっかりそんな気になるだろうと仰っていましたよね?」


 どうしてか彼は、生真面目な口調でそう尋ねてきた。


「と、突然だね?」


 いつぞやの、不能に効果があるという初級HP回復ポーション+1をロシェスに奨めたときの会話だったか。口に出しては告白していないはずがタイムリーな話題を振られ、心臓がドキリと跳ねる。

 しかもあろうことかロシェスは、左手の指を私の右手のそれに(から)めてきた。


「今のナツハ様の言葉で、本当は昨夜帰宅したときに伝えるつもりだったことを思い出したものですから。それで、その言葉の意味するところは、私を異性として見ていると(とら)えていいのでしょうか?」

「うっ」


 ズバリきた。ズバリきたよ、それも実に真剣な声で!


「それは……そうだね」


 尋ねるというより、これはおそらく確認だ。頭の頂点には目はないはずが、ロシェスの視線が突き刺さるのを感じるのは何故なのか。

 ()()された私は、誤魔化しは利かないと正直に答えた。


「ナツハ様がいうからには、単なる火遊びの相手ではなく普通の恋愛対象ですよね?」

「そ、そうだね」


 気づけば頭の頂点に当たっていたはずの彼の視線と、私のものがバッチリ合っていた。

 というのも、私がロシェスに顎クイされたからだ。

 やばい、似合う。イケメンにしか許されないこの技が、果てしなく似合う。何だか今日のロシェスはグイグイ来るね? 冒険者ギルドで酒も入っているし深夜テンションという奴なのかな⁉


「私を普通の恋愛対象として見るというなら、ナツハ様の異性の好みは相当変わっているかと」

「そんなことはないから!」


 顎クイしていたロシェスの指が離れても、彼の聞き捨てならない台詞に俯いてはいられない。

 私は空いている左手でガシッと彼の肩を掴んだ。


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