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『主人公』の愛の告白(2)

 少し量が減っているポーションを見ながら私が抱いた感想は、ただ懐かしいというものだけだった。


「本当に、助かりました」


 だからロシェスの台詞に、私は首を傾げた。

 私がそういった反応をすることがわかっていたのだろう、ポーション瓶を再び仕舞った彼は説明を始めた。


「純粋にナツハ様の魔力で作られたこれは、言わば携帯できる聖力なのです。茨の檻は捕縛の状態異常に該当したのか、少量を振りかけただけで解除できました」

「状態異常を解除」

「茨の監獄の壁に穴を空けられたのも、同じくこれのお陰です。ナイフに少量かけることでダンジョンの再生能力を阻害、外まで貫通させることができました」

「再生能力を阻害」

「ザイーフの魔法は大仰ではあっても、結局は植物。繊維に沿って切り裂けば、意外と簡単に穴は空きました」

「ははは……」


 ナイフ一本で脱出とか、どんなサバイバル上級者……。

 『()()()()()結界が張られています』。入口に結界が張ってあっても、そりゃあ別の場所から出られたら意味が無い。見事に物理でどうにかするという発想のないエルフの盲点を突いている。

 ところで、変化したダンジョンに付いた『激怒』の文字、どう考えても犯人はロシェスよね。『茨の監獄』の沸点が低かったわけじゃなかった。身体に穴を空けられるという強硬手段に出られたなら、激怒もする。ちゃんとそうなった事由があったのだ……。


「えーと、茨の檻と監獄はわかった。でも見張りは? いたはずよね」


 冒険者ギルドの地下牢で聞いた話では、まだ仲間がいるようなことを言っていた。先程のダンジョンが彼等のアジトなのだとも。

 魔法空間を信用して、偶然出払っていたのだろうか。


「ああ、五人ほどいましたが、ザイーフは出ていたようで制圧は楽でした」

「制圧」


 それはやっぱり物理でなんだろうなぁ。ならず者たちはきっと、ロシェスの見た目に騙されて戸惑っているうちに制圧されちゃったに違いない。


「ロシェス、いつも思うけど滅茶苦茶有能だよね⁉ 役立たず呼ばわりされていたとか、信じられない」

「ナツハ様に出会う以前は、どんな魔法を使えるかと聞かれることはあっても、武器の取り扱いやその他の特技については触れられなかったので」

「絶対、わかってて黙っていたね」

「ナツハ様以外のときには、攫われても回収されるまで大人しくしていましたから。自力で戻りたいとも思わなかったので」


 ロシェスがいけしゃあしゃあと答えたところで、街の明かりが見えてきた。夜中にしては多い人影も見えて、ロシェスの捜索をしているのかもしれない。

 そのことをロシェスに伝え、二人で一番近くにいた男性に声を掛ければ案の定。私たちはそのまま男性とともに冒険者ギルドへと向かうことになった。

 ギルドで、魔法空間を探し出した方法からロシェスの救出劇――正しくは脱出劇――までを根掘り葉掘り聞かれることになるだろう。ロシェスには家に帰る前に、もうひと頑張りしてもらうことになりそうだ。


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