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ギルド御用達のお店(1)

「一週間後くらいにオープンできたらいいかな」


 異世界生活一日目の朝はトリップ直後の悪感情はどこへやら、清々しいものだった。

 んっと背伸びをして、ベッドから出る。

 昨日ロシェスに取り付けてもらった壁掛けの時計を見上げれば、七時ジャストだった。

 ロシェスには、ひとまず勤務時間は八時から二十時までと伝えた。オープン準備期間とオープンから数日は二人ともその時間帯で働いて、その後は一人八時間以内になるようシフトを組めばいいだろう。

 毎月が三十日間なので、一週間が六日というのは元の世界と異なる。曜日は『光』から始まり、『闇』、『火』、『水』、『風』、『土』と続く。『光』を『日』、『闇』を『月』、『風』を『木・金』に置き換えれば後はまんまなので、覚えやすくて助かった。


「来客数を見てから定休日も決めて――」


 あれこれ考えを巡らせながら、寝衣から普段着に着替える。

 部屋を出て、やはり今後の計画に思いを()せながら階段を半ばまで下って、そこで私は足を止めた。


「ん? 良い匂いがする」


 (ほの)かに(ただよ)う食べ物の香りに、私は思わずクンクンと()いでしまった。

 この辺りは一等地であるから、その勤め人をターゲットとした飲食店でもあるのかもしれない。

 ――と、そう本気で推測していました。この瞬間までは。


「おはようございます、ナツハ様。朝食の用意はできております」

「ロシェス?」


 『飲食店』の出処は、思いのほか近かった。

 残ったもう半分の階段を下りたら、そこだった。

 何だかコンセプトカフェのウェイターみたいな台詞を言ったロシェスが、私の側に寄ってくる。そしてその彼の後ろに見えるのは、言葉通りの朝食が載ったダイニングテーブル。

 もう一度ロシェスに目を戻せば、彼の両手には極上の肌触りに惚れて洗顔用にと買ったタオルが乗っていた。

 その雰囲気でわかる。

 あ、これ、このまま洗顔に付いてくる気だ。


「……」


 私の一階へ下りてからの予定はこうだった。


 歯磨き洗顔を済ませる

 →八時になったらロシェスと一緒に朝食を作る

 →一緒に食べる

 →一緒に洗い物をする


 ではここで、ロシェスの行動を見てみよう。


 私に洗顔用のタオルを用意する

 →朝食の準備は終わっている

 →ロシェス自身の食事はまだ

 →使った調理器具及びシンクの片付けは済んでいる


 うわっ……ロシェスの先回り、すご過ぎ……。

 つい某広告フレーズが頭を(よぎ)ってしまった。


「えっと……ありがとう」


 回らない頭で、かろうじて礼は言う。どうにも私には荷が重い情報量であるので、状況把握はひとまず置いておくことにする。

 私は予想通り私の後ろを付いてきたロシェスとともに、洗面台がある方へと向かった。


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