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天才薬師の出来上がり!(4)

 宿を出た後は、店舗兼住宅の物件を探そうと建築ギルドへ向かった。

 ――からの、約二時間後。すんなり契約が決まり、運び込んだ器材も配置し終わっていた。

 まだ日が高いところを見ると、私が召喚されたのは朝だったらしい。この世界も一日二十四時間だと、ロシェスから聞いた。

 一ヶ月がすべて三十日ではあるけれど、一年も十二ヶ月とのこと。三ヶ月ごとに移り変わる四季もあるという。元の世界とほぼ変わらない暦は地味にありがたい。


「荷運びまでしていただいてありがとうございました。グストさんによろしくお伝え下さい」


 私は帰り支度をしていた商業ギルドの従業員さんたちに声を掛けた。

 ここへ入居するにあたり、私とロシェスは商業ギルドで器材の購入先を相談しに行った。その際、私の中では店を紹介してもらってそこを巡る予定だった。が、何故か前回と同じ応接室へ通され、店主の方が私に会いに来るという展開に。

 そう言えば服を購入したときも、グストさんが商人をその場に呼んでいたっけ。財布はギルド内の直販スペースで買ったけれど。

 結局、ふかふかなソファに座ったまま必要なものが揃ってしまった。しかもその後、それらを新居まで従業員さんたちが運んでもくれた。何て至れり尽くせり。

 ちなみに、ふかふかなソファには勿論、ロシェスにも座ってもらった。長椅子タイプだったので私の隣に座るように言えば、彼は断らない。斜め後ろに立って控えられる前に、先手必勝でお願いした。始終落ち着かないで見えるロシェスが、ちょっと可愛かった。

 手を振って帰って行った従業員さんたちを店の前まで見送り、店に戻った私はロシェスの姿を探した。

 店舗部分を奥へと進んで工房スペースに入る。そこで私は彼の姿を認めた。


「調合の器材が珍しい?」


 運び込まれた器材を真剣に見ていたロシェスに話しかける。

 私の声掛けに、彼はハッと我に返った顔でこちらを見た。


「申し訳ありません。何だか懐かしくてつい見入ってしまっていました」

「懐かしい? エルフに薬師はいないんじゃなかったっけ」

「はい、エルフにはいません。けれど、ドワーフの里には鍛冶で使う金属を結合するための薬剤を調合する者がいたのです」

「へぇ」

「彼はドワーフの里に忍び込んでいる私を、見て見ぬ振りしてくれていました。それどころか、調合に興味を持った私に簡単なものを教えてもくれた。あれはとても楽しかった。その上、彼の息子は私の唯一の友人になってくれました。彼らに何一つ恩を返せなかったのが心残りです」

「そんなことがあったんだ」


 『彼ら』を語るロシェスは、口調も表情も柔らかい。きっといい思い出だったのだろう。

 そしてそれは私にとっても収穫のある彼の過去だった。調合に興味があって、しかも実際にやってみて楽しかったと彼は言った。

 偶然にもロシェスの好きなことが私のやりたいことを重なった。それは嬉しい誤算だ。

 ――うん。これはやる流れだわ。

 私は両手でロシェスの両肩をパシッと叩いた。


「よしっ。じゃあせっかくだから、早速HP回復ポーションを作ってみようか」

「えっ?」


 ロシェスが驚いた表情で私を見る。

 けれどそこには明らかな喜色もあって、私は嬉しくなった。


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