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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

かくれんぼ

作者: kaHo

かくれんぼーーー

それは場所を選んで遊びましょう

鬼さんこちら手のなる方へーーー


僕の住む町は長閑で住宅街ではあるものの、田舎である。

ショッピングモールもなければ、ゲームセンターなんてない。

Switchさえ買うのにも隣町にいかなければならないが、わざわざ山を越えて遠くまで行ってくれる親は少ない。

唯一救いなのが、公園がたくさんあることくらいで……

今どきの子たちには珍しく、公園で遊ぶことが多い町の子どもたち。

もちろん僕もその一人。

男の子にしては少し髪は長く黒髪だが、どこにでもいる小学4年生だ。

でも、最近はこの辺りの山を一部崩して大規模なゴルフ場を作るんだとか。

大人はいいだろうけど、僕たち子どもはやっぱりゲームセンターとかでゲームしたいよね。

せめて、ショッピングモールとかにして欲しいよ。

そんな叶わない思いだけが、虚しく残ってた。

ーーー

山を本格的に工事するようになったとき。

町で一番の老婆が杖をついていつものような紫のスカーフに身を潜めていたのだが、憤りを工事の人にぶつけていたそうだ。

何でも、『この真守町しんしゅまちを壊してはならん』『祟りが起きるぞ』等とずっとまくしてたのだとか。

まぁ、誰も聞く耳を持たなかったのだけれども。

その後、老婆が子どもたちに耳がたこになるくらい言い回ってた。

「絶対に『かくれんぼ』はしてはだめじゃぞ!」

と。

何故してはいけないか教えてくれず、何を言ってるのかよくわからなかった。

まぁ、僕たち仲良しグループはかくれんぼよりボール遊びが好きだからいいんだけどね。

それから数日後。

工事では、事故が多発。

大幅にゴルフ場の工事は遅れ、事故で怪我をする人が多くなった。

ちょっと不気味になり怖かった。

だって、その後小さい子どもたちが行方不明になるんだから。

当然親は子を探すが、見つからない。

こんな田舎の山に囲まれてていて行くあてなんてないはずなのに……

そんな事件が多発してるなか、ある日曜日。

いつもどおり仲良しグループでいつもの公園でボール遊びしていたときのこと。

幼稚園の子どもたちが『かくれんぼ』していた。

その時、僕は見てしまった!

小さく手入れしてある木々の後ろに隠れている子が震えだしたと思ったら、サッと消えたのだ。

僕は目を疑い、目を擦りよく見るがいない!

何かの、錯覚かと思った。

だが、その子の友達がいくら探してもその子は戻ることはなく。

次の日には、行方不明として警察に捜索願を出されていた。

その時に、僕は老婆の言っていた事を思い出す。

『絶対にかくれんぼはしてはだめじゃぞ!』

怖くなり、でも真実がわからなければいけない。

そんな気がして、僕は一人で老婆に会いに行った。

小さな古い建物で、壁にはヒビが軽くはいっており、周りには木々が悍ましく家を囲っている。

僕は、コンコンと2回たたきそっとドアを開けて見る。

ギィーという古い建物独自の音がなる。

そして、僕はそっと顔を少し出しては、

「すみませーん、高倉さん?いますかー?」

と、おずおず声を出す。

誰もいないみたいだ。

どうしようかと困惑していると、後ろからトンっという音がなり、

「わしならここじゃが?」

と高倉の老婆が後ろにいた。

少しちびりそうになった。

そして中に促され、お茶を頂くことになる。

昼間だというのに暗く、中でも歩くたびギシギシいう古い畳に年期の入った机。

「で、何しに来おったんじゃ?」

と、高倉の老婆がゆっくり腰を降ろす。

僕は勇気を持って、この間の出来事を話す。

すると、

「それは、神隠しじゃ。」

そう、高倉の老婆が話す。

「神隠し?そんなの信じーーー」

僕がすべて言うのを遮り、高倉の老婆が、

「昔ここには古い神様がおったんじゃ。しかしな、時が立つに連れて神様を真守町の皆が蔑ろにした。神様に逆らおったんじゃ。神様は大層にお怒りになり、かくれんぼしよる子どもたちをさらって食う言う言い伝えがある。その力は誰も止められず、真神まことがみ様という神樣がそれを見て、我々町の皆を救ってくださったんじゃ。周りをみな自身の化身で身を持って守り、古い神様が悪事をせんようにな。だから、真神樣の化身である山は我々を守ってくださったんじゃ。だから、真神様の名前を一つとって真守町と名を変えたんじゃ。前は侵す神様と書いて、侵神様おかがみさまが守っていたんじゃが、真でなく侵す守り町と書いて侵守町しんしゅまちといったそうじゃ。でも、今は山は壊され真神様の力が失くなってなぁ……侵神様がまた出てきておるのじゃよ。だから、かくれんぼはするんでねぇぞ!」

とひと息で話すと、ズルズルとお茶を飲んでいた。

僕は、信じられなかった。

神様が本当にいるなんて。

でも、あの現象は確かに人にはできない事だ。

僕は、わかりましたありがとうございます、そう言って高倉の老婆の家をあとにしたーーー

こんな話誰も信じちゃくれない。

そんなの小4の僕にでもわかる。

だから、僕はかくれんぼはしないと決めた。

僕の力では誰も守れないのが辛い。

僕がもっと大人だったら皆信じてくれたんだろうか?

そんな思いを抱きながら、僕はその日いつもより早く寝てしまったーーー

それから数ケ月。

僕たちはボール遊びやらはするものの、かくれんぼはしなかった。

僕が、頑なに拒んでいるからだ。

あんな話は、友達にできないから。

だから、仲の良い皆だけでも守ると僕は誓ったんだ。

でも、ある日ボールの空気が抜けてしまい、ボール遊びができなくて僕たちは困った。

そこでゴミ箱にある缶で缶蹴りして遊ばないかと、友達の一人が言う。

缶蹴りならと、僕も承諾。

僕は隠れるほうで、缶蹴りが始まった。

見つからないように、高い木々に身を寄せる。

すると晴天だったのにも関わらず辺りが暗くなる。

そして、

【おにさぁんこちら〜てぇのなるほぉへ〜】

と頭上から聞こえるではないか!?

その時、僕は気付いてしまった。

缶蹴りも鬼と隠れる立派な『かくれんぼ』だということに!

カタカタ僕は震えだす。

どうしようと思ったとき、片手で口を塞いでいたが震えが止まらない。

すると、ほぼ頭上に禍々しい黒い影がくっきり見えだす。

周りの友達も、それを見て怖がり隠れだす。

髪が長い角が生えた鋭い目に、ニヤリと微笑む不気味な着物姿。

見つからないようにしたいが怖くて足がすくむ。

思うように隠れられない。

歯がカタカタと震える。

僕の頭上にいるのだ。

抑えなければ。

片手だったのが、両手で抑えようと勢いよくパンッとなってしまった。

くるりと、侵神様が木々の合間をすり抜けようとしながら言う。

【おにさぁんこちら〜てぇのなるほぉへ〜】

ーーー

その日、僕は行方不明となったーーー

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