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一話 【初めての異世界】

  オギャーオギャーと泣きわめく俺。 身体(からだ)は動かない。


 

  ーこれが赤ちゃんの身体か。 言葉も(はっ)せなく、身体も動かないとはかなり大変だな。ー



  そう思っていると目の前に男と女、 両親らしき人物が顔を出した。

 


「大丈夫かしらこの子。」


  女が言った。



  「おい、デメリ!こいつのスキルの有無(うむ)と才能を見忘れているぞ!」


 

  男がそう言うと女は俺の額に手を置いた。



  ースキルは《強欲》のことだと思うが、 才能ってなんだ?ー

 


  そう思った直後、 二人の方を見ると、 二人は口を大きく開けて突っ立っていた。


 

  「こ…こいつがもし魔王様にバレたら、 俺たちまで終わりだ……。」


  男が言う。


 

  「今すぐこの子を捨てて、 私たちは逃げましょう!」



  ーおいおい、何言ってんだこのデメリという女!しかも男まで!俺まだスキルと才能?を聞いてないぞ!ー



  言葉を発せなくて、 「うー、うー」としか言えない俺のことなど見もしないで、 二人は続けて話し合った。



  「でも、こいつを捨てるって言ったって…魔界に捨てれば魔王様に見つかるし、 どこに捨てればいいんだ…。」

 

  男が悩んでいると、 女がハッと何かを思いついたような顔をして、 言った。


  「人間界はどうかしら!人間界ならば魔王様に見つかることもないし、 勇者も優しいと聞いたことがあるわ。」


 

  そうして二人は、 俺の抵抗を受けることも無く、 モンスターがいた森を抜け、 俺を人間界に捨てた。



  捨てられてから何時間か経った。 夜だった空に日が(のぼ)り始めた。


  そして、 太陽が昇ってきた方角から、 二人が歩いてこっちにやって来た。


 

  一人は、 風でサラサラなびく白い髪に透き通った緑の瞳、 かなりの高身長で顔も綺麗に整っている。


  もう一人は、 その白い髪の男の付き()いと言うべきか。 腰に刀を下げている年老いた男だ。


 

  白い髪の男も俺の両親と同じように、 俺の額に手を触れて、 言った。


  「…なるほどね。」



  まるで全てを察したような顔をした白い髪の男に、年老いた男が言った。


  「…ロイ様、 どうなさいますか?」


  「屋敷に連れて行くよ。」


  「かしこまりました。」


 

  年老いた男はそう口にして、 俺を抱えてロイが歩く後ろを歩いて行った……。




  拾われてから四年経って、 俺は言葉を発せれるようになった。


  日常会話ができるようになった俺は、 ロイに転生してこの世界に来たこと、 フィールからの条件の内容を話そうとロイの部屋のドアをノックした。


 

  「入っていいよ。」


  そうロイに言われて俺は、 ロイの部屋に入った。



  「どうしたんだい?」


  ロイが俺のなにか相談したそうな顔を見てそう言った。


 

  「実は……。」


  俺は転生や条件について話そうとしているが、 口が開いたままで声が出なかった。

 


  ー転生のことや条件のことは話すことが出来ないのか。 じゃあ、 俺のこの世界での親が言っていたスキルと才能についても聞いてみるか。ー



  「ロイさん達まだ俺の名前決めていなかったですよね。 ユウマって名前でいいです。」


  「わかった、 ユウマ。 それで用は何かな?」



  「あの…、 俺が産まれたての頃、 俺の親がスキルの有無と才能を見るって言っていたんですけど、 そのことについて教えていただきたくて……。」


 

  俺の質問を聞いてロイは驚いたのか少し間を空けてロイが言った。



  「ユウマ、 君は産まれたての時のことを覚えているのか…。」


  ロイが続けて言った。


  「…まずは、 この世界についてから話そうか。」


  ロイが説明をし始めた。


  「この世界には僕たちのいる人間界、 そしてユウマが産まれた場所であろう魔界がある。 そして、 その二つの間にはモンスターが生息している森があり、 そしてその二つの上には天界がある。」

 


  ー森は親が俺を運ぶ時に通った場所で、 そして天界はフィールのいる場所か。ー



  「それと、 モンスターのいる森は危ないから行っちゃいけないよ。」


 

  「次は才能について話そうか。」

 

  ロイが言った。



  「才能についてだけど、 僕たちは剣か魔法か、 どちらが才能があるかを天界にいる神様が決めて、 この世に産まれるんだ。そして才能はみんな持っていて、 剣を使える人は魔法を使えない。 そして魔法を使える人は剣を使えない。」


  「それから魔界の王の魔王は、 魔界で剣の才能を持っている人を嫌う。 魔界で剣の才能の子が見つかると、 剣の才能を持った子の家族ごと()らえて、 処刑(しょけい)する。」


  「ちなみにユウマの才能も剣だった。」


  両親が俺を捨てていなければと思うとゾッとした。



  「それに比べて、 人間界のトップの勇者は優しい。 魔法の才能の者がいても何も(とが)めないからね。」


  ー両親が言っていた噂の通り、 勇者は優しいんだな。ー



  「まあ、僕が勇者なんだけどね。」


  ー…ん?ー



  「え…ロイさんって勇者様だったのですか…?」


  「うん、 そうだよ。」


  そう言うとロイは、 まだ驚いている俺に構わずにスキルのことを話し始めた。



  「次はスキルのことを話そうかな…。 スキルは才能とは違って持っている者と持っていない者がいる。」


  ロイが言った。

 


「魔界にも人間界にもスキルを持っているものは珍しい。 だから、 勇者の後継者も魔王の後継者も、 スキル持ちが通っているそれぞれの学園から選ばれる。」


  ーじゃあ、 フィールの条件を達成するにはそれぞれの学園に行って、 それぞれの後継者になればいいのか。ー



  「ちなみに、 スキルは二つの分類に分かれていて、 僕や魔王みたいな世界に一人しか持てないスキルがS級、 世界に何人も持っていたりするスキルがA級だよ。」


 

  ロイが言って俺は疑問に思ったことがあった。


  「じゃあ、俺のスキルはS級かA級どちらなんですか?」

 

 

  ロイはしばらく間を空けて答えた。


  「それが…ユウマのスキルは見たことがないんだ。 多分、 一般的に知られていないことを思うと、 S級スキルだと思うよ。」



  ー一般的に知られていないスキルって…なんかゲームの主人公みたいでかっけぇな。ー



  「説明が難しい上に長くなってごめんね。」


  ロイが言った。

 


  「こちらこそ、 わざわざありがとうございました!」


  ーこれでかなりこの世界については知れた。 あとはフィールが言っていた案内者にスキルの詳細を聞いて、 ロイには剣の稽古(けいこ)をお願いするだけだ。ー


  「それで…、 ロイさん。」


  「なんだい?」


  「勇者学園に入りたいので剣の稽古を受けたいのですが……。」



  ロイは少し笑った。


 

  「…ちょうど今僕も、 ユウマには勇者の後継者になって欲しいから、 稽古しなくちゃと考えていたところだよ。 …明日からでいいかな?」


  「お願いします!」



 

  それから俺は、 毎日ロイと、 拾われた日にロイといた年老いた男に剣を鍛えてもらった。



  そして、 鍛えてもらい始めてから一年、 拾われてから五年が経った。




 

かなり異世界のことを知れたユウマ。


ロイと一緒にいた年老いた男が言っていた「脅威のスキル」は、 ロイや魔王のスキルのような世界に一つしかないスキルってことですね。


それとこの異世界では、 三歳ぐらいから普通に会話が出来るようになる感じです。

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