後日談:豪華絢爛なエラの結婚式5
「・・・・・ハァ!??」
侯爵様の間抜けな声が、会場に響き渡ります。侯爵様、声が大きいのです。多分、隅に居た使用人にも、ハッキリ聞こえたんじゃないでしょうか? 何人かの方々が、ビクッてしてましたもの。
「へ、陛下!? ケチが付いていないとは、どういう事でしょうかっ!??」
慌てた様子の侯爵様に、訝しげにご令嬢は侯爵様を見ています。彼女はどうやら、何も知らずに着いてきたみたいですね。と言っても、汗をかいて、こんな筈では無かったとばかりに、焦っている父を見れば、娘さんも気付いたのではないでしょうか? 父が何か、おかしい事に。
「なんだ、侯爵・・・知らなかったのか? 結婚式が終わってから、変な輩が沸いて出たからな・・・つまりは、結婚式にはケチ等、最初からついとらんのだ」
陛下、それは詭弁では?? 思わず内心で、ツッコミを入れちゃいましたが、真剣な場面はまだ続いています。茶々を入れてはいけない、真面目なお話し中です。多分、会場中の皆さんが内心、同じように思っているとしても、お口はチャックです!
・・・・・でも何となく、裏が読めて来ちゃったんですが。ついでに、必死で笑いを堪えている、あちこちにいる関係者の皆様には、バレないか、そっちがヒヤヒヤします!
「なっ! 終わってからでも、変な輩が出たならば、ケチが付いたも同然では!? 陛下、今一度、お考えを!! 我が家は侯爵家、何も伯爵家から迎えずとも、新しい血を入れる事も出来ましょう!」
何だが、必死に訴えれば訴える程に、侯爵様の立場が、かなり揺らいでいるように感じます。辺りもおかしいと感じ始めたのか、白々しいとばかりに、侯爵様へ冷たい視線を向けています。そんな場所に一緒に居るお嬢様は、やはりおかしいと感じたのでしょう。不安そうに自分の父を見ています。どうやら、娘さんは空気は読めたようです。
とはいえ、確か噂というか、王子本人より、苦手とバッサリ言われているとか・・・。恋は冒涜と申しますが、彼女の心はかなり強いメンタルで出来ているみたいですね。
「考えるも何も・・・既に、結婚式は無事に済み、披露宴をしている最中だぞ? そなたこそ、王家の結婚式にケチを付けたいのではないか?」
あ、陛下が不機嫌丸出しで、侯爵様を見ています。流石に不利とは気付いたのでしょう。侯爵様は、悔しげにしていましたが、素直に頭を下げて、謝罪をしていました。このまま、逃げるつもりのようですね?
しかし! そうは問屋が下ろしません!!
ーーーーー警護担当の将軍様が降臨したのですから。
「侯爵、失礼だが、随分と詳しくご存知のようですね? 襲撃等、漏れないように情報を止めているはずですが?」
鋭い口調に、強面な迫力満点の将軍様の質問に、荒事等無縁な侯爵様は、顔面蒼白です。汗も凄いからか、娘さんはちょっと父親から離れました。いや、何かヤバいと感じたからかもしれません。・・・・・汗が気持ち悪くて離れた、じゃないことを祈っておきます。
「おや、お答えして頂けないので?」
将軍様の迫力は凄まじく、離れている方々も、顔色が悪いように感じます。申し上げておきますが、ここは王宮の披露宴会場です。決して、拳で語り合いをするような場所ではありません。
「では、別室で、ゆっくりと! お話をさせて頂きますかな?」
迫力の凄まじい笑顔の将軍様の指示で、彼等は別室へと有無を言わさず連れていかれました。何とも、お騒がせな方々です。
とはいえ、披露宴はそのまま始まりました。
「流石、王家ね・・・豪華絢爛、素晴らしい披露宴だわ」
思わず、口に出てしまいました。それだけ素晴らしい披露宴だったのです。
「あぁ、悔しいが、公爵家以上だな」
悔しそうな旦那様に、思わず笑ってしまいます。だって、我々の結婚式だって、か~な~り~、豪華でしたよ? 披露宴だって、気持ちの入りまくった素晴らしいものでした。比べるような物ではないのです。
しかし、そこは王家。国の威信がかかっている以上、豪華絢爛になるのは当たり前ですが、何と申しましょうか。殿下のエラへの愛が重たいのか、拘りが凄い。とにかく、一つ一つの物が最高の物を使われているのです。
何せ、お皿には、エラの名前と殿下の名前が記載され、コップには金の王家の紋章。スプーンやナイフ等も細工が細かく、食材も一流と来たら、もう呆れしか出てきません。
少し遠くに見える実家の家族達は、既にガチガチに緊張し、恐らくは料理の味も分かってないんでは? まぁ、弟達はマイペースに食べていましたけど。チラチラと弟を見ている方々には、注意をするつもりです。まだ、学生ですが、そろそろ婚約の話が出てくるでしょう。何せ、王家と公爵家、更には力を持つ伯爵家とも繋がりがあるんですから。
何て考えていたんですが、それ以降は穏やかに過ぎ、メイン料理を食べ終わった時でした。
急に、私、姉、両親、弟達が前に呼ばれたのです。
何も聞いていなかったため、我々は笑顔ではありますが、内心は盛大に困惑しています。私は訳が分からないので、内心ガクブルしています。
・・・・・この後、どうなるんでしょう?




