後日談:気になるエリーの結婚式1
本日より番外編を、お送り致します。
まずは、エリーの結婚式! まぁ、普通に終わる訳がないですね(笑)
「話さないでくれて助かったよ・・・」
珍しく、お疲れ顔のクリス様。確かに、私達の結婚式話は、彼には地雷でしかありませんでしたね・・・。私は、苦笑するしかありませんでした。
時刻は既に、眠る時間。今は夫婦の部屋にいます。
「私達姉妹で、まともな結婚式をしたのは、カレンだけですもの、仕方ありませんわ」
私と、エラの結婚式は、色々とありましたからね・・・。遠くを見て、黄昏ている私は、仕方ないと思って下さい。
私は予想されたハプニング、エラは巻き込まれたハプニングでしたけど・・・。
私も、一応考えております。子供に夢くらいは見せたいですからね。
◇◇◇◇◇
カレンの結婚式が、無事に終わりました。今は、孫はまだか・・・の、時期らしいです。カレンが愚痴を溢してました(笑)
あれから、一年後の今日。今度は、私が白いドレスに身を包んでいます。私とクリストファー様の結婚式なのです。場所は、王都の立派な大聖堂です。流石、歴史ある公爵家。王家が使う大聖堂での挙式だそうです・・・。あぁ、胃がキリキリします! 普通の聖堂でいいのに。
「綺麗です、お姉さま!」
「貴女にしては、似合ってるわよ」
エラとカレンに、今度は言われています。やっぱり、カレンはツンですね(笑)
「さぁ、エリー、これは貴女のベールよ?」
母の手には、あの日、カレンに渡したのとは違う、花の模様の繊細なベールがありました。
「お母様・・・これ・・・」
母が何年もかけて、沢山の人の手を借りて、作ってくれたであろう、美しいレースのベール。それは私には、光輝く宝石達よりも嬉しい、まさに宝物に見えました。
「これは、公爵夫人と先代夫人、男爵夫人に、私達家族が作った物よ」
若干、豪華絢爛な面子に、溢れ始めていた涙が、ピタッと止まりましたが、これから私は、ロイヤルな方々と一緒に生活していくのです。そろそろ慣れないといけないのでしょうが、果たして、慣れる日は来るのかしら?
「うん、サイズもピッタリね! エリー・・・綺麗よ」
優しい手つきで、髪にベールを付けてくれた母の声は、優しくて、そして万感の思いがあったのでしょう。声が少しだけ、震えていました。
「ありがとう、ございます・・・お母様」
私も、ウルッと来てしまいました。カレンとは違う、美しい膝丈まであるベール。王族に嫁ぐ場合は、引きずる程長いベールと決まってますが、貴族は腰より長いのが基本になります。庶民は被らない場合もあるそうですが、流石に分かりませんね。
「さぁ、エリー、時間ですよ」
親族である家族達は、家族席です。昨年は私もあちらだったのですが、主役の今日は、バージンロードを歩く側です。勿論、歩くのは義父とです。実の父以上に、我々を大切にしてくれた、新しい父。何だか、万感の思いがあります。
扉前で待っていた父は、既に目が真っ赤で、涙が流れていました。思った以上に、父は涙脆い人だったようです。そういえば、カレンの時も、父は号泣してましたね・・・。
「エリー・・・、綺麗だよ・・・うぅ、あいつも喜んでるな・・・うぅ」
泣き過ぎて、脱水症状とか、出さないといいんですが。近くの係の者が、必死で父の涙を拭きながら、身支度を整えています。お世話をお掛け致します。
何だか締まりませんが、仕方ありません。入場の時間となり、無情にも扉は開いてしまいました。
「新婦の入場です!」
声高らかに司会が紹介し、私は親族やら知り合いやら、義理で呼んだ方々の前を、一直線に新郎のところまで歩いて行きます。隣の父は・・・涙ながらに、何とか歩いてくれてますが、カレンの時より泣いてるのは、気のせいでしょうか? それに、通路が長いため、無情にも地味に足に来ます。誰ですか、こんなに長い通路にしたのは!!
・・・・・はい、流石に、王家に言えませんよね。こんな事。
地味にしんどい通路をゆっくり一歩一歩と歩き、やっとこさ、新郎の居る場所へ来ました。父とはここまで、です。不覚にも、ウルッと来てしまいました。
一歩を踏み出そうとした瞬間、何故か、そう、何故か父が、私の腕を掴みました。意味が分からず、レースの隙間から、父を見ると、凄い顔の父が私をグイッと引っ張りました。
「キャッ」
小さな悲鳴が上がります。この日の為に、高いヒールが準備されてましたので、いきなり引っ張られると、踏ん張りがきかないんです!
思わず、抗議をしようとしたら、何故か、いつの間にか近くに来ていた母と、周りの悲鳴により、口出し出来ませんでした。
「よくやりましたわ、貴方!」
小さな声でしたが、ちゃんと聞こえましたよ? まぁ、悲鳴が凄かったので、それどころではありませんが。
「・・・・・やはり、こうなりましたわね」
呆れたような声は、公爵夫人からです。レースのせいで、何が起きているのか、いまいち分かってないんです。
レースを少しだけ持ち上げて見た先は、まさかの真っ赤な床・・・は、絨毯ですわね。うん? でも、確かに、花婿たるクリストファー様が赤いように見えます。彼は白い立派なタキシードを着ていたはずです。
「綺麗に飛んだわね~」
「親子って、似るのねぇ」
両家の母親達の、呑気な感想が聞こえました。他にも、周りの話を聞いていると、何となく理由が分かりました。
つまり、クリストファー様が鼻血を綺麗に吹き飛ばし、貧血で倒れた・・・らしいです。ちょっと見てみたかった、なんて思ってしまいました(笑)
成る程、父が私を引っ張ったのは、鼻血が付かないようにするため、だったのですね。
「中断するしかないわね・・・予備を用意しておいて良かったわぁ」
結局、クリストファー様が気絶しているため、式は一旦、休憩となりました。なお、絨毯には染み込んでいないそうです。良かったです。
私はそのまま待機となり、クリストファー様だけが運ばれて行きました・・・。早く帰ってきて下さいね?
でも、椅子を貸して頂けたのは、本当に助かりました。だって、足がもう、限界でしたので・・・。
なお、クリストファー様は早めに目覚めてくれたようで、一時間程で式は再開されたのでした。
・・・・・花婿の鼻に、詰め物付きで。




