第37話 上手くまとまりました
お待たせ致しました!
次回、最終回予定です♪
・・・・・短編予定でしたが、立派に中編小説に化けました。見切り発車は、止めようと反省しました。
勘違いから数日後、城から、とある発表がされました。
「・・・やっぱり、勘違いだったんですねぇ」
思わず、遠くを見て黄昏てしまう私に、カレンもエラも楽しそうにコロコロと笑っています。何せ、発表された内容が。
「北の公爵家嫡男と、姫様の結婚が決まったんですからねぇ・・・」
そう、私はてっきり、アルバート様だと思った、姫様の一目惚れ相手は、アルバート様のお近くに居た、別の方だったのです。公爵家と言われ、まさか、クリストファー様かと思いましたが、北は別の家柄です。クリストファー様は、東の公爵家です。
「エリー、貴女がそんな勘違いするなんて・・・」
カレンからの、可哀想な子を見る視線が、いたたまれません!
なお、今は、三姉妹で、家の庭でお茶をしています。弟たちは、お昼寝をしているので、静かです。
お母様もお茶会に行っているため、今、屋敷には我々しかおりません。
「フフッ、まさか、アルバートと姫様が、なんてね! 無いわ、あいつに限って!」
カレンはツボに入ったのか、肩を震わせて笑っています。
確かに、彼はカレン一筋で、事情を知る周りからは、やっとか! という反応でした。以外にヘタレだったようです。今さらですが、アルバート様と姫様の組み合わせは、無いですね。だって彼、伯爵家なんですもの。侯爵家以上と言われてましたものね。
「でも、姫様は幸せでは? あそこのお宅は、確か、愛妻家の家系でしたもの」
とは、エラ。嫡男が軍に居ますが、頭脳タイプの方ですから、姫様も安心でしょう。姫様のタイプ、ど真ん中な方なんですから。
「でも、婚約者の方が居たのでは・・・?」
確か、子爵家のお嬢様だったような? 愛妻家の家系なら、子爵家のお嬢様と、仲が良かったのでは??
「あら、エリー知らないの? あそこ、子爵家のお嬢様が可哀想な状態だったのよ? だから、婚約者にして保護していたのよ、子爵家はもうすぐ、やらかしているから潰されるし、ご令嬢は公爵家に養子になって、恋人と結婚するから大丈夫よ?」
・・・・・カレン? 何でそんなに、詳しいのでしょうか!?
「エマお姉様、社交界では既に皆が知ってますわよ? あの後、子爵が王族相手にやらかしましたの・・・私も、殿下に聞いて、一瞬理解出来ませんでしたから、仕方ありませんわ」
コロコロと笑いながら、エラまで、そういうのですから、そうなんでしょう。潰されるくらいのやらかし・・・一体、何をやらかしたら、そうなるのか。
「その場に居た誰もが、令嬢の養子先に口出ししませんでしたもの、恋人がまさか、隣国の王家の方と聞いた時は、気が遠くなりそうでしたわ」
それは、公爵家の方が、恋の橋渡しをしていたって事ね。誠実な方だから、姫様との縁談も納得しました。
「幸せそうでしたわ、姫様」
ほんわかした笑顔のエラに、此方まで何だか幸せな気分になりました。カレンもツンとしつつ、口元は笑顔になってます。フフッ、素直じゃないんだから。
「次はお姉さまの結婚式ですわね!」
不意討ちのごとき、キラキラした瞳のままの、エラの発言に、当のカレンは、吹き出しました。まさに、紅茶を飲み掛けていた瞬間でしたから、そのまま咳き込んでしまいました。慌てて、メイド達が来て、甲斐甲斐しく世話をしています。
「ゴホッゴホッゴホッ! アンジェリーナ!? な、何をゴホッ、言いますの!!」
焦っているカレンですが、耳まで真っ赤です。間違いなく、恥ずかしいんでしょうね。でも、確かにそうです。そろそろ、お姉様の結婚式は話し合わないといけません。
カレンは18歳。アルバート様も、20歳です。年齢的にいつ、結婚しても大丈夫なのです。結婚式の準備は大変と聞きますし、早めにやるべきでしょう。
「伯爵家同士ですから、伝統とか、色々ありそうですし、擦り合わせていく方がいいでしょうし」
エラったら、いつの間にか、しっかりした淑女になっていたようです。勿論、今は感動している場合ではありません。
「あっ、でしたら、お母様の作っているレースに、我々も参加しませんと」
この国では、花嫁が頭に着けるレースは、親族の女性達が作るという伝統があります。例え義理でも、用意をしないと親族一同から縁を切られる事すらある、大変重要な物なのです。実際、気に入らないと苛めていた継母が、嫁ぐ際にレースの花嫁のベールに手を抜いた際、自身の親族一同から縁を切られ、離縁までされる事態が起きた事すらあるのです。それだけ重要なレースのため、この国の女性陣は、レースが得意な方が多いのです。
大本はお母様が作っていたはずなので、そこに我々が足していくのです。私もエラも、レース編みやレース縫いは手習いで一通り習ったので、作れます。これでも、かなり得意なのです。
「エマお姉様は、レース作りがお得意ですものね! 私も頑張りますわ!」
何処かワクワクしているエラは、間違いなく、カレンの花嫁衣装を楽しみにしていますね。
「もうっ! す、好きにしたらいいわ」
真っ赤になるカレン・・・素直じゃないんだから。
三人のお茶会も、何だかんだと終わりを告げ、私は母のところへ、早速、向かいます。お茶会から、帰ってきたのは、メイドさんに確認済みです。
「お母様、今よろしいでしょうか?」
「あら、エリー? どうかしたの?」
忙しいかなと思ったのですが、ちょうど着替えが終わった時だったらしく、母は椅子に座って早速、紅茶を飲んでいました。
「カレンの花嫁のベールについて、ご相談がありまして」
母もレースが得意ですから、綺麗なレースが作られているはずです。
「まあまあ! 気が早い事・・・でも、そうね、そろそろ作り上げないといけないのよね」
そう言って、母はメイドさんに、何かを指示していました。私も紅茶を頂いていると、しばらくしてから、メイドさんが綺麗な布の包みを持ってきました。
「お母様、これは・・・?」
「これ、カレンの為に作ったベールよ」
かなりの大きさのそれは、被れば膝ぐらいまでの長さはあるでしょう。お母様が一針一針、丁寧に作り上げたレースは、生まれてから作ってくれた、心が沢山籠った、素晴らしいものでした。自分の物ではないけれど、胸が感動で苦しく、そして涙が溢れてきます。
「あらあら、エリーったら! 次は貴女のがあるのよ? まだ泣かないでちょうだい」
ニコニコと笑顔の母は、別のレースを広げました。それは、カレンとは違う模様の、美しいレースです。少し短い気もしますが、・・・もしかして?
「これは貴女のよ、エリー・・・男爵夫人もね、作ってくれたの、ここと、ここと、これよ、前男爵夫人である貴女のお婆様も、ここと、ここと、ここと、これも・・・・・カレンのは、私の母と兄のお嫁さんがね、手伝ってくれたの」
これを見て、私はストンと何だか納得しました。あぁ、何だ・・・既に皆が我々の為に、準備してくれていたんですね。また、止まった涙が溢れてきます。
「アンジェリーナのベールは、先代の奥さまが、コツコツ作っていてね、私も少し手伝ってるのよ、貴女達が幸せになれるようにね」
「お母様・・・」
伯爵家に嫁いでから、お母様はかなり大変だったはずです。それでも、時間を見つけて、大切に大切に作ってくれていたのでしょう。
「フフッ、貴女の涙が溢れる前に、話を終わらせちゃいましょう、さぁ、貴女の作品はある? 新しいのを作る?」
そこからは和やかに、エマも招いて、カレンのベールについて、話し合ったのでした。




