第30話 意気込みを見せて下さい
長らくお待たせ致しましたm(_ _)m
不定期にはなりますが、連載再開致します!
厄日だわ、絶対にそうだわ、と思いつつ。
私は目の前で、ペラペラと自分の自慢を話続ける、何処かのご子息様相手に、内心ため息を吐いていたわ。私が口を挟めないくらいに、次から次へと、自慢ばかりが出てくるの。
早く終わらないかしら・・・なんて、現実逃避したのが、いけなかったのかもしれないわ。
知らぬ間に、違う男性が私の前に居たわ。目が、いぬくように鋭いのよ!? 思わず固まったわよ! 喋り続けていた彼は、その視線に怯えたのか、そそくさと居なくなってしまった。
あぁ、絶対に厄日だわ・・・。
「カレンディア・サザンディア伯爵令嬢、釣書は見てくれただろうか?」
開口一番に、釣書の話が出てきた。あ、これ、ダメなパターンだわ、と直ぐに気付いたわ。こんな大勢の前で、そんな通る声で、話してはいけない話を・・・!!
確か彼は、伯爵家の嫡男だったかしら? 断っているのに、しつこく釣書を寄越すのよねぇ。無駄に、目が鋭いのと、声が大きいから、正直、私の苦手なタイプだわ。両親、特に母が、笑顔で暖炉で燃やそうとして、義父が慌てていたわ・・・。
「・・・既に、伯爵家には、お断りの話をしたはずですが?」
「だから、何故に気に入らないのか、聞きたいのだ!」
・・・・・本当に今日は、厄日じゃないかしら?
正直に言ったら、面倒になるし、とはいえ、既に面倒な場面になっている以上、仕方ないかもしれない。
「はぁぁぁ、何度も送られましても、正直な話、私、貴方が苦手なタイプなのです、大きい声も威圧感たっぷりの視線も、私からしてみたら、怖い以外の何物でもありませんわ・・・」
次の瞬間、一瞬にして、会場から音が消えました。そして、誰かの笑い声を筆頭に、会場が笑いの渦に巻き込まれました。
・・・・・何故?!
「~~~~~~~~~~!!?!?」
何だか、怒りと複雑な情緒の顔をされていますが、何でしょう?? キョトンとしていたら、エリーとどこか見覚えがある顔立ちの青年が、近付いてきました。あら? 誰だったかしら?
「お姉さま・・・、その、そのままのお姉さまでいて下さいませ」
良く分からない声の掛け方をされましたわ。エリー? それは、どういう意味かしら!?
「久しぶりだな! カレン」
「? えっと・・・」
やはり、知らないわ。名前が分からないもの。それに、軍服だから、尚更分からない。軍人さんに、知り合いは居ないはずだけれど・・・。
「・・・やっぱり、忘れてたか・・・・・!」
何処か、悔しげにする彼に、ふと、何かを思いだしかけましたが、その何かを掴む前に、伯爵家の御曹司が声を上げました。無駄に大きな声ですから、本当に困りますわ・・・。あら、鳥肌が立ったわ。
「邪魔をしないでもらおうかっ! 今話しているは、この私だ!」
会場から、また音が消えました。えぇ、こんな大声を出したら、当然ですわ! 今や我々は、悪い意味で目立ってしまいました。主催者様に、後でお詫びをしなければなりません。
「彼女は嫌がっているだろう、きちんと断りの理由も述べている、貴殿に対して、怯えさえ見せているではないか、紳士ならば、淑女を怯えさせる等、言語道断」
騎士らしく、毅然と答えた彼に、喚くだけの子息は、気圧されたようで、うっと顔をしかめて、一歩後ずさる。
「し、しかし! 何度も釣書を送っているのだ! 何故、断るのかを聞きたいのだ!」
普通、断る時には穏便にしますからね。当然、彼には、伝えられないのです。だからこその暴挙でしょうが、時と場を考えられないのかしら・・・? だから、頭が足りないのよ。断られて当然だわ。
貴族たるもの、大勢の前で、弱味になるような事はしません。家庭教師の方々には、しごかれましたもの。学園に入ってからは、感謝は致しましたわ。恥は晒しませんでしたから。逃げておりましたが、今では申し訳なく思っておりますわ。
「・・・今の失態で、断るのは十分だと思うが? このような場で騒ぎを起こして、更には理由すら分からぬとは」
呆れた口調の軍服の方に、やはり、何処かで会ったかと考えます。結局、回りの視線に耐えられなかったようで、伯爵子息はそそくさと、その場を立ち去りました。
「エリー、お詫びに行ってくるわ」
あの子息に巻き込まれた感はありますが、お詫びはせねばならないでしょう。
「・・・おい、カレン? まさか、本当に俺を忘れたのか!?」
「?? ・・・・・えっと、ごめんなさい、どちらの方かしら?」
本当に分からないので、首を傾げるしかないのだけれど。そもそも、お詫びに行かないといけないのよ?
「昔、隣の領地で遊んだ、アルバートだ! いくらなんでも、幼馴染みを忘れないでくれよ・・・」
がっかりと項垂れていますが、そういえば居たかしら? 朧ながらに覚えてますが、今は緊急事態ですの。主催者様に、きちんと詫びてしまわないと。それに、悪目立ちしてますから、そろそろ帰るべきでしょうし。
「エリー、帰りますわよ、主催者様にお詫びをしてから・・・アルバート卿? 時間があるんでしたら、明日にでも我が家にいらっしゃいませ、今日は無理ですわ」
「本当か!? 分かった、明日は開けておく!」
パッと明るい笑顔を見せた彼に、ふと、記憶の中で、懐かしい男の子の笑顔が、重なりました。・・・・・あぁ、彼はあの時の。
「では、失礼しますわ」
勿論、主催者様には、心からお詫びをしましたわ。同情と哀れみを頂いただけで、私には特にありませんでした。なお、無礼を働いた伯爵子息は、しばらくそこのパーティーには、出入り禁止を言い渡されました。何と、主催者様にお詫びを一切せずに、お帰りになったそうです・・・。
本当に、厄日でしたわ・・・。




