第29話 路線の決定と思わぬ悩み
次回も誠意執筆中です。
私の言葉で、一気に路線が決定したようでした。
「ありがとう! エリスティーヌ嬢! 凄いわ、貴方の御父様に感謝ね!」
歓喜に震える公爵家の皆様は、多分、母と姉が空気になっている事に、気付いていませんね。この分だと、二人も恐らく、巻き込まれますね。
「でも、凄いわね、貴方の御父様は・・・本当に惜しい方を亡くしたものです」
父が褒められて、私達は嬉しくなります。今回のアイディアは、生前の父がやっていた事なのです。
父は、興味があると、何でも調べるタイプで、かなりフットワークの軽い人でした。生粋の学者肌のタイプでしたが、家族を大切にする方でした。
その調べる中には、化粧水や化粧品関係も含まれていて、男爵家と仲の良い伯爵家とで、化粧品関係をやる話まで出ていたようなのです。
勿論、化粧水の体験は、大抵が母や弟の奥さん、領地の方々です。それぞれの肌にあった、オーダーメイド化粧水、それが父が行おうとしていた物でした。
が、勿論、頓挫した理由がありました。
これ、作れる人が限られてしまうのです。勿論、作るならば、誰でも出来ますが、使う薬草に、薬に使われる物があり、資格が無いと作れないという、悩みがありました。更には、既に薬屋で薬草を使った市販品化粧水を製作していたため、今更新しい事業にするには、大変だったのです。
しかし、公爵家のところならば、出来るでしょう。ようは、オーダーメイドの化粧水や化粧品を、各自に合わせて作れば良いのですから。市販品が合わなくて困っている方は、かなり居ます。中には、自分で作った化粧水を使っている方もいるのです。しかし、それには、限界があるのも事実です。
その悩みが無くなるのですから、間違いなく、これは売れるでしょう。公爵家の後ろ楯まであるのですから。新ブランドの誕生は確定ですね。
「こうなったら、善は急げですわ! 美容専門の薬師を準備しなくては!」
・・・・・夫人のやる気が凄まじい気がします。やる気が、殺る気に感じるのですが、気のせいかしら?
この後は、小さい頃のクリストファー様の話を聞いたり、恥ずかしいですが、自覚をした話や、クリストファー様の好きなところを、根掘り葉掘り聞かれました・・・。何だか、とても疲れました。
◇◇◇◇◇
お見合い以降、休み続けていたパーティーですが、いつまでも休める訳はありません。
今日、出席するパーティーは、母が懇意にしているお友達のところで、挨拶をした後は、知り合いと会話を楽しんだり、ダンスをしたりと、かなり楽しませて頂いています。
「やぁ、エリスティーヌじゃないか!」
急に声をかけられたので驚きましたが、顔を見て、直ぐに気付きました。
「もしかして、アルバート様?」
「あぁ! 隣の領地だったアルバートだよ! まさか、ここで会うとは思わなかった!」
嬉しそうに笑っているのは、昔とまったく変わらない、いえ、そのまま大きくしたような、私より少しだけ年上の男性です。
赤みの強い茶髪をショートにし、紫色の瞳はキラキラと輝いているように感じます。人懐っこい笑顔を向けてくれ、私も嫌な感じはしませんが、はて? パーティーでは、初めて会う気がしますが?
「あの、アルバート様、貴方とは初めてパーティーで会う気がするんだけど?」
「あぁ、そりゃそうだ、俺、軍に居るからな」
あっけらかんと言われたのは、更に疑問を感じるものでした。
「貴方、長男だったわよね? 何で軍に!?」
アルバート様の家は、歴史ある伯爵家であり、私の居た男爵家のお隣の領地だったため、5歳で父を亡くすまで、よく、遊び相手になってもらっていました。所謂、幼馴染みという間柄です。まぁ、アルバート様は、姉を意識していたようですが。
「親父から、世間を知ってこいって、兄弟全員、軍にいるんだよ・・・妹は、未だに領地にいるが」
そういえば彼らの兄弟、昔から剣術が強かったんですよね。教師をしていたのが、引退した将軍様だったらしく、私達にも護身術くらいは教えてもらうべきかと、亡き父が溢していましたね。
「妹さん、確か女学院に今年、入学でしたね、おめでとうございます」
「ありがとう・・・あいつは、末っ子で甘やかしたから、跳ねっ返りに育ってな・・・エリスティーヌくらいの淑女になって欲しいものだ」
頭が痛いとばかりに、本気の音色でした。私は残念ながら、お会いした事がないため、曖昧に笑うしかありませんでしたが。
「御嫡男なのに、大変ですね・・・」
「まぁな、お陰で色々と面倒もあるが、気楽にやってるさ・・・最近、エリスティーヌ嬢の噂が流れている、気を付けろよ?」
どうやら、こちらが本題のようです。まぁ、私は初恋の君である姉の妹ですからね。気にかけてくれたんでしょう。それと。
「ありがとうございます、・・・ウフフ、お姉さまでしたら、彼方にいますわ」
図星だったようで、彼は、もろに顔に驚きを出し、挙動不審になっていました。やはり、彼は初恋を拗らせていたようです。直ぐに分かりました。視線で探してましたもの。まぁ、心配してくれたのも、本当のようです。昔から、気遣いができる方ですからね。
「すまない、顔に出ていたか?」
「・・・えぇ、姉も気づけばいいんですけれど」
姉、私よりも美人ですし、釣書もチラチラと来ているんですけど、何故か上手くいかないんですよねぇ? 主に、相手方の不祥事で・・・。
是非とも、彼には頑張って欲しいものです。
「あら?」
姉と話している方が、片膝を付き、何かを話しています。これ、不味いんではないかしら!?




