第19話 私には妹がいる
次回は6月23日に更新予定です。
来週より、書き留めた『霊感探偵達の物語』を3週間に渡り、更新します。
私には、可愛い妹がいる。
名前はエリスティーヌ、年子の妹。私よりも、頭が良くて、可愛くて、優しい自慢の妹。
幼い頃から、私は母にベッタリだったけど、妹は、エリーは、父にベッタリだった。羨ましいなんて思わなかった。私の世界には、母が一番だったから。
でも、あの日から、あの子は変わった。父が亡くなってから、エリーは良い子になった。大人に誉められる、良い子に。ワガママも言わないし、ずーっと、良い子だった。
母が再婚して、妹が増えて。代わりに母との時間が減って。新しい環境に慣れない私は、逃げた。母には叱られたけど、あの時の私には、馴染めなかったのだ。新しい環境に。
だから、この時、私だけが気づいた。エリーのおかしい部分に。エリーは読書が好きな子だから、勉強もするだろう。だが、父にベッタリだったからこそ、無理しているんじゃないかって。新しい家族とも仲良くしていて、誰も気付いていなかったみたいだけど。
悲しみを忘れるための、無理。まだ幼い私には、上手く説明ができないから、憶測でしかなかったけど。
でも、その憶測は、当たってた。
エリーのお誕生日、新しい父は、よりにもよって、忘れてた・・・。でも、ちゃんと準備して、素敵な誕生日になったけど、エリーは泣き出してしまった。感情がごちゃごちゃになって、限界が来たんだと思う。エリーは考え込んで、一人で解決しようとする癖がある。頭が良いから、大抵は一人で何でも出来ちゃうし。
今回は、両親や新しい家族、大人に迷惑をかけてはいけないと、溜め込んだのだろう。母がやっと気付いて、謝っていた。
エリーは泣き出してから、また変わった。良い方向に。
しかし、学園を首席で卒業されたのは、姉として辛いわ。優秀過ぎるわ、うちの妹たちは!!
それにレイチェル様は、私のお友達。でも、彼女はエリーを気に入って、兄のお嫁さんにしたいみたい。エリーは公爵家とか望んでないわよ? でも、兄のクリストファー様は、エリーを好きな感じ。
父が頭を抱えてたわ。釣書が、私のだけしか来ないから!
エリーに半泣きで頼まれて、ちょっと笑っちゃったわ。頼み事なんて、久方ぶり過ぎて。
調べたら、衝撃事実。綺麗に外堀を埋められていたのよ、エリーは。そんなに好きなら、頑張って口説いて欲しいわ。あの子、恋愛に関しては、とんでもなく鈍くて、心配してるんだから。
理由なんて、言えないわよねぇ。外堀を埋められているのよ、なんて。
でも、エラは大丈夫かしら? あの子、のんびりした部分があるから、心配。私とは、血が繋がってないし、綺麗過ぎる顔立ちに、気後れしちゃうのよ? 更には、性格も良くて。どうして、私の妹は、頭が良くて、綺麗で、良い子ばかりなのかしら?
「ねぇ、カレン・・・どうして、エラとは距離をおくの?」
一度、エリーに聞かれた事がある。答えは簡単。
「だって、可愛い過ぎるのだもの!」
あの時のエリーの、固まった顔は傑作だったわ。私は慣れるまで大変だったけど、エリーはアッサリ馴染んで、羨ましかったわ。優秀だしね。
社交デビューもして、妹の為に下地を作り、エリーの社交デビューは、邪魔な野郎共を蹴散らして。大切にしてきたのに・・・。
そして、現在。
目の前では、エリーとクリストファー様がダンスをしている。似合っているんだけど、だ・け・ど!!
「はぁぁぁ、エリー、外堀を埋められてしまったら、駄目じゃない!」
「カレン、貴方、相当拗らせてるわね」
親友のレイチェル様には、呆れられたけど、仕方ないのよ。可愛い妹なんだもの。
ここは、王城。その舞踏会の会場。きらびやかな、素晴らしい舞踏会の真っ最中! 美しく着飾った老若男女が、王族と縁を結びたくて、目を光らせている、そんな裏のある世界。
とはいえ、クリストファー様も優良物件に代わりはなく・・・、エリーも凄い方に目をつけられたわ。
更に、次に目にした物にも、驚いたわよ!!
「え? アンジェリーナ・・・・・?」
何で貴方が、そこにいるのよぉっ!!?
「・・・・・」
衝撃が大き過ぎて、声が出なかったわ・・・。あぁ、これは現実よね? また、外堀を埋められている気がするわ。
「カレン、もしかして、殿下は・・・」
言いかけたのは、多分、アンジェリーナを気に入ったんじゃないか? よね?
「分からないけど、恐らくは・・・」
学園に居た頃、交流会があり、その時には普通に接していたわ。何せ、我々はレイチェル様と仲が良いから、必然的にクリストファー様が来る。彼は殿下の学友だから、我々は勿論、挨拶をする。つまりは、ーーーーー接点がある。
・・・・・あら、お父様が真っ青になっているのが、遠目に見えたわ。
そうよね? 普通に考えて、私もそうなるわ。父や母には寝耳に水だもの。特に、妹を溺愛している父には、信じられないのかも?
まぁ、アンジェリーナなら大丈夫じゃないかしら? あの子、成績はいいし、器量良しだし。何より、私達よりも、血筋が素晴らしいのよ? 問題ないわ。
「・・・・・どうしたもんかしら?」
思わず呟いたのは、仕方ないと思って欲しいわ。




