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第12話 素敵な誕生日と感謝です

次回は31日更新です。来週は、秋月が書いています、『天と白の勇者達』を更新します。

それから数日、私達は、また始まった家庭教師の先生達との勉強の合間に、弟と母に会いに行きました。

母は日に日に元気になって来ましたが、まだ、寝たり起きたりです。姉はそんな母が心配なのか、弟には目もくれません。母にベッタリです。とはいえ、抱きついたり、我が儘をいうなんて事もなく、ただただ、母の側に居たいだけのようなので、私達は温かく見守るだけですが。

私とエラは、弟に興味津々です。小さな手が、私やエラの手を握って、嬉しそうに笑うので、赤ちゃんが可愛くて仕方ありません。まぁ、泣かれると、まだ困るんですが。その時は、使用人さんや、乳母の方が飛んできて、すぐにあやしてくれます。夜泣きもあまりしない弟に、大人達は親思いのいい子だと、大層喜んでいました。


「エリー、違う領地に行くんだが、一緒に行かないかい?」


お祖父様に言われて、確かに気分転換にはいいと、素直に頷きました。珍しく、カレンもエマも、行くとは言いませんでしたし、何故か大量の荷物が馬車に運ばれます。


「お泊まりですか?」


「あぁ、うちには飛び地があってね、そこに視察へ行くんだ」


何故、エラが嫌がったのかは、結局分かりませんでした。

この領地は、畑よりも果樹園が多く、領民の方々は、我々が来ると、使用人さん達に果物を沢山渡してくれました。皆さんが飢えずに済むのは、我々のおかげだと。


「優しい皆さんですね、私、この領地が好きになりました」


「そうかそうか、皆も喜ぶよ」


お祖父様もお婆様も、二人ともニコニコ笑顔です。


「二人も来たら良かったのに・・・」


どこまでも長閑な景色は、領地でも見れない景色です。だからか、私には新鮮に見えました。馬車移動で見る景色とも違う、規則正しい木の並びは、素晴らしい景色です。


「お祖父様、全部が果樹の木なんですか?」


「境界線には、違う木を植えさせとるが、基本的に果樹の木が多いのぅ」


「ふふっ、春になると一面が花で染め上がるんですよ、だから、蜂蜜も有名なのよ」


「蜂蜜? 蜂蜜が取れるなら、蝋燭も?」


「えぇ、蜜蝋も取れるわよ」


お婆様の言葉に、私は一気に興奮します。懐かしい記憶の中に、実の父と話した言葉を思い出したからです。


「確か、それで化粧品が出来ると、実の父と話した記憶があります、男爵領は畑が多く、蜂蜜までは出来なかったんです、だから、何処かの領と共同で出来ないかと父が話していたような・・・」


まだ子供でしたが、父は聞けば教えてくれました。まだ幼い故に、記憶はあいまいでしたが。


「まぁ! それは素敵だわ! 男爵さんに聞いて見なくちゃ!」


その後は、お婆様が盛り上がり、お祖父様が呆れる事がありましたが、まぁ、無事に視察は終わりを告げました。美味しい果物が溢れたこの領地、また来たいですね。

そうして、一泊で帰ってきたんですが・・・おかしいです。使用人さんが皆様、何故か、外でお迎えです。真ん中には、お洒落をした家族たち。なんでしょう? 何かあったのでしょうか!?


「お帰り、エリー、領地は楽しかったかい?」


父が嬉しそうです。母はまだ中にいるそうですが、姉もエラも、ニコニコなのが怖いです! 何故に皆さんは笑顔なんでしょう? 中に入ってからは、綺麗に飾られた室内に違和感が膨れ上がります。

一応、着替えましたが、そのドレスも新しいものです。淡いミントグリーンの、清楚なドレスです。胸元のストライプ柄のリボンが、可愛らしいんですが。


「さぁ、エリー、領地の話を聞かせておくれ」


席につくと、早速とばかりに、領地の話になりまして、お婆様の興奮した話も入りまして、結果、仕事の話になりました。


「もうっ! お父様! エマお姉様のお誕生日の話をしないの!?」


あ、エラが待ちきれなくて、まさかのネタバレをしてしまいました・・・・。成る程、私のお誕生日だから、今日は特別仕様だったんですね。てっきり、忘れられたと思っていました。そういえば、カレンお姉さまやエラのお誕生日の時も、こんな感じでした。


「エラ? ばらしたらダメじゃないか! ・・・・・エリー、今日は君の誕生日だ、お誕生日おめでとう、領地への旅行は二人からのプレゼントだよ」


「エマお姉さま! お誕生日おめでとうございます!」


「エリー、お誕生日おめでとう」


お父様も、エラも、カレンお姉さまも、笑顔で言って貰ったら、何でか分からないんですが、視界が歪んできました。あらら?


「ど、どうした!?」


「まぁ! エリー? どうしたのです?」


お祖父様とお婆様、他の皆さんも驚いたり、心配していたりと、声で分かるのですが、視界がぼやけてしまって、分からないのです。


「あ、あれ? 何で・・・」


泣くつもりはありませんでした。だって、私は、お姉さんなんです。義理の娘だから、ちゃんと立場を弁えていたんです。だから、だから、泣くのではなくて、笑顔にならないといけないのに・・・。まわりに、絶対に、心配させちゃ、いけないのに・・・。

半場パニックになっていたら、ふわりと優しい香りと、知っている優しい温もりに包まれました。


「エリー、お誕生日おめでとう、ごめんなさい、貴方がこんなに我慢していたなんて・・・」


「お母様ぁ・・・いいの? まだ体調わるいって・・・」


「あら、泣き虫さんに心配されなくても、大丈夫よ? 今日は絶対にお祝いするって決めたの、だから大丈夫よ、・・・エリー? 貴方は昔から我慢ばかりするんだから、ーーーーー我慢なんてしなくていいのよ? 敏いから、直ぐに考えちゃうのよねぇ・・・今回は本当に気付かなかったわ、こんなに溜め込んで」


「だって、だって・・・」


お母様にバレてしまいました。他の皆さんは、気付かなかったのに・・・。


「だって、じゃないのよ? 不要な我慢は必要ないの! 本当に、エリーは気を使い過ぎなのよ」


どうやら、知らず知らずのうちに、やらかしていたようです。

涙でぐちゃぐちゃの顔を、部屋で冷やしたりして直してから戻った、今年のお誕生日会は特別なものになりました。

しかし、プレゼントが、やけに本が多かった気がします。その中で、小ぶりですが綺麗な緑色の宝石がついた、小物入れが気に入りました。私好みのそれは、お姉さまがお友達になった、あのレイチェル様のお家からでした。姉には確か、珍しい鳥の羽ペンだった気がします。

父が凹んでいましたが、好みなので仕方ありませんよね?

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