九話 この戦いに意義はあったんです
九話 この戦いに意義はあったんです
Gの掃討戦はそれほど苦にはならなかった。
要が見えーる君で見つけて、ハーブ系のスプレーで追い立てる。そして射程に入ったGをエスパーダが撃つ。
この動作の繰り返しでGは全滅した。後に残ったのは蠢き続けるGの残骸とあまり活躍の場がなかったG対策グッズである。
「やっと終わったわね」
「そうだね。でもいつまたゴ、Gが現れるかもしれないから用心しないと」
「もうやだ。殲滅戦はやらないわよ」
エスパーダは心底疲れた顔をしている。こんなに多くのGと戦ったことがないのだろう。
「エスパーダが倒してくれなかったら、どうやって倒せば良いんだよ」
「私のいないときに要があの毒ガスを使うしかないわね」
「えー」
要は不満を露わにした。そんなことを言ったら、この戦い自体が無駄だったのではないだろうか。
「無駄じゃないわよ、この戦いは。そうでしょ? 要」
エスパーダは笑ってる。いつもより優しいのに、意地悪さを含んだ雰囲気をまとって。
要は彼女の言わんとしてることが分かった。嬉しいけどなんかモヤモヤする。
「ずるいよ、エスパーダ」
「私は風呂に入ってくるから部屋片付けておいてね。要」
エスパーダは要に向かって手を振り、風呂場へ直行。いつでも彼女が入れるように風呂場のドアは開いており、温度調節したカランを洗面器の湯船に掛け流しにしてある。
要が掃討戦の前に仕込んでおいたのだ。
あれだけ顔にべったりとGの体液をつけられては、足でGを踏んだくらいじゃ先に譲るしかない。
要はエスパーダのいなくなった後、部屋に散らばるGの残骸を見た。かなりの量で広範囲に広がっていた。
「ずるいよ、エスパーダ」
思わず不満が口をついて出た。その後、カレンダーでちりとりを作って、ゴミ箱にGを入れる作業を繰り返した。
要もGの殲滅戦がイヤになり、物事は一気にやってはいけないのだと悟った。