七話 小人は彼にイラついたんです
七話 小人は彼にイラついたんです
要は見えーる君を使って位置を把握し、エスパーダに位置を知らせようとした。しかしエスパーダは目に付いたGを片っ端から殺していくので間に合わないことが多々あった。
破壊されたGは生きてはいるがスマホ画面にはUnknownと表示されるので、要は数が減ってきているのを実感した。
Gを恐れるのにはどこにいるか分からないという理由もあるので、要は前ほどGが怖くなくなった。画像で見慣れたせいもあるだろうけど。
「ちゃんと指示出しなさいよ!」
パァン!
怒号の後に銃声がして、砕けたGの体が要の足に当たる。もう気にしなくなっていた。
「やってるって」
パァン!
口答えをすると風が頬をかすめた。背後のGを撃ったのだが、要は狙われてると感じた。
「エスパーダ!」
叱りつけるように名前を呼ぶとエスパーダが近寄ってきた。スマホ画面にスナイパーライフルを抱えて迫ってくる彼女が映ってる。
「あらかた片付いたわね。助けてやったのに文句言うやつの口以外は」
エスパーダも交戦的だ。多分お互いにアドレナリンが出てるせいだろう。いつもならグッと堪える要だが、ここは譲らない。
「まだいるよ。Gが」
「じゃあ教えなさいよね。あんたの仕事でしょ」
「言う前に撃っちゃうから、仕事できなかったんだよ」
「私達、合わないのかもね」
「ちょっと待って。俺は暗闇に慣れてないし、エスパーダは暗視ゴーグル付けてるし、対等じゃないじゃん」
「そんなこと百も承知でしょ。私とあんたは違うの。種族だって、身長だって……」
暗視ゴーグルをつけていても、エスパーダが落ち込んだのが分かる。
彼女は要と違う尺度で「違う」という単語を使っていた。要にもエスパーダの言わんとしてることは分かる。でもそれを認めたら二人の関係は終わる気がした。だから絶対に認めるわけにはいかない。きっかけがGなんてイヤすぎる。
「俺はエスパーダと一緒にいる。合わないって言われても、嫌いって言われても、これで見つけてみせる」
スマホをエスパーダに向けた。
「バカ、光向けんじゃないわよ」
エスパーダは思わず暗視ゴーグルを外して、目を押さえている。大失態だ。
今Gに来られたらまずい。彼女の代わりに警戒だけはしておこう。要はそう思い、スマホを壁に向けた。
『チャバネゴキブリ』という文字が目に入った。そしてあのフォルムも。壁に張り付いていたのだ。
そしてそのGは滑空するように飛んだ。