表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

三話 とりあえず一匹倒したんです

三話 とりあえず一匹倒したんです


 要はGを視認した瞬間に固まってしまった。恐怖したのだ。いくらエスパーダの前でカッコつけたいと思っても、動くには相当の意志の力を必要とした。


 殺虫剤を探そうと一方踏み出した頃には、エスパーダがスナイパーライフルを構えていた。


 パァン!


 乾いた音ともに弾丸が発射され、Gに命中した。ボディーは砕け散り、脚をばたつかせている。その光景に鏡を引いてしまった。


「ふう」


 エスパーダは息をつき、要に向かって胸を張る。


「どお? 私の腕前は」


「すごいよ。今度から任せようかな」


 褒めたつもりなのに、白い目を向けられる。要が戸惑っていると、エスパーダはスナイパーライフルで要の脛を小突いて言った。


「あんた、男でしょ。あれぐらい倒しなさいよ」


「男だからこれしなさいは時代に合わないよ」


 要の会心の反撃。


 しかしエスパーダは鼻で笑った。


「それ、人間族の話でしょ。私は小人。こ・び・と! だから関係ない」


 さらに銃身で脛を小突いて、銃口を要のほうへ向けた。


「片付けなさい。じゃないとそのうち、床中虫だらけになるわよ」


 Gはまだ生きているが、やるしかないようだ。要はトドメを刺そうと殺虫剤を持ち出し、Gの側へ移動した。


「それ、私にも効くから禁止!」


 Gに殺虫剤を向けた要に、まだスナイパーライフルを向けている。殺気を放っていて、それが冗談ではないことが伝わってきた。


「分かったよ」


 殺虫剤を片して、再びGと向き合う。着弾の衝撃で八つ裂きにされてもまだ動いていた。


 当然素手はキツい。手袋はあるが、感触を味わいたくない。悩んだ挙句、要が使ったのはすでに役目を終えたカレンダーだった。それを小さく割いて簡易のちりとりにした。そしてGをすくってゴミ箱に投入。


 これでゴミを捨てる日まではGのことを考えずに済む。


「あんた、嫌いなの? あいつら」


 戻ってきた要にまだ銃口を向けている。


「好きな人はクレイジーだと思う」


「私だって好きじゃないわよ。だから二人で倒すの。ここは私とあんたの家なんだから、あんなのに居候されちゃ迷惑よ」


 エスパーダは顔を赤くして言った。


「分かった」


 そう。要はエスパーダと同棲しているのだ。そしてGは邪魔者なのだ。


「明日、武器を揃えてくる」


「あの毒ガスは禁止だからね」


「分かったから銃を向けないで」


 そう言うとやっとエスパーダは銃を置き、スマホを手にした。すぐに異界大戦のオープニング曲が聞こえてきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ