二話 奴が現れたんです
二話 奴が現れたんです
異界大戦は異世界で戦争状態にある二つの国、ハイネとロールに召喚された転移者の物語だ。
まずプレイヤーはハイネとロールどちらに転移されるかを選べる。武器は豊富で資源が乏しいハイネと、資源とNPC人材が豊富なロール。
ハイネは初期装備は豪華だが装備強化素材やアイテムが獲得しづらい。ロールを侵略して、支配地を増やして強くしていくタイプだ。
ロールは初期装備がしょっぱいが獲得アイテムが豊富で、アイテム合成を繰り返して強くしていくスタイルだ。
エスパーダはハイネを選んで、要はロールを選んだ。
プレイヤーは両国の国境にある中立都市センターを拠点にし、ここで部下となるキャラをガチャでスカウトし、日に一度あるハイネとロールの戦いに参加するのだ。
スカウトガチャは宝石百個で一回回せる。十連ガチャで千個必要で、デイリーミッションなどで宝石は増やせるが、課金でも増やせる。
ギルドはプレイヤーの交流の場であり、ギルド同士で戦うころしあむもーがある。成績に応じて宝石やお金をもらえるので課金に前ほど頼らなくても済む。
「とりあえずギルド戦で役立つようになってもらわないと」
ハイネへの転移者はハイネしか冒険できないシステムで、ロールの転移者である要はロール探索しなければならない。一人で。
エスパーダの欲しい素材を集めるためにロールを選ばされたとはいえ、寂しかった。彼女と一緒にゲームして喜びを分かち合い、もっと仲を深めたいのに。
「ねえ」
「ん?」
エスパーダを見た。かまって欲しくて話しかけたようではなかった。引きつった顔で壁を指差す。
そこには茶色っぽい体でカサカサ動く六本脚の生き物がいた。奴の名は……。
「G⁉︎」
一般的に人間の家屋に住み、その姿を見たら他に三十匹はいるという昆虫……ゴキブリだった。