一話 彼と仲良くやってます
一話 彼と仲良くやってます
課金をめぐる戦いは休戦状態になっていた。
コビット社のスマホも二年縛りがあるらしく、すぐにプラン変更などをすると違約金が発生するとエスパーダに言われたのだ。
課金を禁止すると言うと要にケンカを仕掛けてくるので、ネットバンクに先に振り込んでから課金するプリペイド方式を妥協案として認めさせた。
これならば要は損はしないし、エスパーダの安易な課金を予防できる。
「我慢は体に良くないんだぞ」
エスパーダは負け惜しみのように言ったが、それ以来文句は言わなくなったし、課金の頻度も減っている。
その代わりに要は異界大戦のプレイを強制されていた。
「ギルドレベル上げるのに協力してよね」
「はいはい」
エスパーダのギルドには要以外に誰もいない。なぜいないのか聞くと照れた顔で、「あんたがやってくれるから始めたのよ」と言った。
要はちょっと感動した。MAXで感動していないのはエスパーダの作ったギルド名に引っかかりを感じているからだ。
『エスパーダと愉快な下僕達』
もしかして一人だったのはこのギルド名のせいなのではという考えが頭から離れなかった。