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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
バレンタインのために
98/164

21-7.守護精の進化

お待たせ致しましたー







 *・*・*








 本当に、無茶をする女性だ。


 以前の、甲本(こうもと)襲撃事件の時は、特に何もされていなかったが。


 いつ、あの女達に狙われるかもわからない。


 だから、御子柴(みこしば)も気をつけていたのだが。バレンタインとケサランパサランに気を取られてたせいで、柘植(つげ)奈央美(なおみ)の方まで気にかけてやれていなかった。


 そのせいで、柘植は危険な目に遭ってしまった。


 菜幸(なゆき)の友人として、初めて異性で意気投合出来た女性なのに。


 刑事と一般市民と言う間柄以外で、初めて話しやすい女性と出会えたのに。


 失う恐怖が、菜幸と同じかそれ以上に御子柴に降りかかった。万屋の晁斗(あさと)から連絡が来た時は。無理にでもケサランパサランの洪水から抜け出して、己の守護精の導きでここまでやってきた。


 そして、到着したら晁斗らが苦戦していたのに、柘植宅に充満していた邪気などが祓われたのだ。全員で中に入れば、奈央美もだが彼女の母も倒れていた。


 なので、御子柴は迷わずに奈央美に駆け寄った。



「み……こしば、さん?」

「はい。ご無事で何よりです」

「…………お、か……さんは?」

「ナオちゃん、大丈夫だよ!! 今(れん)ちゃんが癒してくれてるから!」

「よか……た」



 邪気に塗れたせいかはわからないが、奈央美は意識を失ったのだった。すぐに呼吸とかを確認したが、単純に気を失っただけみたいだが。


 あれだけの濃い瘴気の中にいたのだ、体力を失っただけでも御の字だ。



「御子柴さん、荘重(むらしげ)先生の病院に二人を運ぶっす!!」

「!……そうですね」



 それにしても、何故。敬愛する菜幸がいるのに、慌てることもなく落ち着いて話が出来るのだろうか。


 御子柴に特に変化があったわけでもないのに、やはり奈央美のせいなのだろうか。だが、一刻も早く彼女と彼女の母を病院に連れて行かねば。


 そして、この事件を同僚の宮境(みやさか)に伝えなくては。


 今頃、次代狗神の浄化でケサランパサランは消失しても、きっと待っててくれるだろうから。


 とりあえず、龍の化身でもある御子柴の守護精、鏡花(きょうか)の背に二人を乗せて。御子柴が奈央美を、母の方には晁斗がそれぞれ抱えて。


 急いで、中央病院に行くとすぐに荘重が応対してくれたのだが。



「……私の出番は無いね?」

「え?」

「どう言うことですか、荘重氏!?」



 晁斗と御子柴は荘重の言葉に疑問を持つと、彼女は大袈裟に肩を落とした。



「邪気に沈んだ形跡はあるけど、ほとんど浄化されてるんだよ? 漣ちゃんがやったの?」

「え、いや? 瘴気とかはいきなり光ったんで、漣じゃねーと思うんだけど?」

「そう。……なら、柘植さん本人に何かあったのね?」

「……彼女が?」

「万屋のメンバーじゃなきゃ、そうしか思えないわよ? けど、変ね? 言い方は悪いけど、柘植さんの守護精は下位ランクなのに」




 だからこそ、誰もが納得がいかないのだ。


 すると、奈央美の身体が光り出して、奈央美によく似たウサギ耳の女性が出てきた。



「守護精……おま、ライト?」



 晁斗が思い出したように言うと、守護精らしき女性は頷いた。



「はい。地獄から召喚された甲本さんのお陰で、自分は進化を遂げました」

「甲本……がですか?」

「夢想の中で、私とご主人に告げたのです。この瘴気は地獄に連れて行くと。罪滅ぼしになるかはわからないけれど、役に立ちたいからと」

「けど、ライト。進化ってことは」

「はい。上位に近い中位にまで進化出来たのです」



 守護精は宿主と表裏一体。


 だから、宿主が強くなれば、守護精も進化は出来る。伝承だと思われていたのだが、まさか本当だったとは。


 御子柴も晁斗も荘重も。全員があんぐりと口を開けるしか出来なかった。

次回は土曜日〜

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