20-5.敵の意味は?
お待たせ致しましたー
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準備を始める前に、ネットなどで情報を集めていたら。ケサランパサランの増殖は陸螺市の各地で起こっているそうだ。
晁斗は警視庁も利用するくらいの情報屋ASUKUを使おうにも、電波がうまく作動出来ない地区も増えたので、あちらに連絡出来なかった。
菜幸が向かった、柘植宅も大丈夫か心配になってきたが。連絡しても、LIMEもメールも電話も圏外で通じないとのエラーが出た。
仕方がないので、事態改善のためにも万屋で出来ることをしようと事務所で大移動をしていた。
「こっちはいいよ」
「こっちも出来た!」
「僕……お手伝いしなくていいんですか?」
「漣ちゃんには今からいっぱい働いてもらうから、ダメ」
「……はい」
結界と防御の陣を描くのに、事務所内の家具を出来るだけ端に寄せているのだ。晁斗は燈と一緒に、その陣を描くのに専用のビニールテープで漣の周りに描いている。
「守護と守護と防御。気休めかもしれないけど、僕らで出来ることをしなくちゃだからね?」
「兄貴ー、こっちは描き終えた」
「僕も終わりそうだから」
次代が移動する前に、次代と漣には大量の回復専用の茶を飲んでもらう。町どころか、市全体を占めるケサランパサランの浄化なので、回復の術だけでは追いつかなくなるからだ。
たらふく飲んでから、次代はすぐにでも動けるので本性の狗神に戻ってから窓の外に出た。狗神なので、落ちるわけでもなく当然浮かんだが。
【では、我が駆けたと同時に始めてほしい。ここからはあまり感じ取れないが、また袈裟羅達が増えるかもしれぬ】
「うん! わかった」
「漣のことは俺達が守る。浄化の繋ぎは頼んだ!」
【承知】
そうして、陣を完璧に描き終えてから。漣には中央に立ってもらって、晁斗、燈、克己に悠耶が陣の外側にある四つの点の上に腰掛ける。
咲乃だけは、喫茶側のこともあるので、そちらを任せたのだ。あと、万が一にケサランパサランで避難してきた近所の住人達を匿うためにも。
「揺らげ揺らげ」
「数多の星々」
「燻れ、燻れ」
「数多の雨水」
【行くぞ!】
万屋精鋭の結界を張り終えてから、次代は駆け出した。
そして、漣が祝詞みたいな歌を、小さな口から紡ぎ出したのだった。
「きゃっははは!! おっじゃましまーす!!」
だが、紡ぎ出してすぐに、聞き覚えのある女の声が響いてきた。
「! この声!?」
「あ、お兄さんやっほー?」
晁斗が立ち上がると、すぐに黒ずくめの。次代の時に戦った女が何故か目の前にいたのだ。
「誰!?」
「まさか、その子が!?」
「うっふっふ〜? 初めまして、お兄さんおじいさん?……裏の孫と言えば、多分おじいさんにはわかっちゃうかなあ?」
「!? 裏の……孫!」
「克爺、じゃあ……こいつ!」
「……ああ。裏の次世代だと思う」
「せいかーい!」
すぐに対処すべく、それぞれも守護精を降ろして攻撃したのだが。
女の身体は実体があるように見せて、実は精神体のようだった。
「こいつ!?」
「あひゃひゃひゃ!? 本当におじーさまをコテンパンにしちゃった万屋さんなのー? 弱弱じゃん? 僕の正体にも気づかないしー?」
それから、女はじゃあね、とだけ告げてから消え失せてしまった。
「……何しに来たんだ……?」
てっきり、漣を襲いに来たのかと思ったらあっさり引いたので拍子抜けしそうになった。
「だが。『裏』と同じ組織の人間だとはわかった。であれば、今回のケサランパサラン事件も彼らの仕業だろう」
「……とりあえず、俺らに出来ることは」
歌を中断させていた漣に目配せすれば、彼女は力強く首を縦に振った。
そして、中断していた歌を紡ぐのだった。
次回は土曜日〜




