19-2.後悔と後悔
お待たせ致しましたー
*・*・*
まただ。
そして、今朝も漣は晁斗に挨拶程度しか出来ないでいた。
「……漣ちゃん」
休憩時間、たまたま咲乃と同じタイミングだったが。漣の落ち込みっぷりにどんどん沈んでいくしかなかった。
「……謝らなきゃいけないのは、わかってはいるんです」
「そうね? けど、次代様に止められているんでしょ?」
「……はい。バーガーのお礼も言いたいのに、次代はダメって」
「でも、バレンタインまであと二日よ! 明日には本番のを作るし、頑張りましょ!!」
「…………はい」
「漣ちゃぁん!」
いくら、彼の従姉妹とは言え。咲乃の励ましがあっても、漣の気力は萎えたままだ。しかし、仲直りをするのにバレンタインプレゼントは絶対なので、本番は失敗出来ない。
ちなみに、練習で作ったフィナンシェの一部は暁美と克己に先にプレゼントした。味見も兼ねてだが、二人とも美味しいと言ってくれた。
そして、二人とも。漣が晁斗を好きなのがバレバレで。克己には晁斗を避けていた理由もきちんと話した。次代も顕現してきちんと話してくれたが、克己も彼の意見に賛成だった。
ケサランパサランに願いを伝えて叶うとは言え、1個体だけでは人間の気持ちをコントロール出来るわけではない。だから、きっかけをバレンタインに据え置けばいい。
きっとうまくいくと、言ってはくれたが。記憶喪失者とは言え、漣自身がここまで堪え性のない人間だとは思わなかった。
せめて、バーガーのお礼だけはきちんと言いたいのに、いつも邪魔が入るので出来ずじまい。
何故、毎回毎回邪魔が入るのか。タイミングが絶妙過ぎて漣も無視出来ないのだ。仕事だったり、仕事だったり。
「今日は……送ってくださったお礼しか言えず」
「うーん。悠くんもだし、うまく聞けないのよね? けど、帰りはまた迎えに来てもらえるんでしょう?」
「はい……」
「とにかく、漣ちゃん? 成せば為るって言葉があるんだけど、行動を起こしても、自然と身を任せばなんとかなるってこともあるわ。不自然でいるよりも、いつもどおりでいることも大事よ?」
「いつも、どおり?」
「漣ちゃんは晁くんが好きでしょ?」
「はい」
「大好き?」
「だ、大好き……です」
「じゃあ、大丈夫よ。きっと」
「……そうでしょうか」
気持ちまでは伝えられるかはわからないけど、晁斗にはきちんと謝りたい。ケサランパサランに願ったことを伝えたい。
それで、もし拒絶されたのなら。漣はもうウィンタージュにいられないのかもしれない。
いくら、咲乃達が引き止めたとしても。
だが、そこに行き着いたところで。漣の頭に激痛が走った。あまりの痛みに、座ってた椅子から転げ落ちるくらいに。
「漣ちゃん!?」
「……み、ませ」
「謝らなくていいから! 大丈夫!? 頭が痛いの!?」
「…………った。痛……!?」
「寝てていいから、ちょっと待ってて! 燈さん呼んでくるから!!」
「…………っ」
【漣!?】
咲乃が休憩室から出て行ってから、次代が自分で顕現してきた。人型になってくれたのか、うずくまっていた漣を床に寝転がせてくれてから額に手を当てた。
「…………っ!?」
【気の乱れを感じる。…… なんだ?】
「……え……?」
目を開けれるようになってから、漣が自分の手を見た時。
薄っすらだが、透けていたのだった。
だが、その症状はすぐに治まり。燈を連れてきた咲乃が戻ってきてから、彼の判断で漣は克己と一度だけ行った病院に連れて行かれることになった。
咲乃と次代も一緒に来てくれて、燈の車で到着した時には漣の頭痛などはだいぶ治ったが。荘重の判断で精密検査を受けることになり、無理のないよう様子を見つつ受けたが。
結果は、異常などなにもなかった。
「うーん。突然の頭痛ね……? 漣ちゃん、何か思い出そうとした?」
「……え、と。すみません。特には」
「なら、ストレスかもしれないわ。君が思っている以上に、記憶を失った人間にはストレスが溜まりやすいの。心因性……簡単に言うと気持ちの状態で体調を崩すのは普通の人間だってあるわ。もしかしたら、それかもしれないわね?」
「なら、先生。漣ちゃんには少し休養が必要ですか?」
「うーん。一概にそうとは言えないけど。……何か心当たりは?」
それを言われると、咲乃と顔を合わせたが。燈もいるけれど、大人しく晁斗との関係について話したのだった。
だが、
「……ふふ。なるほど。恋ね〜? それは健忘患者関係なくストレスは溜まるわ」
「先生、笑っちゃダメです。漣ちゃんは真剣なんですから」
「わかってるわ。けど、そうね? 漣ちゃんは思いやりが深い分、気にし過ぎる傾向が強いわ。だから、今回の頭痛の一因の可能性がありそうね?」
「思いやり……?」
「恋ってね? 時には一方通行になるものよ? けど、君の場合は晁斗君のことを第一に考えている。だから、ストレスにも繋がるのよ」
「……そう、ですか」
考え込み過ぎて、自分に思った以上の負荷を与えていたことになる。
晁斗を好きだから。晁斗を大事に思っているから、ずっと悩んでいたのだと。それについて荘重は、正面から向き合いなさいと言ってきた。
「次代様? あなたのお考えもあるでしょうけど、主人がここまでなるんですもの。時期も近いし、もういいんじゃないかしら?」
【……ああ。ここまでなるのなら、我も本意ではない】
「じゃあ、僕が晁斗君に連絡しますね?」
「お願いするわ」
とりあえず、帰ってもいいと荘重には告げられたので病院を出たら。
次代が一番落ち込んでいたのだった。
「……どうしたの?」
【……我のせいだ】
「え?」
【お前が晁斗と話し合うのを止めければ、こんなことには】
「そ、そんな!」
「いいえ、漣ちゃん。次代様にはちょっと罰を与えましょう!」
「え?」
【なんでも受けよう】
「じゃぁ〜?」
と、咲乃がにんまり笑った後に行われた罰は。
狗神の子犬サイズになって、咲乃や燈にあやされまくることだった。
次回は土曜日〜




