16-5.ケサランパサラン③
お待たせ致しましたー
*・*・*
たまたま拾ってしまった、ケサランパサランと言う不思議な綿ぼこりみたいな『妖』。
見つけた漣が中心に世話をすることになったのは、その見つけた本人だからだ。
他人でも構わないらしいが、まだまだ生態系が謎に包まれているケサランパサランの特徴の一つに。ウンチク大先生を自称とする燈の証言によると、見つけた張本人に幸運が降り注ぐそうだ。
なので、今回は他のケースも含めて大量に増やすことを防ぐためにも。燈の助言を得ながら、漣が主体で白粉を与えることになった。
とりあえず、一日三回に分けて与えることになり、保管は漣が熊谷家にいる以外は万屋の事務所に置くことになった。
「ご飯だよー?」
そして、まだ二日目だが。漣も少しずつ白粉を与える感覚が楽しくなってきた。まだ増える傾向は見られないが、ケサランパサランに餌を与える様子が可愛いらしいので気に入っている。
「召し上がれー?」
桐箱の蓋を少しずらして、ケサランパサランが逃げない程度の隙間から白粉の瓶を傾けて中身を入れるだけ。
その隙間から見える、ケサランパサランがまるで犬か猫のようにもぐもぐと食べる様子が愛らしくて。漣はついつい多めにあげてしまいそうだったが堪えた。
たしかに、ただの綿ぼこりではないが。増えすぎると人間達に多大な迷惑を与えてしまうかもしれない、まるで表裏一体の存在。
悪の存在になることはそうそうないらしいが、先の次代を得た事件で出会ったあの黒ずくめの二人組。彼らが関係ないとは言い切れないからだ。
「……僕も、紅茶とか飲もうっと」
今は漣のミートタイム、昼休憩なので事務所の備品を少々使っても構わない。
なので、次代を顕現させてから一緒に飲むことにした。
【……まだ慣れぬが、不思議な味だ】
「無理して全部飲まなくていいよ?」
【いや、問題ない】
世話、ではないが。自分の眷属になってくれた彼にも早く名前をつけてあげたいのだが。
名は一番短い呪いでもあり、守りでもある。
そう、克己や晁斗らに言われたし、いずれ神様になるのだから、不相応な名前をつけたくないのが漣の本音だ。
だから、熊谷家の書庫でヒントはないか日々探してはいるのだが、これ、というものが見つからない。
次代はまだかまだか、と時々漣に眼差しを向けてくるが、それを漣は申し訳なく思った。
晁斗が自分につけてくれたように、自分も直感でつけてあげたいものだが。まだ記憶喪失でここに保護されてから約一ヶ月程度だ。常識などが欠如していることに変わりない。
それとつい先日。咲乃が提案してくれたバレンタインプレゼント作りは明日に持ち越しになったので、その時に彼女や菜幸に相談してみるのもいいかもしれない。
とりあえず、自分達の昼ご飯がまだなので、漣は次代を連れて喫茶側に行くことにした。
その後に、桐箱の蓋を閉め忘れていたのを思い出すのは、燈からハヤシライスをもらった後だった。
なので、急いで戻ったが異常は特に見受けられない、とほっと出来たが。
「……あれ?」
二個だけど、増えている。
よく見たら、増えてしまっていると確認出来たので。
賄いの皿はソファ前のテーブルに置いて、次代と一緒に晁斗の元へ桐箱を見せにいくことにしたのだった。
次回は水曜日〜




